過去最大規模の出展団体数&来場者数を記録!同人・インディーゲーム展示会「東京ゲームダンジョン5」レポート

2024.05.08
注目記事イベントレポート
この記事をシェア!
Twitter Facebook LINE B!
Twitter Facebook LINE B!

2024年5月4日(土)、東京都立産業貿易センター浜松町館 3・4階展示室にて同人・インディーゲーム展示会「東京ゲームダンジョン5」が開催されました。本記事では会場の様子や出展していたインディーゲームをピックアップして紹介します。

TEXT / じく
EDIT / 酒井 理恵

目次

GW開催で2フロアともに大盛況だった「東京ゲームダンジョン5」

今回の「東京ゲームダンジョン」はゴールデンウィーク中の開催、そして2フロアに前回を上回る260団体が出展したことで、多くのインディーゲームファンが来場しました。

今回は一部の出展に大行列ができたり、当日券を求める来場者が多数入場待ちとなったりと、過去最大とも言える盛り上がりを見せていました。

本イベント恒例の「らくがきコーナー」

▼過去のイベントレポートはこちら

関連記事
初の2日間開催となった同人・インディーゲーム展示会『東京ゲームダンジョン4』レポート&主催者インタビュー
2024.01.29

気になる作品たちをフォトレポート!

『MotionRec』 作者:HANDSUM

YouTube動画『MotionRec|東京ゲームダンジョン5出展作品PV』

自分の動きの軌跡を記録・再生することでステージを進むアクションゲームです。軌跡の記録「モーションレック」を使って独自のモーションを記録・再生することで、ステージを速くクリアすることを目指します。

左の赤い画面が軌跡の記録中、右の緑の画面が軌跡の再生中

通常移動では進めない場所にも、「モーションレック」を再生することでたどり着くことができます。さらに「モーションレック」の再生にはリバース機能もあり、通常移動&「モーションレック」順送り&リバースの3種類の移動方法を駆使してステージを進みます。

左の赤い画面で右移動から落下した軌跡を記録し、右の青い画面ではリバース再生して上昇から左移動している

開発者のshoma氏に本作品のアイデアをうかがったところ、「2Dアクションで自キャラの動きを保存できたら効率的にクリアできるのでは?」というRTA的な発想があったそうです。

また本作品の魅力が伝わりにくいのに悩んでいたところ、「カセット」というメタファーを取り入れることで多くの方が理解しやすくなったそうです。ゲーム内やブース展示でもカセットをふんだんに取り入れたデザインが見られました。

『MotionRec』はSteamとNintendo Switchで2024年中のリリースを目標に開発中です。

『MotionRec』 公式サイトshoma氏 Xアカウント

『Last Standing』 作者:Nao Games

YouTube動画『Last Standing|東京ゲームダンジョン5出展作品PV』

左右から出現する敵を倒し続ける、というシステムは単純なゲームです。本作品の最大の特徴は「キーボードをバンバン叩き、マウスを振り回す」といった斬新な操作方法で、体感ゲームのようなプレイ感があります。

キーボードのおよそ左半分を押すと左攻撃、右半分を押すと右攻撃が可能で、同時に押したキーの数が多いほど攻撃力が高くなります。つまり、手全体でキーボードを叩くようにまとめて押すのが合理的です。

本作品について開発者のNao氏は「左右の敵を倒すというアイデアは元からあり、それを体感的にしたかった。とにかくガンガンキーボードを押して敵を倒して欲しい」と語りました。

『Last Standing』 はSteamとNintendo Switchで2024年12月にリリース予定です。

「Nao Games」 公式サイトNao氏 Xアカウント

『SAEKO: Giantess Dating Sim』 作者:SAFE HAVN STUDIO

YouTube動画『SAEKO: Giantess Dating Sim | ティザートレーラー』

人を小人にできる少女「冴子」と小人たちの生活を描くアドベンチャーゲームです。冴子によって小人にされてしまったプレイヤーは、昼は引き出しに監禁され、夜は冴子の話し相手になります。機嫌を損ねて冴子に握りつぶされないようにして、生き残らなければいけません。

本作品はシナリオ担当のkyp氏が感銘を受けた笛地静恵氏のGTS小説を原作としています。「GTS」とは本作品のサブタイトルにもある“Giantess”、「巨女」を意味しています。巨女と小人という独特な世界観、さらに昼と夜に分かれた個性的なグラフィックも相まって非常に魅力的な作品となっています。

またGTSという斬新なテーマによるインパクトだけでなく、深いテーマ性やマルチエンディングを楽しめるアドベンチャーシナリオになっています。

『SAEKO: Giantess Dating Sim』 は、Steamで2024年中のリリースを目標に開発中です。

『SAEKO: Giantess Dating Sim』 公式サイト『SAEKO: Giantess Dating Sim』 Xアカウント

『DRIFTED』 作者:HU CHI(UrbanFox)

YouTube動画『DRIFTED|東京ゲームダンジョン5出展作品PV』

紙飛行機を操作して、暗くて荒廃した世界を冒険するゲームです。横スクロールを基調としており、途中の狭い通路や障害を紙飛行機でくぐり抜けて進んでいきます。

操作方法は上昇と下降の2種類のみで、移動には紙飛行機としての自然な慣性があります。移動速度も一律ではなく、上昇ではスピードが緩くなり下降すると加速します。

本作品の最大の魅力は、その世界観とストーリー性です。薄暗い闇の世界はプレイヤーに緊張と不安を感じさせ、ステージのオブジェクトやギミックは「紙飛行機」が象徴的な何かであることをうかがわせます。

開発者のHU CHI氏に話をうかがったところ、本作品はシンプルに遊べるからこそ難易度にこだわっており、慎重にレベルデザインを進めているとのことでした。

またゲーム内ではテキストを一切表示せず、グローバルに伝わりやすいゲーム性やストーリーを目指しているそうです。

『DRIFTED』 はSteamで2024年中のアーリーアクセスを目標に開発中です。

『DRIFTED』 SteamストアページHu Chi氏 Xアカウント

『ネフィ~月灯りの迷宮~』 作者:株式会社トムクリエイト

YouTube動画『ネフィ~月灯りの迷宮~|東京ゲームダンジョン5出展作品PV』

VR専用のアクションパズルゲームです。封印された月の女神を救うために、見習い巫女・ネフィと一緒に不思議な迷宮の謎を解き明かしていきます。

本作品はVRシステムに「Meta Quest 3」を採用しており、ジョイスティックやボタンでキャラクターを操作しつつ、バーチャル表示の手でキャラクターを撫でたりオブジェクトにアクセスできたりします。

本作品の特徴としては、VRでよく見られる一人称視点のゲームではなく客観的な視点でプレイできることが挙げられます。実のところ筆者はVR酔いしやすい体質でVRゲームは苦手だったのですが、本作品では全くストレスを感じず快適にプレイできました。

開発の狙いについてうかがったところ、VRには没入型のゲームが多いのであえて日本的な客観視点によるゲームにしたとのことでした。それゆえにキャラクターを撫でたり、オブジェクトをステージの背後に隠してのぞき込む必要があったりするギミックを考えたそうです。

『ネフィ~月灯りの迷宮~』は「Meta Quest 3」「Meta Quest 2」対応で2024年中にリリース予定です。

『ネフィ~月灯りの迷宮~』 公式サイト「株式会社トムクリエイト」 Xアカウント

『マイクカート(仮称)』 作者:六方

マイク入力とハンドル操作でカートを運転する配信映えを狙った「絶叫レーシングゲーム」です。

マイクに向かってしゃべるとそれを動力としてカートが前進し、左右操作はハンドルで行います。音量が大きいほどスピードが上がるので、会場内には真剣にプレイする試遊客の声が響き渡るという珍しい光景となっていました。

本作品の仕組みを開発者のBohfula氏にうかがったところ、UnityのMicrophoneといったオーディオ機能を使用しているそうです。また、「uLipSync」という音声から音色の特徴量の一つであるMFCC(メル周波数ケプストラム係数)を求め、それを元に口の形状を推定し、リップシンクの情報を生成・利用できるプラグインも利用しています。

取材インタビューに回答する音声でゲームプレイという発想の転換!

では「uLipSync」をゲーム中でどのように利用しているかというと、マイクに対して特定の音声入力を行うことでバックやドリフトといったアクセル以外の操作も可能にしています。

画面左上に音声の波長が表示されて識別状況を確認できる

今回の出展バージョンはわずか6~7時間で開発を行ったモックとのことで、今後は音声やゲームデザインの調整を進め、2024年中にSteamでアルファ版のリリースを目指しているとのことです。

「有限会社 六方」 公式サイト

今回の「東京ゲームダンジョン5」は過去最大規模の出展団体数&来場者数となり、ピックアップした作品以外にも多くの魅力的なインディーゲームが発表されていました。

インディーゲーム開発者にとっての応援や刺激、新たなゲームや人との出会いを与えてくれる「東京ゲームダンジョン」の今後の発展にも期待したいと思います。

「東京ゲームダンジョン」公式サイト「東京ゲームダンジョン」Xアカウント
じく

ゲーム会社で16年間、マニュアル・コピー・シナリオとライター職を続けて現在フリーライターとして活動中。 ゲーム以外ではパチスロ・アニメ・麻雀などが好きで、パチスロでは他媒体でも記事を執筆しています。 SEO検定1級(全日本SEO協会)、日本語検定 準1級&2級(日本語検定委員会)、DTPエキスパート・マイスター(JAGAT)など。

関連記事

大阪・日本橋の街並みがピクセルアートで描かれる。メイド喫茶ADV『電気街の喫茶店』プレイレポ&開発者インタビュー【BitSummit Drift】
2024.07.25
アクティブゲーミングメディアの新たなグローバルPRブランド「Graph」はパブリッシャーと何が違うのか?直接、話を聞いてみた【BitSummit Drift】
2024.07.25
SWERY氏・須田剛一氏が初コラボ。スラッシャーアクション『ホテル・バルセロナ』のプレイレポート、インタビューをお届け【BitSummit Drift】
2024.07.24
チュートリアルでプレイヤーが迷わない理由は「ユーザー文化の理解」と「ステレオタイプの利用」にあった。直感で理解できるゲームをどう作るか【cluster革命前夜 Unity賞受賞者インタビュー】
2024.07.23
口調もヒント。あえて日本語吹替をやめた『Gloomy Juncture』はヒッチコックなどの映画に影響を受けた高難易度パズルアドベンチャー(ビジュアルデザイン最優秀賞)【BitSummit Drift】
2024.07.22
韓国の爽快トップビューアクション『Kusan : City of Wolves』。ホットライン・マイアミのバトルに憧れ、6年を掛けて開発【BitSummit Drift】
2024.07.22

注目記事ランキング

2024.07.20 - 2024.07.27
VIEW MORE

連載・特集ピックアップ

イベントカレンダー

VIEW MORE

今日の用語

フォグ(Fog)
フォグ 「霧」を意味する英単語。3DCGにおいて、現実の霧による見た目をシミュレーションする画面効果やエフェクトを指す。代表的なものとして、カメラから遠くにあるオブジェクトの色調を変化させることで遠近感を出す手法がある。
VIEW MORE

Twitterで最新情報を
チェック!