2026年5月22日(金)から24日(日)の3日間、京都・みやこめっせで開催された「BitSummit PUNCH」。展示されたゲームの中から、今回はBUBBLE GUMが開発するマルチプレイ協力アクション『Little Cheese Works』を紹介します。
心地よい操作をシステム側でそっとアシスト。ネズミがブラック労働に勤しむマルチプレイ協力アクション『Little Cheese Works』試遊&インタビュー【BitSummit PUNCH】
TEXT / 辻 冬依
EDIT / 浜井 智史
給料天引きに命の危機!? かわいそうでかわいいネズミのブラック労働
『Little Cheese Works』オフィシャルトレーラー
『Little Cheese Works』は2~4人でプレイする協力型アクションゲーム。つぶらな瞳で小さく丸っこいシルエットのネズミたちが、一生懸命チーズを集めて拠点に持ち帰るという内容で、かわいらしいアートスタイルが目を引く作品です。
ところが牧歌的なビジュアルとは裏腹に、彼らネズミたちはなんと破産寸前のチーズビジネスを手がける超絶ブラック企業「リトルチーズワークス」に務める企業戦士。
研修も休暇もなく、たった一度のミスで給料は全額没収&お説教タイム開始と、彼らの前には非常にシビアな現実が広がっています。
チーズを運ぶ道中は怖ーい「ネコ」なる生物が横たわっており、へまをして見つかってしまえば大惨事。最悪、命の保証もありません。
しかし、無事にチーズを持ち帰ってひと安心するのもつかの間、せっかくのお給料は年金やペナルティー、社宅管理費の名目で天引きされ、手取りは基本給と天地の差に……。
来る日も来る日も残業に明け暮れる、哀れで健気なネズミたち。それでも彼らは毎日必死になって、会社のために命懸けでチーズを持ち帰ります。
ステージにはネズミたちの行く手を阻むさまざまなギミックが待ち受けており、それらを適宜切り抜けながら目標地点に配置された大きなチーズをゲットし、会社へと持ち帰ることができればステージクリアとなります。
操作方法は、スティック入力で移動、Aボタンでインタラクト(物を掴む・放す、スイッチを切り替えるなど)と非常にシンプル。
また本作にはボイスチャット機能が搭載されており、みんなでワイワイ盛り上がりながらプレイ可能……と思いきや、大声を出すとネコが目を覚まし、あわや命の危機へ。ネコを起こさないようにひっそりと連携する必要があります。
大きなチーズは全員で持ち上げないと運べない仕様となっており、持ち上げた瞬間にカウントダウンが開始。「無事に持ち帰れるのか!?」という焦りや緊張感が生まれます。
また、Aボタンで他のネズミを持ち上げることも可能なため、1人では渡れない足場を越えたり、逆に水に落としてしまったりと連携プレイを繰り出せます。
ステージの種類は、キッチンや家の庭、下水道、溶岩地帯など多種多様。妨害ギミックも、坂道を転がり落ちてくる巨大な岩や、雪崩、急に火が付くコンロなど豊富なレパートリーが用意されています。
こだわりを感じるUI表現などが眺めていて心地よく、かわいい見た目で過酷な行為を強いられているという「かわいそうでかわいい」といった緩急が、プレイヤーだけでなく見ている側も楽しいというゲーム体験を生み出していました。
(画像はSteamストアページより引用)
「BitSummit PUNCH」の試遊ブースでは本作の体験版を遊ぶことができました。
製品版では借金返済のためのミニゲームが約40種類収録される予定とのこと。チーズを運ぶに留まらない遊びの幅の広がりも期待されます。
心地よいプレイをそっと実現させる、システム側での密やかな操作サポート
試遊ブースでは、BUBBLE GUMの畑中氏に本作の開発にまつわる話を伺うことができました。ここからは、そのインタビューの模様をお届けします。
――本作の公式Xにて、2023年と2026年のゲーム画面を比較する動画が投稿されているのを拝見しました。この3年間で、主にどのような要素がブラッシュアップされたのでしょうか。
how it started vs how it's going#gamedev #indiegame #wishlistwednesday pic.twitter.com/RGSxrUmCzR
— Little Cheese Works (@CheeseWorks_dev) February 4, 2026
how it started vs how it's going#gamedev #indiegame #wishlistwednesday pic.twitter.com/RGSxrUmCzR
— Little Cheese Works (@CheeseWorks_dev) February 4, 2026
畑中:大きく分けて2つの変化があります。ひとつは「ネズミのキャラクターデザイン」です。
初期のデザインは期間も予算も限られた中でデザイナーさんに仕上げていただいたもので、もちろん可愛かったのですが、GYAAR Studio インディーゲームコンテストで本作がプラチナ賞を受賞したのを機に本格的なブラッシュアップを行いました。
ネズミがコミカルなトラブルに巻き込まれた際、思わず「かわいそう!でもかわいい!」と感じられるような、いわゆるキュートアグレッションを刺激するデザインとなっています。
畑中:もうひとつは「ステージのビジュアル」です。ネズミの視点から人間の世界を冒険するワクワク感を演出するため、全体的に色味を加えてよりポップなテイストに仕上げています。
この3年間の進捗は大きく、ビジュアル面は劇的な進化を遂げました。唯一まったく変わっていないのはチーズくらいですね(笑)。
――現在の開発進捗はいかがでしょうか。
畑中:およそ8〜9割といったところです。順調にいけば年内リリースも狙える手応えですが、開発を進める中で「これも追加したい」という要素がいくつか出てきました。
たとえば、現在本作はマルチプレイを前提に設計していますが、新たにソロモードを実装する案が持ち上がっています。
また、現状の仕様ではネコを簡単にスルーできてしまう点も改善したいと考えています。本作は多彩なステージを遊べることも魅力のひとつですが、企画の原点にあるのは「巨大なネコに遭遇した際の『怖い!逃げよう!』という感情」です。このコンセプトに立ち返り、ネコをもっとゲームプレイの主軸に据えられるよう、現在さまざまなメカニクスを試行錯誤しています。
――ステージのギミックを制作する際、どのような点を大切にされていますか?
畑中:プレイヤーが心地よく狙い通りのプレイができる操作感には強くこだわっています。たとえば、バスケットゴールにボールを入れるステージでは、ゴール周辺に引力のあるフィールドを設定し、ある程度方向が合っていればすんなりとシュートが決まるようにアシストを入れています。
――たしかに、実際に試遊させていただいた際、ボールが気持ちよく吸い寄せられるような感覚がありました。
畑中:また、ボタンの上にブロックを乗せるギミックなどでも同様の処理を行っています。
そのほか「雪崩から逃げるステージ」にも隠し仕様があります。実は、ネズミが逃げ遅れて雪崩が迫っているときは雪崩の進行速度が落ち、逆に距離が開きすぎると速度が上がるよう調整しているんです。お子様を含め、誰でも適度な緊張感を持ちながら楽しく遊べるバランスを意識しています。
――ユーザーが直感的に「心地よい」と感じる手触りを追求されているのですね。では少し視点を変えて、本作の開発に限らず、ご自身が最も理想とする「ゲーム体験」とはどのようなものでしょうか?
畑中:先ほどの話にも通じますが、やはり「触っているだけでずっと遊んでいたくなるようなゲーム」が私の理想です。
私がゲームを作りたいと思った原点には『ソニックアドベンチャー2』という作品があります。当時のゲームにおいて、シネマティックなシーンからインタラクティブにステージ開始へ繋がるような、あの映画的な演出は非常に画期的でした。ボイスアクトも音楽もすべてが最高で、アクションの手触りも抜群。カジュアルに遊べる一方で、極めようと思えば無限の楽しみ方が見つかる。私にとって生涯最高の、忘れられない一本です。
あの作品に人生を変えられたように、私も「これ、めちゃくちゃ楽しい!」と誰かの人生を変えられるようなゲームを作りたいと常に思っています。
――特定のジャンルやビジュアルというよりも、当時ご自身が味わったような「感動」を届けられるゲームを目指されているのですね。
畑中:はい。ゲームは非常に広義なエンターテインメントだと捉えています。音楽、アクション、ストーリー、映像表現など、多様な要素が複雑に絡み合うことで完成する「総合芸術」のようなものです。もし「好きなものを何でも作っていいよ」と言われたら、そうしたあらゆる要素を自分なりに極め、まとめ上げたような作品を作ってみたいですね。
――ありがとうございます。ちなみに、パンフレットには今回の試遊に含まれていなかったステージもいくつか掲載されていましたが、今後体験版などで遊べるようになるのでしょうか?
畑中:そちらは製品版をご購入いただいてからのお楽しみということで、あえて事前に出しすぎないようにしています。バラエティ豊かなステージをたくさん用意していますので、ぜひ製品版のリリースを楽しみにお待ちいただければと思います。
――本日はありがとうございました。今後のご活躍も応援しています。
『Little Cheese Works』公式Xアカウント「BitSummit Punch」公式サイト大学で映像制作について横断的に学び、ゲームだけでなく映画やアニメーションなど幅広く興味を持つ。企画力から実装までマルチに行って理想のゲームアート的表現を追求したゲームを作るため、プランナーを主軸にゲーム制作をしている。最近『幻獣物語2』と『Monster Hunter XX』の熱が再燃している。
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