2Dピクセルゲームと実写映像がシームレスに融合。UEで未知の恐怖表現を追求したホラーADV『Tenebris Somnia』試遊&インタビュー【BitSummit PUNCH】

2Dピクセルゲームと実写映像がシームレスに融合。UEで未知の恐怖表現を追求したホラーADV『Tenebris Somnia』試遊&インタビュー【BitSummit PUNCH】

2026.05.29
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2026年5月22日(金)から24日(日)の3日間、京都・みやこめっせで開催された「BitSummit PUNCH」。展示されたゲームの中から、今回はAndrés Borghi氏およびSaibot Studiosが開発するホラーアドベンチャー『Tenebris Somnia』を紹介します。

TEXT / 浜井 智史

目次

レトロ2Dピクセルゲームと映画のような実写カットが融合。生々しく臨場感に満ちたホラーアドベンチャー

『Tenebris Somnia』日本語版リリースの発表に伴い公開されたトレーラー

『Tenebris Somnia(テネブリス・ソムニア)』は、アルゼンチン出身のクリエイター陣によって制作され、New Blood Interactiveがパブリッシングを務める、2Dレトロなサバイバルホラーアドベンチャーゲーム。

本作では特徴的な試みとして、8bit風のレトロな2Dピクセルアートで描かれたアドベンチャーゲームパートと、実写で制作された映画のようなイベントシーンをシームレスに繋ぎ合わせるという、ゲームと映像作品を融合させた表現手法が用いられています。

探索や戦闘といった通常のゲームプレイは見下ろし型2Dアドベンチャーとして進行しますが、重要なアイテムを発見した際や、敵に遭遇した際などは突如映像が切り替わり、生々しくも臨場感のある実写映像が映し出されます。

実写カットはプロの映画制作チームが手がけており、出演者には本物の俳優を起用。特殊メイクやプラクティカルエフェクト(※)を駆使したリアルな絵作りによって、迫り来る恐怖が鮮明に伝わってきます。
※ CGを用いず、実際に現場で撮影した映像をもとに特殊効果を作り出す演出手法

ストーリーは、元恋人が悍ましい怪物に襲われるという不吉な夢に何度もうなされてきた女性が、彼の身を案じてアパートを訪ねる場面からスタート。

部屋に入るもそこに彼の姿はなく、どこか不穏な気配が漂う中、室内の一角に赤い血のような物質で固く閉ざされた扉を発見。

探索によって入手した薬品で赤い物質を除去し、その開かずの間に踏み込むと、中には何らかの実験や儀式を想起させる異様な光景が広がっていました。

禍々しい赤い物質が凝固して開かなくなった扉

扉を開けると只ならぬ様子の空間が。ここで彼は何かをしていたらしい

いったい彼の身に何が起こったのか、手掛かりを求めて部屋を出ると、そこはすでに見知ったアパートではなく、おぞましい怪物たちが徘徊する悪夢のような空間に変貌していたのです。

襲い来る怪物を撃退しながら、悪夢の世界を探索して事件の全貌や元の世界へ帰還する方法を模索する、サバイバルホラー特有の緊迫したゲーム体験が味わえる作品となっていました。

エンジンにメディアプレーヤーを内蔵し、環境を問わず高品質な映像を再生可能に。真に迫る恐怖を追求した表現技法

試遊ブースでは、本作の総監督を務めるAndrés Borghi(アンドレス・ボルギ)氏と、エグゼクティブプロデューサーのAirdorf(エアドルフ)ことMason Smith(メイソン・スミス)氏のお二人に、開発の裏側や本作に懸ける想いを伺うことができました。

左から、Andrés氏、Mason(Airdorf)氏。

ブースはゲーム内のワンシーンが再現されており、お2人も顔にペイントを入れた姿で登場

Andrés氏は、数々の映画祭で受賞を果たした短編映画『Alexia – Scary horror short film』(以下『Alexia』)などで知られる、アルゼンチン出身のホラー映画監督です。

現在は映像作家として名を馳せている同氏ですが、17歳の頃から約7年間にわたり2D格闘ゲームエンジン「M.U.G.E.N」を用いたゲーム制作に没頭した時期もあったといいます。M.U.G.E.N作品では二次創作キャラクターを起用するのが一般的であるところ、同氏は完全オリジナルキャラクターを制作していたそうです。

『Alexia – Scary horror short film』

一方のMason氏は、ホラーゲーム『FAITH: The Unholy Trinity』(以下、『FAITH』)など数々のタイトルを生み出してきたゲーム開発者です。

驚くべきことに、Mason氏にとって最も好きなホラー映画がAndrés氏の『Alexia』であるとのこと。自身の創作活動においてAndrés氏の作品から多大な影響を受けてきたというMason氏は、本作『Tenebris Somnia』でプロデューサーを務めるにあたり「自分の開発技術や知見をAndrés氏に共有できることを非常に嬉しく思う」と喜びを語っていました。

『FAITH: The Unholy Trinity』PlayStation版トレーラー

本作は2Dゲーム部分が総勢6名のチームで制作されているのに対して、実写のカットシーンでは30名以上の撮影班が稼働しています。

開発環境にはアンリアルエンジン(以下、UE)を採用し、ピクセルアートの制作には「Aseprite」を使用。

UEを採用した経緯について伺うと、Epic Gamesが実施している資金提供制度「Epic MegaGrants」が挙げられました。同制度の存在を知ったAndrés氏が、UEで制作した2Dピクセルアート作品を応募したところ、見事支援対象に採択。その提供資金を元手に、本格的に本作の開発へと乗り出したそうです。

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また、実写カットのクオリティを高く保つ技術的な工夫として、本作ではエンジン内部に独自のメディアプレーヤーを実装。これにより、ユーザーのPC環境のスペックに依存することなく、常に安定して24fpsでカットシーンを再生できる仕組みを実現しています。

VFXアーティストとしてCG制作にも精通しているAndrés氏ですが、本作の実写カットでは「まず特殊メイク・特殊造形でベースを制作し、後からクリーチャーの口の動きや瞬きといったディテールをCGで補強していく」というアプローチを採用。

実物ゆえの生々しさを介在させつつ、高いCG技術によりリアルで高品質な映像が作り出されています。

本作にAIツールの類は用いられておらず、全てのシーンを手ずから作り上げているとのこと

ファミコン時代からゲームに親しみ、ピクセルアート表現への強い興味から自ら制作を始めたというAndrés氏。自身のバックグラウンドである「ピクセルアート」と「映像技術」を掛け合わせることで、異なるビジュアルから生まれるギャップがプレイヤーに強烈な刺激を与えると確信し、開発初期からこの取り組みを構想していたといいます。

とくに工夫を凝らしたのが、2Dゲームパートと実写カットの遷移です。開発当初はシンプルに画面を切り替えて「ではここからゲームに戻ります」といった見せ方をしていましたが、それでは少し味気ないと感じたため、ドアを開ける動作やスクリーンが暗転するタイミングに合わせて自然にゲーム画面へ移行するなど、プレイヤーの没入感を削がないシームレスな演出が随所に施されています。

また、実写とピクセルアート間で「オブジェクト(小道具など)の見た目をどこまで一致させるか」というバランス調整にも苦心したとのこと。100%の再現は物理的に難しいため、違和感を生まず、かつ両者の良さが活きる絶妙なバランスを追求していると語っていました。

また、本作ではシステム構築の段階から「ローカライズ」を強く意識した設計がなされているとMason氏。

以前Mason氏は『FAITH』のリリース時に、有志の方にテキストの日本語訳を制作してもらったことがあるそうですが、システム上の制約により自身の思い描くクオリティでテキストを当てはめることができなかったという経験があるそう。

その反省を活かし、今回は開発初期から多言語対応を視野に入れたシステムを構築し、翻訳テキストさえ用意できれば即座にゲーム内へ滑らかに反映できる体制が整えられました。今後さらに複数の言語へ対応することが決まった際は、速やかに翻訳テキストをゲームに組み込んでリリースできるように準備しているとのこと。

インタビューの最後に、開発が大詰めを迎えている本作について、お2人からメッセージをいただきました。

Mason氏:「私は毎週のように新しい実写映像の上がりをチェックしていますが、終盤では非常に純度の高い恐怖体験を味わえる展開が待っています。私自身、この素晴らしいプロジェクトに携われていることに誇りを持っていますので、皆さんもぜひ楽しみにしていてください」

Andrés氏:「私は実写映像の監修だけでなく、ライターとしてシナリオも手がけています。実写映像のインパクトに惹かれて興味を持ってくださった方も、映像部分だけでなく、ゲームとして最後までしっかりと楽しめる作品に仕上がっています。これらの要素がまとまった新しいメディアミックスのような形で、すべてが私の『ひとつの作品』です。ゲーム部分と映像部分、その両方をぜひ楽しんでください」

本作の発売日については、2026年6月5日(現地時間)より開催される「Summer Game Fest 2026」にてアナウンスされる予定です。対応プラットフォームはPCおよび各種コンソールを予定しています。

Steamストアページ https://store.steampowered.com/app/2121510/Tenebris_Somnia/
リリース時期 2026年内(Summer Game Fest 2026にて発表予定)
『Tenebris Somnia』公式Xアカウント「BitSummit PUNCH」公式サイト
浜井 智史

ゲームメーカーズで編集や諸業務に携わっています。『星のカービィ』シリーズと『ポケモン不思議のダンジョン』シリーズが好きです。

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