2026年9月17日(木)から21日(月)の5日間、幕張メッセにて日本最大のゲームイベント「東京ゲームショウ 2026」が開催されました。
インディーゲームコーナーには、経済産業省によるコンテンツ産業支援事業「IP360」のメニュー1「創風」ゲーム分野に採択された15タイトルが勢揃い。本稿では、創風ブースに出展された作品の中から「STUDIO 909」が開発する鉄道アドベンチャー『クワイエット急行909号室』をレポートします。
2026年9月17日(木)から21日(月)の5日間、幕張メッセにて日本最大のゲームイベント「東京ゲームショウ 2026」が開催されました。
インディーゲームコーナーには、経済産業省によるコンテンツ産業支援事業「IP360」のメニュー1「創風」ゲーム分野に採択された15タイトルが勢揃い。本稿では、創風ブースに出展された作品の中から「STUDIO 909」が開発する鉄道アドベンチャー『クワイエット急行909号室』をレポートします。
TEXT / ハル飯田
EDIT / 神山 大輝
本作の舞台は7日間かけて大陸を横断する鉄道「クワイエット急行」。主人公のアシュトンは、乗客も車掌もその存在を知らないという謎の「909号室」を探すため列車に乗り込み、車内を探索します。
一見するとどこにでもある風景の中を走る平凡な列車に思えますが、実は「日ごとに車両編成が変化する」という不思議な特徴を持っています。ゲーム内では、プレイヤーが車両の移動を行う際に“次の車両の内容”を3つの候補から選ぶシステムになっており、その結果でさまざまに分岐します。
客室や食堂車に加えて植物園など珍しい車両も存在しており、道中では巨人族や自称カメレオンとのハーフなど、これまた珍しい経歴を持つ乗客との会話イベントが発生。探索や会話を経て先頭車両まで進むと、その日の探索は終了に。
そうして遂に旅程最終日の7日目を迎えますが、終着駅を前に列車はトンネルの崩落に巻き込まれて横転。乗客全員が犠牲となる大事故が発生してしまいます。
しかし、次に主人公が目を覚ましたのは、なんと出発したばかりのクワイエット急行の車内。この「死に戻り」によるループを繰り返しながら列車が迎える悲惨な結末を回避しつつ、本来の目的である909号室の発見も目指していくのが本作の大きなゴールとなっています。
3Dで描写される車内を一人称視点で探索するとさまざまなアイテムが見つかり、乗客との会話によって使い道が明らかになっていくものも。ストーリーを進展させるためには、どこを探索し、誰と会話すべきなのか。先のことを考えながら自身の行動と次の車両を選択していく楽しみが味わえます。
探索で各所を漁ることで「不審度」パラメータが上昇していく要素があり、筆者はこれを車掌に相談することで「不審人物が乗り込んでおり、安全確保のために次の駅で乗客を降ろす」判断をしてもらえる、なんとも自作自演の手法によって事故の回避には成功しました。
しかし、目的の909号室は見つかるどころか手がかりさえ少なく、アシュトンは再びループの中へ。ループの始点に戻ってもイベントの進捗は引き継がれるため、何周も繰り返すことで乗客との関係性の深まりや新たな発見の喜びが味わえます。
ミステリーのテイストも帯びたアドベンチャーゲームですが、会話の内容や温かみのあるアートによって作品全体から明るい雰囲気が感じられるのも特徴。「今度はこれを試してみよう」と、次々にチャレンジできるゲーム性が印象的でした。
『クワイエット急行909号室』は「STUDIO 909」により開発中。会期中、ディレクションとシナリオ、プログラムを担当しているKazuhide Oka氏(@nKTqcTFkvMEjKcX)にお話を聞くことができました。
本作は同チームのプロデューサーによる「『創風』を目指そう」という発案から、2025年にスタートした企画。「海外でも受け入れられそうなテーマを」と鉄道を舞台とするゲームのモックアップを制作し、見事に2025年の創風に採択されたことで本格的に開発が開始されました。
これまでビジュアルノベルなどストーリーを軸とするゲームを手がけてきたOka氏にとって、本作は3D探索パートや謎解き要素など新たな分野へのチャレンジに。モデリングだけでも、キャラクター、列車、風景をそれぞれ3人の担当者が手掛けるなど、中規模チームでのディレクションにも苦心しているそうです。
次の車両を選んでいくシステムは「デッキから車両カードを3枚ドローするようなイメージ(Oka氏)」で候補が提示される仕組みに。必須の車両が必ずドローされる重み付けに加え、ストーリーの進行と紐づいて新たな車両をデッキに加えるなど入れ替えを行っていくことで、フラグを管理しています。
今回プレイしたデモ版では、基本的なゲームのループは完成しているようにも感じられましたが、Oka氏いわく「まだ20%程度」の仕上がりで、ストーリーもゲーム性もこれから作り上げていく段階とのこと。
初挑戦のパズル・謎解き要素をブラッシュアップするため、チームにレベルデザイン担当者を迎えての開発に。ストーリードリブンのゲームを作ってきた経験も踏まえて「物語を読みたいのに謎解きが続くと邪魔に感じられてしまうこともあるので、良いバランスを探っていきたい」と、今後の展望にも触れていただきました。
なお、今年の創風ブースに出展されたのは第1回公募に採択された15作品で、補助金増額となる第2回公募には、TGS2026での一般投票の結果も考慮される仕組みに。「こうしてダイレクトに評価を受けられる機会は珍しい」と、Oka氏もブースで精力的に作品をアピールしていました。
STUDIO909 公式XアカウントKazuhide Oka氏 Xアカウント創風(ゲーム分野) 公式Xアカウント「東京ゲームショウ2026」公式サイト大阪生まれ大阪育ちのフリーライター。イベントやeスポーツシーンを取材したり懐ゲー回顧記事をコソコソ作ったり、時には大会にキャスターとして出演したりと、ゲーム周りで幅広く活動中。
ゲームとスポーツ観戦を趣味に、日々ゲームをクリアしては「このゲームの何が自分に刺さったんだろう」と考察してはニヤニヤしている。
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