2026年5月22日(金)から24日(日)の3日間、京都の「みやこめっせ」にて日本最大級のインディーゲームイベント『BitSummit PUNCH』が開催されました。
今回はそんな会場の中から「373 Studio」が手がける会話型のビジュアルノベル『放送開始!タクシー推理事件簿』のプレイレポートと開発者インタビューをお届けします。
2026年5月22日(金)から24日(日)の3日間、京都の「みやこめっせ」にて日本最大級のインディーゲームイベント『BitSummit PUNCH』が開催されました。
今回はそんな会場の中から「373 Studio」が手がける会話型のビジュアルノベル『放送開始!タクシー推理事件簿』のプレイレポートと開発者インタビューをお届けします。
TEXT / ハル飯田
EDIT / 浜井 智史
主人公(プレイヤー)は自分が誰かも分からず、体もまったく動かせない状態で目を覚まします。聞こえてくる会話からタクシーに乗っているらしいことは理解できたものの、声を出してみても運転手も乗客も驚くばかりで自分には気づいてくれません。
それでも懸命に状況を分析していくと、タクシーのラジオを通じて言葉を発する「ON AIRシステム」によって意思の疎通が可能であることが発覚。ただし言葉を発するには放送されているラジオを”文章ごとに”かつ”意味が通じる順番”で置き換えていく必要があるため、適切な文章数のチャンネルに合わせ、音量を調整しながら会話を試みます。
そうして、関西弁を操るベテラン運転手としばらくコミュニケーションを進めて行くと、どうやら主人公は年代物のタクシーに新搭載されたAIであることが明らかに。
運転手は業界を牛耳る巨大企業「TAGO」の管理の下で厳しい評価システムで労働を強いられているらしく、状況を鑑みるに主人公はTAGO製の管理アプリとも考えられますが、それでは主人公が何も覚えていないことに説明がつきません。主人公は違和感の正体と自分自身について探ることを決意します。
真相解明のためにも、まずは運転手が通常通り業務を続けられるように、乗客からの評価値である「サービススコア」を一定値まで回復させることを目指す主人公。AIアシスタントとして配車予約を確保し、運転手が高評価を得られるよう会話でアシストしていく……というのが本作の流れとなります。
タクシー業務のサポートに励む過程で、乗客の奇妙な体験を解き明かしていくというミステリー仕立ての展開が繰り広げられる本作。
デモ版では、怪奇現象に遭遇したと語る乗客が登場。発言内容を分析していくことで矛盾を見つけ出し、乗客に悟られない形でうまく運転手に伝えなければなりません。
主人公は体を持たぬAIではあるものの、「察しの悪い探偵役にブレインがこっそり指示を与えていく」構図はコミカルなテイストで人情味を感じる内容でした。
システム面に関しても、単に文章の置き換えを繰り返すだけでは終わらず、配車や手がかりの収集、ときには「介入しない」判断を下すなど、できることの多さが満足感に繋がっていると感じられました。
『放送開始!タクシー推理事件簿』の開発を手がける「373 Studio」は中国のクリエイターチームですが、日本のゲームイベントにも精力的に出展されており、Xでも日本語による投稿を数多く発信しています。
「BitSummit PUNCH」の試遊ブースでは、本作の開発をひとりで進めているという373 Studio代表者の方にお話を伺いました。
本作のアイデアは「ドライブが好きだから、車のゲームを作りたい」という発想からスタート。タクシーが舞台のミステリー系作品とあって、テレビアニメ『オッドタクシー』をリスペクトしたタイトルとして、作中の雰囲気にも影響を受けているそうです。
開発はアンリアルエンジンで行っており、グラフィック制作にはAsepriteやPhotoshopを使用。素材も含めてほぼ完全に独力で開発しています。「孤独ではありますが、好きなことをやっているので辛くはなくて、とても楽しいです」と力強いコメントを頂きました。
「伝わりやすいように文章を並び替えていく」ゲーム性のため翻訳も重要になりますが、基本的には機械翻訳をベースに手直ししていくスタイルで取り組んでいるとのこと。オリジナルの中国語版における運転手の特徴的な口調を関西弁で表現するなど、自然なローカライズが実現している印象を受けました。
現在はアートのリソースを追加しながらシナリオも完成に向けて執筆中とのこと。クオリティとボリュームの両面で、更なるパワーアップを目指して開発が続けられています。
「373_Studio」公式Xアカウント「BitSummit PUNCH」公式サイト大阪生まれ大阪育ちのフリーライター。イベントやeスポーツシーンを取材したり懐ゲー回顧記事をコソコソ作ったり、時には大会にキャスターとして出演したりと、ゲーム周りで幅広く活動中。
ゲームとスポーツ観戦を趣味に、日々ゲームをクリアしては「このゲームの何が自分に刺さったんだろう」と考察してはニヤニヤしている。
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