この記事の3行まとめ
- UEのビヘイビアツリーを拡張しAIの行動ロジックを構築した事例を解説した講演動画が公開
- ゲーム開発におけるAI活用をテーマにしたロンドンの技術カンファレンス「AI and Games Conference 2025」の講演アーカイブ
- AIが取り得る全ての行動を数値化して評価し、最も有用な行動を選択させる「Utility Theory」と呼ばれる手法を導入
2026年6月10日(水)、「Powering Up Behaviour Trees in Subnautica 2 | AI and Games Conference」と題した動画がYouTubeで公開されました。
本動画は、2025年にロンドンで開催された「AI and Games Conference 2025」で行われた講演のアーカイブ。アンリアルエンジンのビヘイビアツリーを拡張し、『Subnautica 2』におけるAIの意思決定・行動パターンを構築した事例を解説しています(以下、アンリアルエンジンはUEと表記)。
AI and Games Conference 2025「Powering Up Behaviour Trees in Subnautica 2」アーカイブ動画
「AI and Games Conference」は、ゲーム開発におけるAIの活用をテーマとした技術カンファレンス。2024年より毎年11月にロンドンで開催されており、2026年度は11月10日~11日(現地時間)の期間で行われることが発表されています。
(画像は「AI and Games Conference」公式サイトより引用)
このたび公開された動画では、2026年5月に早期アクセス版がリリースされたオープンワールド海洋探索アドベンチャー『Subnautica 2』について、海洋生物の行動を制御するAIのロジックをUEのビヘイビアツリーをベースに構築した事例を解説しています。
UE標準のビヘイビアツリーには、ノードが常に固定された優先順位に従って実行されるためAIの挙動に単調性が生じることや、処理中のブランチとは異なるブランチを並行して評価することが難しい技術的制約によってAIの反応速度が遅れ、機械のような画一的な行動パターンとなってしまうといった課題がありました。
こうしたシステム上の限界を脱却するべく、本作では「Utility Theory」と呼ばれる技術的手法を導入することで、柔軟で予測不可能なAIの挙動を実現しました。
「Utility(効用)」とは経済学において、消費者が財やサービスを消費した際に獲得する幸福・充足感の度合いを指す言葉。『Subnautica 2』ではこのUtilityの考え方に基づき、AIが取り得る全ての行動を数値化して評価し、各場面において最も有用性の高いアクションを思考して選択させる仕組みを実装しています。
『Subnautica 2』早期アクセス版リリーストレーラー
また本作では、マルチプレイ機能を搭載するにあたりUEのフレームワーク「Gameplay Ability System(GAS)」(※)を採用しています。
※ キャラクターのパラメーターなど数値の変動や、アクタの動作・状態に関する処理をアビリティとして管理するフレームワーク
講演では、GASを用いてAIのロジックを「意思決定部分」と「実行部分」に区別して管理するなどの施策により、デザイナーがブループリント上で直感的にGASを運用可能とした事例などが語られています。
なお「AI and Games Conference」の公式YouTubeチャンネルでは、過去に実施された同イベントの講演アーカイブが公開されています。併せてご確認ください。
AI and Games Conference 2025「Powering Up Behaviour Trees in Subnautica 2」アーカイブ動画|YouTube「AI and Games Conference」公式サイト