2026年9月17日(木)から20日(日)まで、幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ2026(以下、TGS2026)」。展示ホール9~11に面した特設エリアでは、インディーゲーム展示企画「SELECTED INDIE 80」が展開されました。
1,500を超える応募の中から選ばれた80タイトルのうち、本記事では生物構築シミュレーションゲーム『Legacy Code』を紹介します。
2026年9月17日(木)から20日(日)まで、幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ2026(以下、TGS2026)」。展示ホール9~11に面した特設エリアでは、インディーゲーム展示企画「SELECTED INDIE 80」が展開されました。
1,500を超える応募の中から選ばれた80タイトルのうち、本記事では生物構築シミュレーションゲーム『Legacy Code』を紹介します。
TEXT / 種村朋洋
EDIT / 浜井 智史
『Legacy Code』1stトレーラー
『Legacy Code』は、フィールド上に散乱するガラクタを拾い集め、「メカニマル」と呼ばれる謎の生物を作り上げて敵のメカニマルと戦うシミュレーションゲームです。
メカニマルを構成するパーツには、段ボールやルービックキューブ、信号機、招き猫の頭部、瓶ケースなどの無生物的なオブジェクトに加え、人間の腕や蟹の足といった生物的なパーツも用意。
敵のメカニマルを倒すと新たなパーツを獲得でき、それを自らの体に継ぎ足すことが可能。組み合わせは無限大で、いかに複雑な構造であっても自由に接続できます。また、パーツごとに動作特性が異なるため、実際に操作してみるまでは予測できない、思いがけない挙動が生じる点も本作の大きな魅力です。
敵を倒してパーツを増強していく過程で、メカニマルのサイズやパワーは次第にスケールアップし、より強大な敵とも渡り合えるようになっていきます。
こうした複雑怪奇なメカニマルたちの挙動は、独自開発された物理制御システム「マリオネットエンジン」によって実現されています。
一般的な3Dゲームでは、あらかじめ作成された3Dモデルに対して固定のアニメーションを割り当てることでキャラクターを動かします。一方で本作の場合は、メカニマルの形状はパーツの組み合わせによって無数に変化するため、すべての形状に対して事前にアニメーションを用意することは不可能です。
そこで開発されたのが「マリオネットエンジン」。Unity標準の物理エンジン「PhysX」をベースに、IKやラグドールなど複数の物理機能を組み合わせて構築されており、いかなるパーツの組み合わせに対しても最適なアニメーションを自動生成し、プレイヤーが自由に操作できる仕組みが作り出されています。
独自の物理制御技術を駆使した自由度の高いゲーム性が評価され、本作はTGS2026における無料出展枠「SELECTED INDIE 80」に選出されました。
さらに、TGS2026内で開催されたインディーゲームコンテスト「SENSE OF WONDER NIGHT 2026」で、本作は「Best Technological Game Award(ベスト・テクノロジカル・ゲーム賞)」および「Best Arts Award(ベスト・アーツ賞)」の2部門で受賞を果たしています。
ゲームメーカーズでは2年前のTGS2024でも本作の出展ブースを取材し、開発チーム「127号室」の方にお話を伺っています。
今回のTGS2026では、この2年間でゲームシステムや「マリオネットエンジン」の仕様がどのようにブラッシュアップされたのか、また、開発体制の変化などについて改めてインタビューを実施しました。
本作は、2023年に「講談社ゲームクリエイターズラボ」のラボメンバーに採択された企画で、現在は講談社の担当編集の方からサポートを受けながら開発が進められています。
TGS2024で出展した当時は、「物理制御システムの技術的な発想の面白さを形にしたデモ」としての側面が強く、そこにゲームとしての面白さをいかに落とし込むかを模索している段階でした。
当時からすでに「作ったメカニマルを敵と戦わせる」アイデアが試されており、今回の出展ではそこに「倒した敵からパーツを回収して自身を強化する」要素が加わったゲームサイクルへと昇華されていました。
敵のメカニマルを登場させるにあたり、敵の制御系に関する仕様が大幅に改善されました。
一般的なゲームとは異なり、本作では敵のメカニマルもパーツの組み合わせが多岐にわたるため、敵自身も初期段階で自らの進退形状を把握していません。
そこで、敵の制御系に生物の神経系と筋肉系を模した概念を導入。たとえば、メカニマルの「目」に該当するパーツから視覚情報を取り込み、脳の役割を担う中枢処理機構へ伝達することで周囲の状況を把握します。それをもとに体の動かし方を決定し、全身のパーツへ指示を送るといったアルゴリズムが組まれています。
プレイヤーが操作するメカニマルも、基盤システムは敵のものと同一です。CPUの判断によって入力が行われるか、プレイヤーの判断によりキーボードやマウスから入力が行われるかという違いのみで、メカニマルが動作する仕組みは共通しているとのことです。
使用するUnityのバージョンも、2年前の「Unity 2021」から、現在は「Unity 6」へと引き上げられています。
バージョン移行の理由としては、本作でやや特殊な描画処理を用いているため、Unity 6の最新グラフィックス機能を採用して最適化を図る狙いがあったとのこと。このアップデートに伴い、現在は描画機能としてUniversal Render Pipeline(URP)のRender Graphが導入されています。
また、Unity 6からビルド設定をプロファイルで管理可能となった点も重宝しているそう。これまではWindows用/macOS用/イベント展示用など、用途に応じたビルドを用意するたびに個別のスクリプトを記述する必要があったところ、Unity 6では各ビルド設定を保存して切り替えられるようになり、利便性が向上したそうです。
こうした開発環境の改善に加え、Unity 6より行われたURPの抜本的な仕組みの刷新に対応するため、そして将来的にUnity 7など最新バージョンへスムーズに移行することを視野に入れて、段階的にバージョンを移行させる判断を下したという背景もあったのだとか。
また、エンジニアリング担当の安田氏自身が、新機能の使い心地を試すことやパフォーマンスの改善度を検証することを好むという側面もあり、最新のアップデート要素が積極的に導入されているようです。
アートスタイルの方向性や工夫点についてもお話を伺いました。
本作の世界観は「ゴミ捨て場に投棄されたゴミたちが独自の生態系を構築している」というコンセプトに基づいています。そのため、メカニマルたちのデザインにはガラクタのような雑多な印象を与えつつも、ただ不気味な生物として描くのではなく、予測不能な動きの中に垣間見えるかわいらしさを表現できるように目指しているとのことです。
描画用のシェーダープログラムもカスタマイズされており、セルルック調のトゥーンチックな表現を取り入れるため、エッジやアウトラインをシェーダーで描き込んでいるほか、衝撃を受けた際にエッジが太くなるといった演出も施されています。
3Dモデルの制作にはBlenderを使用しています。アニメーションシステムはすべてマリオネットエンジン側で制御されているため、アニメーションデータは制作せず、モデリングとリギングのみを行ってからUnityにエクスポートしているそうです。
テクスチャはシンプルなUV展開にとどめ、あえて描き込みを少なくすることで、のっぺりとしたトゥーンチックなシェーディングに仕上げています。
また、メカニマルのパーツは多彩なモチーフのものが大量に登場するため、デザインの一貫性を保つ工夫として全体の色数を絞り、画面の統一感をもたらしています。
2年間にわたる作り込みによりゲームシステムが形作られてきた本作。コアとなるゲームシステムはおおむね完成しており、現在はステージやパーツの種類を拡充していくフェーズに入っているとのことです。今後は全体のバランス調整を進めつつ、2027年中のリリースを目標に開発が続けられています。
『Legacy Code』Steamストアページ「東京ゲームショウ2026」公式サイト制作者の個性とこだわりが光るインディーゲームが大好きです。
ゲーム以外では謎解きイベントや漫画が好きです。
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