インディーゲーム展示会「東京ゲームダンジョン6」レポート。“1ターン”で勝敗が決まるカードゲーム、障子を破りまくるネコが主役のアクションゲームなどをピックアップして紹介

2024.11.12
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2024年10月27日(日)、東京都立産業貿易センター浜松町館 5階展示室でインディーゲーム展示会「東京ゲームダンジョン6」が開催されました。本記事では会場の様子や、出展されていたインディーゲームをピックアップして紹介します。

TEXT / じく
EDIT / 藤縄 優佑

目次

1フロアにギュッと詰まった「東京ゲームダンジョン6」

今回の「東京ゲームダンジョン」には約170団体が出展し、来場者数は2,300人以上となりました。

ゴールデンウイーク中に開催された「東京ゲームダンジョン5」は、同施設の2フロアで展開されていましたが、今回は1フロア。混雑することを予想していましたが、運営側の入場時間をずらす施策や呼びかけもあり、盛況ながらも試遊しやすい東京ゲームダンジョンならではの空間を楽しめました。

今回は、中央通路に休憩スペースが設置。テーブルにはブース一覧やマップも置かれ、会場をチェック・回遊しやすい工夫が凝らされていた

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気になる作品たちをフォトレポート!

『One Turn Kill』 作者:電電

『One Turn Kill ゲームダンジョン6pv』

ローグライク要素とデッキ構築型カードゲームをかけ合わせた作品で、『One Turn Kill』の名の通り「1ターンで敵を倒さないとゲームオーバー」となってしまいます。

一般的なカードゲームであれば、ターン経過などで貯まる資源を消費してカードを使いますが、本作での資源は「デッキの山札」です。カードを使うたび、そのカードに設定されたコストの数値だけ山札からカードをドローすることになります。もちろん、ドローしてもターンは経過しません。

敵を倒すと、スキルを選択・習得したうえで次のステージに進める

カードを使うたびにどんどん手札が充実し、次に使うカードの選択肢が広がるのですが、同時に資源も少なくなります。高威力高コストのカードを使いすぎると山札がごっそり減ってしまい、一気にピンチに陥ります。

山札が尽きてカードが使えなくなったときに敵を倒せていないとターン終了、つまりゲームオーバーです。自動で敗北演出が流れるわけではなく、敵にターンを渡す「TURN END」を自分で押すことではじめてゲームオーバーとなるため、悔しさが増し次こそは勝とうと思える仕組みもユニークでした。

カード左上に書かれた数値がドローするカードの数。画面右下の「TURN END」を押すとゲームオーバー

筆者はデッキ構築型のカードゲーム特有の難しさ・複雑さに苦手意識を持っていました。しかし『One Turn Kill』は、思考を巡らせつつも自分のやりたいことを押し付ける「ずっと俺のターン!」が実現する爽快感を味わえる楽しさを感じ、のめりこんで試遊できました。

開発チームの一人であるonkyi氏に話をうかがったところ、「ドロー」がテーマのゲームジャムで制作した作品をベースに、GameMaker Studioで開発しているとのことでした。

『One Turn Kill』は、2025年6月頃にSteamでのリリースを目指して開発中です。

『One Turn Kill』 Steamストアページonkyi氏 Xアカウント

『仏陀摩真(ぶっだましん)』 作者:ナンダコレ

『仏陀摩真紹介PV』

クリッカータイプのAndroid/iOS向けゲームで、お経を取り入れた独特な楽曲を聞きながら画面をタップし、「徳」を積みます

会場では、木魚をたたくと徳が積める特別仕様の展示がされていた

自動で徳を積んでくれる施設の導入、メイン画面に表示する仏像・光背・背景の組み合わせのほか、「仏カード」を収集できるガチャも用意されています。また、プレイヤーが用意した推し画像を取り込み、「自分にとっての仏様」を設定して拝むこともできます。

ゲーム内で流れる楽曲の制作にはAIサービス「Suno AI」を使い、作詞は経典選びから始まりさまざまなチェックや調整をしているとのこと。AIを使って20~30曲程度を制作すれば、ゲームで利用できそうなものが生まれるそうです。本作ではSuno AI以外にも、実際のお坊様による読経や個人制作の楽曲も収録されています。

開発者のヒグマ氏に話をうかがったところ、ブッダマシーン(※)のモバイルアプリがないことへの疑問が本作が生まれるきっかけだったと同氏は話します。また、「日本において仏教が生活に役立ち、生きる希望となってほしい。人は生きているだけで徳が積める」と、ゲームに込めた想いを語ってくれました。
※ 中国で生まれたとされる、内蔵されたお経の音源を再生する機械。「Buddha Machine」「念仏機」とも

ブースで展示されていたブッダマシーン

『仏陀摩真』は、2024年12月8日にAndoroid/iOSでリリース予定です。

『仏陀摩真』 公式サイト『仏陀摩真』 Xアカウント

『Tower o-ven』 作者:Dessert Seed Studio

『Tower o-ven Trailer 2』

「左右移動」のみが可能なニワトリを操って足場を移り、「オーブンの塔」をひたすらに降りるカジュアルなアクションゲームです。

塔の天井は炎で包まれ、画面は天井に向かって強制スクロールし、同じ足場に留まっていると焼かれてしまいます。炎から逃れるため、画面下部から現れる足場を頼りに降りる(落ちる)のが基本操作ですが、足場のない場所に落ちてしまってもゲーム終了。燃えている足場、凍って滑る足場もあり、どの足場なら届くか、安全なのか、とっさの判断力が求められます。

スタート時には、特殊能力を持たないニワトリの「CHICKEN」、ジャンプ可能な「KING CHICKEN」、足場のギミックに耐性を持つ「PENGUIN」から操作キャラを選べます。

CHICKEN以外が有利に見えますが、KING CHICKENのジャンプ操作はクセがあってミスしやすく、PENGUINは移動スピードが遅い欠点を抱えています。一長一短の性能を有するキャラのうち、どれを使うかでプレイフィールが変わるゲームでもあります。

KING CHICKEN(左)はボタンを押してから離すまでの時間でジャンプ距離が決まる。PENGUIN(右)は氷の上でも滑らず炎の足場に降りても1回だけ耐えられるが、移動が遅い

本作の開発者であるLargeC氏は、『NS-SHAFT』(NAGI-P SOFT)や、タカラトミーの小型ゲーム機「ポケットドリームコンソール」に内蔵されたゲームの1つ『100フロアゲーム』を参考にして開発していると話します。

大学の卒業制作を機に開発をはじめており、開発にはオープンソースのフレームワーク「Siv3D」を使用しています。

『Tower o-ven』は、2024年中にSteamでのリリースを目指して開発中です。

『Tower o-ven』 Steamストアページ「Dessert Seed Studio」 Xアカウント

『MAHOROBA CAT』 作者:りりぃカンパニー

『「MAHOROBA CAT」PV第2弾』

ボクセルで描かれたジオラマの世界で、観光をしながらネコの写真を撮って集めるアドベンチャーゲームです。タクシーや飛行機などを使いながら各地を巡り、巧みに隠れているネコを見つけてスマホで写真を撮ります。

大きな魅力はボクセルアート、そしてのどかな街並みや観光地を再現した、時間がゆっくり流れているかのように感じる平和な世界観です。マップ上を移動しているだけでも、公園やお城などの景色や、そこにいる動物や人を眺めているだけで楽しくなってきます。

屋内・屋外の表示切替は、ボタン一つで切り替わる。その様子は廻り舞台のよう

ボクセルやジオラマ風描画を採用しているのは、子どものころからジオラマやブロックが好きなことが影響していると、開発者のおれんじりりぃ氏は話します。ネコを見つけたらついシャッターを切ってしまう行動を主軸に据え、旅行体験と探索の要素を加えたものが本作であるそう。

ネコの写真を撮ると報酬がもらえ、タクシーや飛行機など乗り物を使って他の街に移動できるようになる

『MAHOROBA CAT』のボクセルは、ボクセルモデル制作ツール「MagicaVoxel」で制作されています。ボクセルの作りやすさだけでなく、Unityへの取り込みやすさも魅力だと語ります。

『MAHOROBA CAT』は、2025年早期にSteamでの発売を目指して開発中です。

「りりぃカンパニー」 公式サイトおれんじりりぃ氏 Xアカウント

『MEW』 作者:MEW製作所

『MEW』

サイバーパンクな独特の世界で展開される、スマホ向けリズムゲームです。ノーツはさまざまな方向から接近し、幾何学的なビジュアルに合わせるかのように多角的なプレイが求められます。

ゲーム画面には正三角形を2つ合体させたようなひし形が表示されている。三角形同士が接地したように見える面が判定ライン

判定ラインは画面下部に固定されておらず、画面のあらゆる場所に表示されます。それにあわせてノーツの出現位置も変わるので、瞬時に対応する必要があります。

位置が変化するラインへあらゆる場所からノーツが接近。ときには同じラインに対して上下や左右、2方向からノーツが飛んでくることもある

本作の開発者の一人であるkodaman氏は、判定ラインが変化するリズムゲームである点にオリジナリティを見出して作っていると話します。また、将来的にはプレイ内容に応じて譜面(出現するノーツ)も変わることも検討しているそうです。

『MEW』の開発にはUnityを使い、UIのアニメーションを効率よく制作するための独自ツールも開発・導入しています。同ツールはUnity上で動作するので、別のアプリを行き来することなく、Unityだけでアニメーションを作れるようになったとのことです。

開発チームが独自に作ったツール

『MEW』は、2025年中にAndoroid/iOSでリリース予定です。

「mew製作所」 Xアカウント

『SHOJING ショウジング』 作者:Kafka Games

『SHOJING ショウジング プレイ動画 241023』

主役のネコがひたすら障子を破りまくるカジュアルなアクションゲームです。ネコは操作しなくても家の中を自動で走り、ジャンプして障子を破ります。

プレイヤーは走る位置とジャンプ時の高さの調整、そしてジャンプ時のポージングをマウスで操作します。ふすまや人間を華麗に避けながら、柄の入った障子を破りまくり、ステージクリアやハイスコア獲得を目指します。

大きな障子を破るときに「大の字ポーズ」を取ると高得点。なお、画面右下はネコの顔がつねに表示されている

ネコが障子を破るという日常生活でも見られそうなシーンをゲームのアイデアにしただけでなく、「超~る(ちょ~る)」といったどこかで聞いたことがあるようなアイテムも登場し、かわいらしくも面白おかしい世界を堪能できます。

「超~る」を3つ集めるとスコアがよりアップしやすいボーナスタイムに突入する

『SHOJING ショウジング』は、「突破!」をテーマとした「PERACON2022」(※)で第1位を獲得した企画をもとに、2024年から本格的に開発している作品です。
※ PERACON(ペラ企画コンテスト)は、毎回設定されるテーマに沿う企画をA4用紙1枚(相当サイズの画像)にまとめ、企画者の腕前を競うコンテスト

BGMのリズムに合わせてアイテムの取得や、障子が破れるようになっているのは、開発者のみやもと氏が工夫したポイントの一つ。本作はアクションゲームですが、この工夫によってリズムゲームのような気持ち良さ、爽快感が演出されています。

『SHOJING ショウジング』は、2025年にSteam/Andoroid/iOSでのリリースを目指して開発中です。

『SHOJING ショウジング』 Steamストアページみやもと氏 Xアカウント

『モノクロルートクリエイター』 作者:Monogames

「白」と「黒」の色を切り替える能力でゴールを目指す、ステージクリア型のパズルゲームです。

本作では、ステージ上に配置されるブロックも、プレイヤーキャラクターも白か黒で描かれています。プレイヤーキャラクターとブロックが同じ色であれば、ブロックの上に乗ることや押し引きが可能。しかし逆に、キャラとブロックの色が異なると干渉できず、すり抜けてしまいます。

プレイヤーキャラクターが黒いため白いブロックに触れられず、すり抜けている様子

先に進めなくなったときは、プレイヤーはブロックと自身、どちらの色も変える能力を駆使してクリアする方法を探ります。

実際にプレイするとグラフィックのシンプルさやキャラクターのかわいさがパズルの難しさに対する抵抗感を和らげ、色の切り替えやブロック移動を駆使してクリアしたときには達成感もありました。

出展時点では、48のステージが用意されていた

本作は、学生時代から開発し、今はゲーム業界で働いているメンバー6人で行っているとのこと。ブロックを移動させてギミックを解く正統派なパズルゲームとの差別化を図るため、本作では色の変化という独自のアイデアを組み込むことで、パズルゲームとして幅を出すことにしたと話してもらえました。

『モノクロルートクリエイター』は、2025年後半にSteam/Andoroid/iOSでのリリースを目指して開発中です。

「Monogames」 Xアカウント

「東京ゲームダンジョン」は、回を重ねるごとにイベントも出展されているインディーゲームも洗練されてきている印象があり、来場者の多さもそのあらわれだと思います。期待に応えて進化し続ける「東京ゲームダンジョン」を、今後も注目したいと思います。

「東京ゲームダンジョン」公式サイト「東京ゲームダンジョン」Xアカウント
じく

ゲーム会社で16年間、マニュアル・コピー・シナリオとライター職を続けて現在フリーライターとして活動中。 ゲーム以外ではパチスロ・アニメ・麻雀などが好きで、パチスロでは他媒体でも記事を執筆しています。 SEO検定1級(全日本SEO協会)、日本語検定 準1級&2級(日本語検定委員会)、DTPエキスパート・マイスター(JAGAT)など。

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