7日間の鉄道旅をループし、結末を変えるADV『クワイエット急行909号室』を創風ブースで試遊!目指すのは“ストーリーとゲーム性のバランス”【TGS2026】

7日間の鉄道旅をループし、結末を変えるADV『クワイエット急行909号室』を創風ブースで試遊!目指すのは“ストーリーとゲーム性のバランス”【TGS2026】

2026.10.02
取材レポート注目記事イベントレポートイベントレポート東京ゲームショウ2026東京ゲームショウレポート
この記事をシェア!
Twitter Facebook LINE B!
Twitter Facebook LINE B!

2026年9月17日(木)から21日(月)の5日間、幕張メッセにて日本最大のゲームイベント「東京ゲームショウ 2026」が開催されました。

インディーゲームコーナーには、経済産業省によるコンテンツ産業支援事業「IP360」のメニュー1「創風」ゲーム分野に採択された15タイトルが勢揃い。本稿では、創風ブースに出展された作品の中から「STUDIO 909」が開発する鉄道アドベンチャー『クワイエット急行909号室』をレポートします。

TEXT / ハル飯田
EDIT / 神山 大輝

目次

破滅の結末に向かって走る列車をループするADV

本作の舞台は7日間かけて大陸を横断する鉄道「クワイエット急行」。主人公のアシュトンは、乗客も車掌もその存在を知らないという謎の「909号室」を探すため列車に乗り込み、車内を探索します。

一見するとどこにでもある風景の中を走る平凡な列車に思えますが、実は「日ごとに車両編成が変化する」という不思議な特徴を持っています。ゲーム内では、プレイヤーが車両の移動を行う際に“次の車両の内容”を3つの候補から選ぶシステムになっており、その結果でさまざまに分岐します。

客室や食堂車に加えて植物園など珍しい車両も存在しており、道中では巨人族や自称カメレオンとのハーフなど、これまた珍しい経歴を持つ乗客との会話イベントが発生。探索や会話を経て先頭車両まで進むと、その日の探索は終了に。

巨人族の少女ポーラは客室で座り込んで終着駅を待っている

そうして遂に旅程最終日の7日目を迎えますが、終着駅を前に列車はトンネルの崩落に巻き込まれて横転。乗客全員が犠牲となる大事故が発生してしまいます。

しかし、次に主人公が目を覚ましたのは、なんと出発したばかりのクワイエット急行の車内。この「死に戻り」によるループを繰り返しながら列車が迎える悲惨な結末を回避しつつ、本来の目的である909号室の発見も目指していくのが本作の大きなゴールとなっています。

3Dで描写される車内を一人称視点で探索するとさまざまなアイテムが見つかり、乗客との会話によって使い道が明らかになっていくものも。ストーリーを進展させるためには、どこを探索し、誰と会話すべきなのか。先のことを考えながら自身の行動と次の車両を選択していく楽しみが味わえます。

時には車両内でアイテムを購入することも。ヒントやアイテムは所持品に加えられている

探索で各所を漁ることで「不審度」パラメータが上昇していく要素があり、筆者はこれを車掌に相談することで「不審人物が乗り込んでおり、安全確保のために次の駅で乗客を降ろす」判断をしてもらえる、なんとも自作自演の手法によって事故の回避には成功しました。

しかし、目的の909号室は見つかるどころか手がかりさえ少なく、アシュトンは再びループの中へ。ループの始点に戻ってもイベントの進捗は引き継がれるため、何周も繰り返すことで乗客との関係性の深まりや新たな発見の喜びが味わえます。

ミステリーのテイストも帯びたアドベンチャーゲームですが、会話の内容や温かみのあるアートによって作品全体から明るい雰囲気が感じられるのも特徴。「今度はこれを試してみよう」と、次々にチャレンジできるゲーム性が印象的でした。

ストーリーとゲーム性の良バランスを求めて開発中

『クワイエット急行909号室』は「STUDIO 909」により開発中。会期中、ディレクションとシナリオ、プログラムを担当しているKazuhide Oka氏(@nKTqcTFkvMEjKcX)にお話を聞くことができました。

本作は同チームのプロデューサーによる「『創風』を目指そう」という発案から、2025年にスタートした企画。「海外でも受け入れられそうなテーマを」と鉄道を舞台とするゲームのモックアップを制作し、見事に2025年の創風に採択されたことで本格的に開発が開始されました。

関連記事
大規模ゲーム開発へ最大15億円補助する経産省の支援事業「IP360」、採択結果が出そろう。スタートアップ支援「創風」への申請は819件、ゲーム分野は15件採択
2026.07.23

ゲームエンジンはUnity、3Dモデル制作にはBlenderを使用

これまでビジュアルノベルなどストーリーを軸とするゲームを手がけてきたOka氏にとって、本作は3D探索パートや謎解き要素など新たな分野へのチャレンジに。モデリングだけでも、キャラクター、列車、風景をそれぞれ3人の担当者が手掛けるなど、中規模チームでのディレクションにも苦心しているそうです。

次の車両を選んでいくシステムは「デッキから車両カードを3枚ドローするようなイメージ(Oka氏)」で候補が提示される仕組みに。必須の車両が必ずドローされる重み付けに加え、ストーリーの進行と紐づいて新たな車両をデッキに加えるなど入れ替えを行っていくことで、フラグを管理しています。

車両で誰とのストーリーが進行するのかは選択時点で確認できる

今回プレイしたデモ版では、基本的なゲームのループは完成しているようにも感じられましたが、Oka氏いわく「まだ20%程度」の仕上がりで、ストーリーもゲーム性もこれから作り上げていく段階とのこと。

初挑戦のパズル・謎解き要素をブラッシュアップするため、チームにレベルデザイン担当者を迎えての開発に。ストーリードリブンのゲームを作ってきた経験も踏まえて「物語を読みたいのに謎解きが続くと邪魔に感じられてしまうこともあるので、良いバランスを探っていきたい」と、今後の展望にも触れていただきました。

ブースにて配布されていたガイド。地図に列車のルートが描かれ、世界の作り込みが伺える

なお、今年の創風ブースに出展されたのは第1回公募に採択された15作品で、補助金増額となる第2回公募には、TGS2026での一般投票の結果も考慮される仕組みに。「こうしてダイレクトに評価を受けられる機会は珍しい」と、Oka氏もブースで精力的に作品をアピールしていました。

創風ブースの外観

販売サイト(ストアページ) https://store.steampowered.com/app/3962240/909/
リリース時期 2027年
STUDIO909 公式XアカウントKazuhide Oka氏 Xアカウント創風(ゲーム分野) 公式Xアカウント「東京ゲームショウ2026」公式サイト
ハル飯田

大阪生まれ大阪育ちのフリーライター。イベントやeスポーツシーンを取材したり懐ゲー回顧記事をコソコソ作ったり、時には大会にキャスターとして出演したりと、ゲーム周りで幅広く活動中。
ゲームとスポーツ観戦を趣味に、日々ゲームをクリアしては「このゲームの何が自分に刺さったんだろう」と考察してはニヤニヤしている。

関連記事

ゲーミングギアブランド「WALLHACK」にインタビュー!初挑戦のキーボード&マウスに込めた思い、日本市場への注目度を聞いた【TGS2026】
2026.10.02
『カリアのアトリエ』試遊レポート。“素材のつまみ食い”がオープンワールド探索を拡張する、シリーズ最新作のゲームデザインとは【TGS2026】
2026.09.25
絵柄も凹凸もないピースを組み立てる。ルール推測型デジタルジグソーパズル『Adap+ation』試遊&インタビュー【TGS2026】
2026.09.25
「東京ゲームショウ2027」、9/16(木)〜20(月・祝)の5日間で開催予定。TGS2026は4日間で25万7,642人が来場
2026.09.24
「何でも作れる」を目指さない。KONAMI発UGCプラットフォーム『ワイワイワールド Craft』のエグゼクティブディレクターに聞いた、作りやすく安心して遊べるUGCの在り方【TGS2026】
2026.09.20
「東京ゲームショウ2026」最終日9/21(月・祝)は開催中止。台風25号接近のため
2026.09.19

注目記事ランキング

2026.09.29 - 2026.10.06
VIEW MORE

連載・特集ピックアップ

イベントカレンダー

VIEW MORE

今日の用語

ライトニングトーク(LT)
ライトニングトーク 5分ほどの短い時間で区切って行うプレゼンテーションの手法。2000年ごろから浸透した手法で、技術カンファレンスや勉強会で行われることが多い。
VIEW MORE

Xで最新情報をチェック!