この記事の3行まとめ
- RTX Mega Geometryで使われる2つの技術が、DirectX 12の共通APIとしてプレビュー公開
- シーンデータ構築を効率化し、ハイポリゴンモデルをレイトレーシングにも利用しやすくなる
- 変化した区画のみレイトレーシング用データを更新する技術も
Microsoftは2026年10月28日、DirectX 12の新機能「Clustered Geometry」と「PTLAS」をプレビューとして公開しました。
(画像はGitHubより引用)
両機能は、NVIDIAの「RTX Mega Geometry」においてレイトレーシング用のデータを作成・更新する負荷を抑える技術として実装されていたものを、DirectXの共通APIとして利用できるようにしたものです。これにより、高精細なモデルが動く場面や、大量のオブジェクトを配置したマップを効率よく扱えるようになります。
一般的なレイトレーシングでは、光の計算に使用する専用のシーンデータを扱います。従来のDirectXでは、レイトレーシング用データを新たに構築する際、ポリゴンを空間的に整理する必要がありました。
Clustered Geometryは、近くにあるポリゴン群を事前に小さなクラスタにまとめておくことで、実行時のシーン構築を効率化します。また、アニメーションでモデルが変形する場合も、変わらない部分の計算結果を再利用して負荷を軽減できます。
『CONTROL Resonant』でのClustered Geometry使用例(画像はGitHubより引用)
これまで、表示用のハイポリゴンモデルはシーン構築の負荷が高く、簡略化した別のモデルを使う場合がありました。Clustered Geometryによってシーン構築の負荷が下がることで、画面に見える細かな形状をそのまま影や反射の計算にも使いやすくなります。
『Gears of War: E-Day』では、Clustered Geometryを活用することで、Lumen用の低ポリゴンモデルではなく、Nanite用のハイポリゴンモデルをレイトレーシングに利用できるようになったといいます。
『Gears of War: E-Day』でレイトレーシングに使う形状の比較。左は簡略化したモデル、右はClustered Geometry適用時(画像はGitHubより引用)
PTLAS(Partitioned Top-Level Acceleration Structure)は、シーン内のオブジェクトを区画ごとに管理し、変化のあった区画を中心にレイトレーシング用データを更新する技術です。
従来は、広大なシーンの一部のオブジェクトしか動かない場合でも、シーン全体のレイトレーシング用データを更新する必要がありました。PTLASを使うと、変化した区画に更新処理を集中させ、変化のない区画では構築済みのデータを再利用して更新負荷を抑えられます。
ドミノを配置したサンプルシーンでは、ドミノが倒れている区画のみ更新することで、10万個以上のドミノを扱っています。
ドミノの動きがあった区画は明るい色で表示している(画像はGitHubより引用)
また、NVIDIAは25km²に6,000万の植物を配置した森林のデモも紹介しています。
(画像はGitHubより引用)
森林をPTLASの区画ごとに色分けした様子。画像中央のプレイヤーに近い場所ほど細かく区切られている(画像はGitHubより引用)
プレビュー時点で、NVIDIAのRTXシリーズに加え、AMD Radeon RX 9000シリーズ、Intel Arc Bシリーズなどが対応しています。
詳細は、GitHubおよびMicrosoft公式ブログをご確認ください。
「Clustered Geometry and Partitioned TLAS Launch in DirectX 12, Standardizing RTX Mega Geometry」GitHub「[PREVIEW] Raytracing: Clustered Geometry, Partitioned TLAS, Indirect Acceleration Structure Builds」Microsoft公式ブログ