初の2日間開催となった同人・インディーゲーム展示会『東京ゲームダンジョン4』レポート&主催者インタビュー

2024.01.29
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2024年1月20日(土)・21日(日)、東京都立産業貿易センター浜松町館 5階展示室にて同人・インディーゲーム展示会『東京ゲームダンジョン4』が開催されました。本記事では、21日(日)に出展していたインディーゲームをピックアップして紹介するとともに、主催者の岩崎 匠史氏にインタビューも実施。会場の様子をお伝えします。

TEXT / じく

EDIT / 酒井 理恵

目次

初の2日間開催となった『東京ゲームダンジョン4』

2022年8月に第1回が開催されて以来、回を重ねてきた「東京ゲームダンジョン」は今回、初の2日間にわたる開催となりました。

出展者登録をした団体は20日(土)が180グループ、21日(日)が174グループ。2日間通して出展した団体も含め、計251グループが参加登録をしました。

入場を待つ一般参加者

2日分の出展者情報

通路も広く取られている

チラシ置き場やグッズ販売所なども設けられていた

なお、ゲームメーカーズではこれまでの「東京ゲームダンジョン」「横浜ゲームダンジョン」全てのイベントレポートを掲載しています。

2023年8月に行われた「横浜ゲームダンジョン」のイベントレポートはこちらをご覧ください!

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気になる作品たちをフォトレポート!

『Pricolage -Idolized-』 作者:HIJIKI

YouTube動画『Pricolage -Idolized-|東京ゲームダンジョン4出展作品PV』

KPOPアイドル・セナのSNSを探索し、真実を明らかにしていく、謎解きアドベンチャーです。操作はすべてマウスのみで行います。

本作品は「RPGツクールMZ」で制作したと開発者のHIJIKI氏。これまでも「RPGツクール」などを使って、ノベルゲームやアドベンチャーゲームを手掛けてきました。

SNSの要素もゲームに取り込んでいる

本作品は、韓国の個人開発者Somiさんの作品『REPLICA』の「他人のスマホを覗き見る」点からヒントを得たそうです。現実の生活では他人をストーキングし、プライバシー情報を覗き見することは許されないことですが、それをゲーム上で疑似体験できることを『Pricolage -Idolized-』の魅力の1つに挙げました。

『Pricolage -Idolized-』は2024年2月19日にSteamにてリリース予定です。

『プリコラージュ -IDOLIZED-』公式サイトHIJIKI氏 Xアカウント

『マーダーミステリーパラドクス このひと夏の十五年』 作者:213℉

人口数百人の離島“式音島”を舞台に、繰り返し発生している“式音島の神隠し”という怪事件の謎を解き明かしていくテキストアドベンチャーゲームです。

タイトルにもあるとおり本作品はコミュニケーションゲームの「マーダーミステリー」の要素が含まれています。

プレイヤーは事件の犯人捜しに参加しますが、プレイヤー自身も容疑者の一人として他の人物たちから疑われる立場。限られた時間の中で容疑者たちとの会話を通じて推理を進めるのと同時に、自身の疑いを晴らすため周りからの信用を集める必要があるのです。

本作の発想の原点の1つにあったのは「マーダーミステリー」のテキストアドベンチャー化です。プレイヤー同士の対戦要素もあるマーダーミステリーを1人で遊べるようにする、という点では、『グノーシア』や『レイジングループ』も参考にした、とプロデューサーの塩川洋介氏。

制作にはノベルゲーム制作ツール「ティラノビルダー」を使用しました。UIやゲームシステムにかなりの作り込みを感じます。

『マーダーミステリーパラドクス このひと夏の十五年』は、Steamにて配信中です。

『マーダーミステリーパラドクス このひと夏の十五年』 公式サイト『マーダーミステリーパラドクス このひと夏の十五年』 Xアカウント

『ぼったくりタクシー』 作者:総合コンテンツ制作サークル

YouTube動画『ぼったくりタクシー|東京ゲームダンジョン4出展作品PV』

タクシー運転手となってお客様にバレないように遠回りをする、文字どおり「ぼったくる」ゲームです。お客様と会話をしながら運転し、目的地に到着するとクリアになります。

お客様との会話で機嫌を取りながら遠回りをし、お客様がキレてしまうギリギリまでぼったくってスコア(運賃)を伸ばせるかがゲームのポイントになります。

本作品は明治大学公認サークル「総合コンテンツ制作サークル」によるものです。アンリアルエンジンやBlenderを使用し、大学1年生12名で開発しています。メンバーで互いにアイデアを出し合い「日常では許されないぼったくり」がテーマに選ばれたそうです。

今後もブラッシュアップを重ねるそうだ

「総合コンテンツ制作サークル」は明大祭にも出展。その際の作品は、公式サイトからダウンロードできます。『ぼったくりタクシー』は2024年内に正式版リリースを目指しています。

「総合コンテンツ制作サークル」公式サイト「総合コンテンツ制作サークル ゲーム班」 Xアカウント

『Red Ram』 作者:モリカトロン株式会社

YouTube動画『生成AIで全コンテンツを無限に自動生成できるミステリーゲーム Red Ram のご紹介』

ストーリー/トリック/登場人物のプロフィールなどのテキスト、キャラクターデザイン/証拠品/風景などの画像が、全てAIで生成されるアドベンチャーゲームです。

プレイヤーは被害者の職業や凶器など事件に関わる4つのキーワードを入力して、選択肢から犯行動機を選びます。

それから数十分ほど待つと、ゲーム内のアセットがほぼすべてAIによって生成され、アドベンチャーゲームが完成するという仕組みです。

今回は一度ブースで事件制作して、間を置いてから再訪問すると、無事にゲームができあがっていました。

「事件制作」の数十分後にゲームが完成。ゲームはQRコードを読み込んでWebブラウザ上でもプレイできる

リードエンジニアの宮川氏に話をうかがったところ、テキストはChatGPT 3.5/4、画像はStable Diffusionを使用して生成しているとのことでした。PythonでWebサーバを構築し、生成AIとのやり取りを行っています。

本作品はモリカトロン株式会社の技術デモの一環で、著作権等のリスクも考慮して現段階では販売予定のないコンセプトモデルとなっています。

『Red Ram』の技術解説やモリカトロン株式会社の生成AIに関する取り組みについては、公式サイトでも紹介しています。

モリカトロンAIラボ - Red Ram

『回転DooooN!!』 作者:Make.

箱型調理器を回して中に入っている具材を動かし、下にある丼にうまく落として指定どおりの丼を作るゲームです。

単純に箱を回して具材を下に落とすだけでなく、「包丁で切る」「醤油で漬ける」「油で揚げる」などの調理を箱の中で済ませてから落とす必要があります。

本作品は東京工科大学メディア学部の学生たちで構成されたチーム「Make.」によるもので、ゲームクリエイター甲子園2023では企業賞やゲスト審査員賞を受賞しています。

箱を回して物を落とすというロジックを「丼を作る」というテーマに落とし込み、調理というギミックによるゲーム性も広がっています。また、間違った丼を作っても「〇〇丼」と命名される面白さにより、パズルゲームが魅力的なものになっています。

『回転DooooN!!』はゲームクリエイターズギルドの「みんなのゲームパレード」で公開されています。

『回転DooooN!!』みんなのゲームパレードテッペイ(『回転Doooon!!』キャラクター) Xアカウント

主催の岩崎氏にインタビュー

イベント当日、開会中の忙しいなかではありましたが、主催の岩崎氏にお話をうかがえました。

自身もインディーゲーム開発者である東京ゲームダンジョン主催の岩崎 匠史氏

——今回初の2日間開催となりましたが、第1回からここまで規模が大きくなることは想定していましたか?

全く考えていませんでした。最初は仲間内の小さな発表会というイメージでしたが、開催してみると出展を希望する方が多く需要もあって規模を大きくしていった感じです。

——プロジェクター・パネル・チラシ置き場など、こういった会場内の施策は意識されていますか?

自分もゲームを作っている側の人間なのでどういうものが欲しいかを考え、いかに出展者が快適に展示できるかを常に意識しています。

例えば、出展者さんから「チラシ置き場のスペースが足りない」という話を聞いたので、チラシ置き場は前回の倍の広さにしています。

——他にも会場規模に対して出展スペースや通路がかなり広く取られているのが特徴的です。

机周りが窮屈にならないように、通路もなるべく広くするという点はこだわりです。狭いと出展者のできることが限られてしまいます。また、来場者の方も、広いほうが快適に試遊できます。

通路が狭いと「奥まで行って見てみよう」という気持ちがそがれてしまいます。会場内の回遊性を高めて多くのブースを見てもらうためでもあります

——こういったこだわりと出展需要の増加から、2日間開催に踏み切られたのですか?

希望者が増えたなら詰め込めばいい、とはできませんので2日間開催にしました。ただし、出展者によっては2日とも参加するのは避けたいという方もいるので、1日だけ参加という枠も設けました。例えば参加者の中には地方の方もいて、2日間となると宿泊費などもかかってしまいます。そういった点も含め、できる限り出展者にストレスを与えないよう心がけています。

——規模以外に第1回から今回にかけて何か変化を感じることはありましたか?

モバイル向けゲームの出展が減り、Steam向けゲームが増えました。Steam Deckのリリース、Steam自体の浸透などいくつかの要因があると思います。

作品としては『NEEDY GIRL OVERDOSE』のヒットが影響しているのか、「可愛らしい女性の毒のあるストーリー」といった傾向を持つ作品が増えた気がします。

——今後の開催予定についてお教えください。

頻度を上げてなるべく短いスパンで開催したいと考えています。当初は年2回ということで始めましたが、年3~4回くらいにしたいですね。1回のイベント規模を大きくするのではなく、回数を増やして出展者が出展したい時に出展できる状態を実現したいです。

——出展者さんの“締め切り”をたくさん用意してあげる感じですか?

追い込みをかけるというか(笑)。でも、東京ゲームダンジョンに合わせて開発しました、と言われるのはとても嬉しいことです。

次回は同じくここ東京都立産業貿易センター浜松町館で5Fと4Fの2フロアを使用した1日開催を予定しています。あくまで出展者ベースで今くらいの規模をキープし、これからもイベントを開催していきたいと考えています。

『東京ゲームダンジョン』公式サイト『東京ゲームダンジョン』Xアカウント

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