この記事の3行まとめ
- Activisionが「SIGGRAPH 2025」で講演したOIT技術「AVBOIT」の資料を公開
- ボクセルベースの手法を応用し、煙や色付きガラスなどの半透明オブジェクトの描画精度を大きく改善
- 最適化機能の実装により、PS5(4K解像度)の環境下で約5ミリ秒というパフォーマンスを実現している
Activisionは2026年5月13日(現地時間)、レンダリング技術「Adaptive Voxel-Based Order-Independent Transparency(以下、AVBOIT)」の解説記事を、同社Webサイトにて発表しました。
「SIGGRAPH 2025」の「Advances in Real-Time Rendering in Games」内の講演の一つで、PDFとして公開されています。
AVBOITは『Call of Duty』シリーズにおける、パフォーマンス要件と描画の正確さを両立するために開発された順序非依存の透明度(Order-Independent Transparency:OIT)技術です。
煙やガラスといった透明・半透明オブジェクトの描画順序を正確に処理する手法の「MBOIT(Moment-Based OIT)」や「WBOIT(Wavelet-Based OIT)」では、煙の後ろで見えないはずのキャラクターが透けて見えてしまうといった不具合が発生していました。
今回発表されたAVBOITは、この深度の複雑さに対処し、視覚的なアーティファクト(ノイズや描画の乱れ)を解消しています。
具体的には、AVBOITはアトミック操作の活用により、密度をボクセルに記録する基礎技術(VBOIT)を発展させています。
大きな特徴は、オブジェクトが存在しない空間をスキップし、深度方向のスライス解像度を動的に再配分する「1D Depth Warp LUT」を利用している点です。これにより、メモリ消費を抑えつつ、必要な領域・オブジェクトが重なる部分に対して十分な精度を割り当てることが可能になりました。
(画像は講演「ADAPTIVE VOXEL BASED ORDER INDEPENDENT TRANSPARENCY」のスクリーンショット)
さらに、パフォーマンスを向上させるための機能として、「Zero Transmittance Early Out」と呼ばれる独自の早期カリング手法を実装。これは、手前にある半透明オブジェクトが重なり合って透過率がゼロ(完全に不透明)になると、その後ろにあるものの描画や計算処理を停止する機能です。
(画像は講演「ADAPTIVE VOXEL BASED ORDER INDEPENDENT TRANSPARENCY」のスクリーンショット)
この最適化により、PlayStation 5(4K解像度)のパフォーマンステストにおいて、透過処理を4.967ミリ秒に抑えることに成功しています。
OITを使用しない場合の処理時間(4.4ミリ秒)に近いパフォーマンスを発揮している(画像は講演「ADAPTIVE VOXEL BASED ORDER INDEPENDENT TRANSPARENCY」のスクリーンショット)
本技術の導入により、環境アーティストやVFXチームが手動で描画順序を調整する必要がなくなり、ワークフローが改善。PlayStation 4のような旧世代機でもスケーラブルに動作することが確認されています。
今後は、本技術の仕組みを屈折や被写界深度(DoF)、モーションブラーの表現へ拡張する方針が示されています。
なお、「Advances in Real-Time Rendering in Games」の紹介ページでは、「RAY TRACING THE WORLD OF ASSASSIN’S CREED SHADOWS」「FAST AS HELL: IDTECH8 GLOBAL ILLUMINATION」といった講演の資料や動画も公開されています。
「AVBOIT」の詳細は、Activision公式サイトをご確認ください。
ADAPTIVE VOXEL-BASED ORDER-INDEPENDENT TRANSPARENCY「Advances in Real‑Time Rendering in Games」紹介ページ