バグも採用しながら温もりのある描画表現を実装。歩荷のブタが主役の探索謎解きアドベンチャー『A Tiny Wander』取材&試遊レポート【BitSummit PUNCH】

バグも採用しながら温もりのある描画表現を実装。歩荷のブタが主役の探索謎解きアドベンチャー『A Tiny Wander』取材&試遊レポート【BitSummit PUNCH】

2026.05.24
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2026年5月22日(金)から24日(日)の3日間、京都・みやこめっせで開催された「BitSummit PUNCH」。展示されたゲームの中から、今回はチーム「洞窟ペンギンクラブ(DOUKUTSU PENGUIN CLUB)」が開発中の探索謎解きアドベンチャー『A Tiny Wander』を紹介します。

TEXT / 藤縄 優佑

目次

落ち着いた雰囲気でゆったり謎解き

『A Tiny Wander – 2nd Trailer (Updated Version)』

『A Tiny Wander』は、洞窟ペンギンクラブの埜々原(ののはら)氏による画集『ヲかシな建物探訪記』の世界観をベースにしたスピンオフ作品。

本作の主人公であるブタの「ぶぅ」は旅する歩荷(ぼっか)として働き、依頼を受けて森へ赴くことになります。

森では道に迷ったり、荷物を紛失してしまったり、荷物の運搬に使う背負子のパーツも破損したり。度重なる事故や妨害が彼を襲います。

配達の道中、踏んだり蹴ったりな状況に陥る

「ぶぅ」はそんなアクシデントにもめげず、周囲の環境・状況を観察しながら知識や知恵を絞って配達する方法を模索します。

アイテム同士の組み合わせで新たなイベントが発生することも(動画はSteamストアページより引用)

それだけでは厳しいゲームに聞こえますが、アクションの腕前が求められるものではなく、人々との交流を通じて温もりも感じる話が展開。柔らかいタッチの3DCG、かわいらしいイラスト、落ち着いたBGMなども相まって、いわゆるコージーゲームに位置づけられる雰囲気が醸し出されています。

謎解きだけでなく、コーヒー豆を挽いてカフェオレを振る舞うシーンも登場(画像はSteamストアページより引用)

ボリュームは増大したけれど、「短時間でクリア可能」な点は変わらない

本作を開発する「洞窟ペンギンクラブ」は3人チーム。

アート全般・シナリオ・ディレクションを担当する埜々原(ののはら)氏、キャラクターデザイン・シナリオ・プロモーションを担当するモノヨ氏、プログラムを担うセウ氏という構成で、音楽は鷹尾まさき氏に依頼しています。

本インタビューでは、チームを代表して埜々原氏にお話をうかがいました。同氏によると、『A Tiny Wander』は半年で完成させる予定だったといいます。

インタビューに応じていただいた、洞窟ペンギンクラブの埜々原氏

洞窟ペンギンクラブは、同作の前に『断崖のカルム』を開発していたのですが、作っているうちに規模が大きくなりすぎてしまいます。完成までまだまだ時間がかかると判断し、開発を一時中断。

『断崖のカルム』は、インディーゲーム支援プログラム「iGi」に採択された作品

まずはゲームを完成・リリースする経験を積むことも一つの目的として、小さなゲームを短期間で作ろうと決意。『A Tiny Wander』の開発がスタートしました。

「プレイ時間は1時間ほどを想定していたのですが、今では4〜5時間かかるボリュームに……。いまのところ2年かかってしまっています」と埜々原氏は話します。

ただ、いたずらにボリュームが増えてしまったわけではありません。たとえば、同氏は『ヲかシな建物探訪記』を出すほどに建築物が好きなのですが、本作の試遊範囲では建築物がほぼ見当たりません。

スタート時に少しだけ登場する建築物

これは、好きが高じて建築物を一度手を付けると内装などもこだわり、工数がかかりすぎてしまうため。建築物が登場する想定はあるものの、数はあえて控え目にしているとのこと。

『ヲかシな建物探訪記』は、空想の風景でありながら、リアリティも感じるイラストが収録された画集。なお、本作主人公の「ぶぅ」も同書に登場している(画像はエクスナレッジ・ストアより引用)

また、開始から15分ほどでクリアできる設計や、「プレイヤーが探索して気付き、解いた感覚」は当初から重視し、今も変わっていません。フィールドの環境や登場する生き物、オブジェクトの性質に気を配りながら、自然にひらめきが起こるような誘導を目指しており、試行錯誤を重ねています。

バグだったものも採用しながら、温もりのある表現を目指す

主な開発環境は、UnityBlender。それらを使った開発エピソードをうかがうと、「ぶぅ」のアニメーション、ランタンの光について教えてもらえました。

「ぶぅ」のモーションはカクカクしている点が特徴です。2Dゲームのような懐かしい雰囲気や、本の中にいるような世界を演出できているのですが、実はバグだったものです。

あるとき、「ぶぅ」のキーフレーム補間を入れ忘れたままアニメーションを実装してしまいました。意図していない動きで、温かみを感じるしゲームの雰囲気ともマッチすると判断され、偶然の産物がそのまま採用されました。

 

ランタンの光については、作品のルックを崩さない工夫が施されています。通常のライトオブジェクトをそのまま当ててしまうと、生々しい陰影・ハイライトが生まれてしまいます。その対策として、ランタンから放つ光はライティングではなく、シェーダーでアルベドに直接加算する手法を採りました。

(画像はSteamストアページより引用)

このアイデアは、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』からインスピレーションを得ています。作中の地下世界で「アカリバナの種」を投げたとき、周囲が明るくなる描写を見て「これだ!」と思い、あの雰囲気を目標に実装しました。

光の物理計算をパスする手法のため、GPUへの描画負荷が軽く、パフォーマンス面でも大きなメリットを生み出しています。

洞窟ペンギンクラブによる『A Tiny Wander』は現在開発中で、Steamストアページが公開されています。

『A Tiny Wander』Steamストアページ https://store.steampowered.com/app/3260830/A_Tiny_Wander/
「洞窟ペンギンクラブ」公式サイト https://doukutsupenguin.com/
『A Tiny Wander』Steamストアページ「BitSummit PUNCH」公式サイト

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