2026年8月8日(土)、東京都立産業貿易センター浜松町館の2階・3階にて、インディーゲーム展示会イベント「東京ゲームダンジョン13」が開催されました。
本記事では、数々の展示作品からライターが注目したタイトルをピックアップし、会場の様子とともにフォトレポート形式でご紹介します。
2026年8月8日(土)、東京都立産業貿易センター浜松町館の2階・3階にて、インディーゲーム展示会イベント「東京ゲームダンジョン13」が開催されました。
本記事では、数々の展示作品からライターが注目したタイトルをピックアップし、会場の様子とともにフォトレポート形式でご紹介します。
TEXT / 種村 朋洋
EDIT / 浜井 智史
『リリリ・リスポーン』主演発表PV|髙比良くるま(令和ロマン)
『リリリ・リスポーン』は、死に戻りの能力を駆使して「BOX」と呼ばれる謎の空間から脱出を図る3Dパズルアクションゲーム。
「BOX」の内部には、プレス機のように動く巨大立方体や、触れると即死するレーザー光線など、無数のギミックがプレイヤーを待ち受けています。そうしたギミックによって操作キャラが死亡すると、その地点に死体を残してリスポーンします。
死体を足場にしたり、仕掛けを起動する重りにしたりと、死に戻りを繰り返すことで新たな解法を生み出し、ギミックを攻略していきます。
(画像はSteamストアページより引用)
例えば、通常のジャンプでは届かない高い壁は、死体によじ登って足場にすることで乗り越えることが可能。
また、レーザー光線に撃ち抜かれて死亡することで、死体をレーザー光線を防ぐ遮蔽物として配置できます。
残した死体は自由に消すことが可能。死体をボタンの上に置くことで仕掛けを停止させ、道を通り抜けた後に死体を消して仕掛けを再起動させる、といった用途も。
ステージを進めるにつれて、不穏な演出とともに残せる死体の数が増加。死ぬ場所や順番を考え、パズルのように仕掛けを攻略する過程が楽しめます。
本作は、お笑いコンビ「令和ロマン」の髙比良くるま氏が主演を務める作品。
操作キャラの3Dモデルは、高比良くるま氏の3Dスキャンデータを専門スタジオで撮影し、Unreal Engine 5のMetaHumanモデルとして実装したものです。
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令和ロマン・髙比良くるま
ゲーム『リリリ・リスポーン』主演決定
◤◢◤◢◤◢◤◢◤◢◤◢◤◢◤◢◤◢倒れた自分を足場に進む新感覚アクション
『リリリ・リスポーン』主演発表PV公開Steam / Discordはリプライへ#リリリ pic.twitter.com/Q9v4h405pE
— Re³ (@re3_games) July 3, 2026
本作を手がけるのは、「Studio非」の高橋氏と石原氏。またパブリッシャーとして、「Re³」がプロデュースやマーケティング面を担当しています。
「Re³」は映像プロデュース業を背景に持つレーベルで、高比良くるま氏をキャスティングできたのも、そうした業界からのつながりがあったからだとか。
本作のアイデアは、アクションゲームでミスをして死んでしまっても何事もなかったかのように復活できる「リスポーン」のシステムそのものを、ゲームとして面白く表現できないかという考えから生まれました。
一般的にゲームで「死」は回避すべきものとされていますが、本作ではプレイヤー自らが「死」を選択し、死ぬ場所や死体の使い方を試行錯誤することで、「この死に方は上手くいった」といった独自のプレイ感や感想を抱かせるように意識されています。
試遊バージョンでもさまざまな切り口から死体を活用できましたが、製品版では、焼死すると死体が燃え盛るオブジェクトになったり、電撃を受けて死ぬと骨が抜けたグニャグニャした死体となったりとバリエーションが増え、攻略の幅が広がっていくとのこと。
(画像はSteamストアページより引用)
Studio非の過去作では、「開発者の家」や「実在の駅」を舞台にするなど、現実世界をゲーム空間に組み込む表現が用いられてきました。本作は3人称視点のアクションゲームということもあり、操作キャラのモデルに実在の人物を起用し、「人」を現実とゲーム世界の橋渡しに据えることを試みています。
また、お笑いにおける「細かく展開を繰り返す」構成にリスポーンとの類似点を見出したといい、本作のゲームと相性が良いものとして感じられたそうです。
本作には簡単なストーリーも含まれていますが、言葉によるセリフなどは登場せず、ゲームプレイを通して世界観や物語を感じられる構成を目指しているそうです。
開発に着手したのは2026年の初頭で、現在は6割ほどが完成しているそう。今後は、パズルのボリュームを増強していくほか、シナリオやエンディングの演出を制作し、ささやかな世界観を味わえる要素も加えていくとのこと。
普段のStudio非は1作を半年程度でスピーディーに開発する体制を取っているそうですが、今作は高比良くるま氏のキャスティングなどチャレンジの多いプロジェクトとなったため、従来より開発期間が伸びたといいます。
2026年11月頃のリリースを目指して、本作は鋭意開発中です。
『リリリ・リスポーン』Steamストアページ「Re³」公式XアカウントClickHere!! プロモーションビデオ
『Click Here!!』は、PCのデスクトップに現れる「U」というキャラクターが繰り出す「クソなUI」の数々を、クリックで次々と捌いていくアドベンチャーノベルゲームです。
最高の作業環境を提供するという触れ込みの最新ソフト「U」をインストールしたところ、その正体はなんと、PC環境を勝手に書き換え、デスクトップをめちゃくちゃにする大迷惑なAIシステムだった――というストーリー。
プレイヤーは「U」をアンインストールしようとしますが、「U」の妨害にあい、簡単にアンインストールさせてもらえません。
「U」をアンインストールするためには、ロード画面に見せかけて手動で消さなければ画面に残り続けるインジケーターや、一筋縄では突破できない画像認証、操作を妨げる広告表示など、どこかで見たことのある「クソなUI」を攻略しなければなりません。
UIの攻略法はバリエーションに富んでおり、単純に指定箇所をクリックするだけでなく、「U」のセリフから条件を汲み取って対処したり、曖昧な選択肢から素早く正解を選び取ったりと、パズルゲームのようなゲーム性も含まれています。
画面全体のポップなデザインと「U」のコミカルなキャラクターが合わさり、イライラしつつもつい笑えてしまう絶妙なバランスで成り立った印象的なゲームとなっています。
本作を手がけるのは、3名のクリエイターからなるゲーム制作チーム「またね」。
開発のきっかけは、日常で遭遇する不合理で不親切なUIに、ある種の「パズル性」を見出したこと。一向にダウンロードが進まないストレスや、画像選択によるキャプチャ認証の理不尽さなど、UIにまつわるちょっとしたストレスの「あるある」をゲームに落とし込むことで、「うざいけれど、どこか愛着の持てる面白い体験になるんじゃないか」と考えたそうです。
一方で、ストレスが溜まるUIをモチーフとしている関係上、そのままゲームにするだけではただプレイヤーをイライラさせるだけで、すぐに離脱されてしまう懸念があったといいます。
そのため本作では、楽しいゲーム体験を維持する数々の工夫が施されています。とくに、単調で苦痛な作業と感じさせる要素を排除し、プレイヤーの試行錯誤と推進力を生み出すため、テンポやレスポンスを細かく調整しているそうです。
本作のターゲットとして、インディーゲームを熟知しているコアゲーマーより、インディーゲームに触れたばかりの「ライト層」を強く意識しているそう。そのため、ゲームっぽさを前面に押し出すのではなく、誰でも親しみやすく、馴染みやすいアートスタイルが目指されています。
中でも、本作のアイコンであり、デスクトップ上でプレイヤーを翻弄する「U」は、メタ的な視点や軽妙な語り口で独特な存在感を放っています。このキャラクター造形には、プレイヤーの邪魔をしてくる相手でも完全に敵として嫌われる存在にはしないというこだわりが込められています。
「U」のデザインはユニコーンをモチーフとしています。デスクトップを舞台にしていることを受け、2010年代に誕生した音楽ジャンル「Vaporwave」(ヴェイパーウェイヴ)のビジュアルや、GitHubのアイコンなどでよくユニコーンがモチーフされていることに起因しています。
デスクトップという世界観にカートゥーン調のデザインで彩られた本作。「UI」をメインテーマとしているため、アプリのアイコンのようにすっきりとしたポップなデザインへとブラッシュアップが重ねられています。
『Click Here!!』は2027年中の正式リリースを目指して精力的に開発中。試遊版では第1章にあたる物語をプレイできましたが、すでに作品全体のプロットは完成しており、現在は第2章のギミック作りやコンテンツ制作が進められています。
「またね」公式Xアカウント『たたかう だけ』Steamストアページ公開トレイラー
『たたかう だけ』は、昔ながらの携帯ゲーム機を彷彿とさせるコマンドRPGと、メタフィクション表現をかけ合わせたアドベンチャーゲームです。
主人公の姫を操作して戦闘に挑みますが、使えるコマンドは「たたかう」だけ。攻撃対象は敵だけに限らず、味方を対象とすることで行動を誘発できるほか、ウィンドウ枠や、果てはゲーム機本体すら攻撃が可能。画面の外側に干渉することで敵を攻略する独特な体験が味わえます。
コマンドRPGパートを終えると、舞台が突如として現実世界の部屋に切り替わり「現実パート」が始まります。
目前に迫る恐ろしい怪物を、RPGパートのように「たたかう」コマンドで身の回りの物を利用しながら撃退しなければなりません。
ゲームの中と外という二重の世界が交差することで、ストーリー面でもシステム面でも深いメタフィクションの体験が味わえるコマンドRPGとなっています。
開発者は、メタフィクションタイピングゲーム『Dyping Escape』を手がけたヘビサイドクリエイションのたらひろ氏。会場では『たたかう だけ』開発の経緯についてお話を伺いました。
前作『Dyping Escape』のリリース後に次回作の試行錯誤をしていた中で、Discord上のゲーム開発コミュニティ「unity1week Team-Up!!」に参加して開発チームを結成。その後「とりあえず作ってみよう」と制作したのが、本作の前身にあたる『たたかう だけのゲーム』です(unityroomで公開中)。
unityroom版の制作段階から、ゲーム外の世界とコミュニケーションを取るようなパートを入れたいと構想していたものの、作業時間の都合で断念。その後、正式に製品版を制作することが決まり、かつて断念した「現実パート」にもフォーカスしようと考え、本作のゲームシステムが構築されました。
本作のシステムでは、RPGパートと現実パートで見た目や雰囲気が大きく変わるにもかかわらず、「たたかう」というコマンドを軸に一貫した文脈のもと演出が施されています。
例えば、現実パートで「たたかう」コマンドを選択すると「部屋にあるモノを投げる」という行動に出るなど、現実世界の動作がコマンドバトルのシステムに落とし込まれています。現在は、そのブレない軸の周りに「見た目の良さ」や「SNSでバズりそうな面白いアイデア」を肉付けしている段階だそうです。
その際、ただ新要素を付け足すだけではプレイヤーの認知コストが上がってしまい、楽しさより疲労感が勝ってしまいます。それを解決するため、ストーリー・ゲームシステムの両面で「文脈」を大切にしています。
例えば、RPGパート開始直後は「たたかう」しか選べず、そこから現実パートに移ると、今度は逆に「たたかう」が封じられてしまい、身の回りのアイテムを用いて戦闘を開始。そして再びゲーム機パートに戻ると、現実パートで使用したアイテムが戦闘システムに反映されている――というように、前のパートの体験が次の遊びにしっかりと繋がるような、丁寧なリンクを心がけているそうです。
作中のメタ表現は「パッと見て目立つかどうか」を最優先に据えています。とくに、SNSにゲーム画面の画像を投稿する際にインパクトを持たせるため「ゲーム機本体が物理的に壊れている」「3D空間に突如平然と解説テキストが表示される」といった突飛なビジュアルをまず考案し、それらをゲームのシステムに破綻なく落とし込むという過程で制作しています。
システムを破綻なく構築するのは難しいというたらひろ氏ですが、ストーリーとシステムが綺麗にはまるアイデアを閃く瞬間が一番楽しい部分でもあると語っていました。
ビジュアルに関しては、意図的にテイストを描き分けるために分業体制を敷いているそう。
ゲーム機の中に出てくる敵キャラクターのグラフィックを担当するメンバーと、ゲーム機の筐体や現実パートといったリアルな質感の部分を描く担当者で分けられています。
完成した素材をたらひろ氏がゲームに実装しつつ、シェーダーやポストエフェクトなどで全体のトーンを調整することで、「ゲーム空間」と「現実世界」という異なるテイストのアートを1つのゲームとしてまとめ上げています。
本作は、経済産業省のインディーゲーム開発者支援プログラム「IP360」に採択されています。unityroom版の完成から約半月後が「IP360」の応募締切であったため、「このタイミングなら、作ったものをそのままアピールできる」と全力で応募書類を揃えたといいます。
今後はプログラムを通して専門家やメンターの方から定期的にアドバイスや指導を受けながら、作品をブラッシュアップしていくとのことでした。
開発進捗については、全体の20〜30%ほどが完成しているそう。直近のマイルストーンとして、2026年8月末頃にバーティカルスライスの完成を目指しており、その後は一気にボリュームアップを進め、システムの拡充や、ストーリーをさらに盛り上げる演出やイベントの追加を予定しています。リリース時期は2027年の夏頃を目指しているそうです。
『たたかう だけ』Steamストアページ「ヘビサイドクリエイション」公式Xアカウント『TITANCLIMB』トレーラー
『TITANCLIMB』は、山のような巨体をもつ生命体「オーデ」の体を登攀するアクションアドベンチャーです。
オーデの登頂を目指して訪れた主人公ですが、オーデは全身を寄生体に蝕まれており、身動きが取れない状態にありました。主人公はオーデの体を登りながら寄生体を破壊し、その巨体を少しずつ癒やしていきます。
道中ではパラグライダーと各種アイテムを使いこなし、スタミナゲージの残量に気をつけながら登頂ルートを探し、巨人の体を攻略します。
オーデの体には多彩な生物が生息しており、我々が暮らす地球では見ることのできない独特な生態系が形成されています。彼らはときに登頂を妨げる存在となりつつも、巨人の体に広がる豊かで美しい自然環境を体感させてくれます。
バンド・デシネ(※)風のスタイルで描かれるビジュアルや、オーデの巨躯から見下ろす雄大な景色など、静謐で美しい世界観の作り込みにもこだわりが見られる作品です。
※ フランス語圏で制作される漫画作品の総称。日本国内の一般的な漫画とは異なりフルカラーの作品が多く、色彩表現や芸術性もフィーチャーされる
本作は、個人サークル「SandVehicle」によって制作されています。アートからレベルデザイン、プログラミングまで、すべてのゲーム要素を1人で手がけているとのこと。
もともと業務でUIを制作したり、イベント用にインタラクティブなミニゲームを制作したりと、職業柄Unityの使用機会があったといい、その中で「せっかくなら自分の1番好きな見た目や世界観を表現したゲームを形にしたい」という気持ちが湧き立ち、本作の制作をスタートしたそうです。
3Dモデルの多くはBlenderで自作していますが、オーデの体を構成する岩といった自然物のパーツなどは既製品を活用。オーデの全体のフォルムやデザインの方向性は自ら考案・制作し、ディテール部分を市販アセットで補強する体制を取っています。
生物の3Dモデルに関しては、操作キャラだけでなく4足歩行の動物や有翼生物のリグを、Blenderアドオン「Auto-Rig Pro」で構築。これによりアニメーション制作にかかる時間を大幅に短縮できたとのこと。
Unityのゲームロジック面では、経路探索用アセット「A* Pathfinding Project Pro」を活用し、敵や生物が自動でエリア内をパトロールしたり、プレイヤーを発見したら追尾したりするナビゲーションやAI機能を作成しています。
『TITANCLIMB』は2027年中のリリースを目標に開発中。今後は新たなステージやキャラクター、植物などを追加して、ゲーム世界のボリュームを増強する段階にあり、オーデの内部構造もより深く作り込んでいく予定とのこと。また、世界観をより深く感じてもらうためのストーリー要素も追加を予定しているそうです。
『TITANCLIMB』Steamストアページ「Sand Vehicle」公式Xアカウント2026年8月7日(金)で4周年を迎えたという「東京ゲームダンジョン」。その翌日、記念すべき5年目の最初の日となる8月8日(土)に開催となった「東京ゲームダンジョン13」には3,102名の来場者が訪れ、大盛況のうちに幕を閉じました。
次回の「東京ゲームダンジョン14」は、2026年10月31日(土)に開催。出展者の募集は本記事公開日である8月21日(金)の20時より先着順で開始されます。
今後もさらなる成長を見せてくれるであろう「東京ゲームダンジョン」に期待が高まります。
「東京ゲームダンジョン」公式サイト「東京ゲームダンジョン」公式Xアカウント制作者の個性とこだわりが光るインディーゲームが大好きです。
ゲーム以外では謎解きイベントや漫画が好きです。
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