2026年5月22日(金)から24日(日)の3日間、京都・みやこめっせで開催されている「BitSummit PUNCH」。展示されたゲームの中から、今回は「水鏡スタジオ」の水鏡氏が開発するスチームパンク2.5Dアドベンチャー『セラフィーヌは空を行く』を紹介します。
TEXT / 長井 太一
EDIT / 浜井 智史
手描き2Dイラスト&3D立体表現。絵本の世界を冒険するような没入体験
『セラフィーヌは空を行く』PV
『セラフィーヌは空を行く』は、飛行船に乗って大空を旅するスチームパンクADVです。
無数の浮遊大陸や空中拠点が点在する世界を舞台に、空輸や空賊討伐などさまざまな任務をこなしつつ、空の秘境「ディープ・スカイ」への到達を目指します。
本作の一番の特徴は、手描きの2Dイラストを3D空間でアニメーションさせる2.5Dの立体表現。
艦内を移動する際は、TPS視点で自分を中心に視界をぐるりと一望するようなカメラワークが行われ、空賊に向けて砲撃する戦闘パートでは左右に舵を切りながら船体を旋回させ、FPSの要領で照準を合わせます。
『セラフィーヌは空を行く』デモ版プレイ動画
飛行船の操縦や燃料補給、船体の維持管理などは全てプレイヤー自身が手ずから担います。
常にマルチタスクが要求されるゲームシステムに試遊時は驚きましたが、実際に飛行船の運航を取り仕切っているようで没入感があり、壮大な空の旅路がより印象深い体験となるようでした。
独特な映像づくりと温かみのある手描きグラフィックが組み合わさり、まるで絵本やスケッチブックの中を旅しているかのような、印象的なプレイ体験を味わえる作品となっていました。
Unityやイラストは独学で習得。仕事と両立しながら作品づくりに励む
試遊ブースでは、本作の開発を手がける「水鏡スタジオ」の水鏡(みずかがみ)氏にお話を伺うことができました。
2Dグラフィックと3D空間を融合させたゲームシステムを構築するにあたり、平面と立体が組み合わさる違和感をできるだけ抑えた上で、暖かさのあるデザインに仕上げることに力を入れたとのことでした。
船の操縦中はリアルな手応えを与えられるようにゲームシステムを構築しているそう。弾道の物理演算なども精巧に作り込まれている印象を受けました。
本業はゲームとは関係のない職種に就いており、仕事と両立しながら個人で本作を開発しているという水鏡氏。どうしても作業に遅れが生じてしまうこともあるなど個人開発の苦労についても話を伺いました。
作品づくりにおいて最も高い壁となるのは、企画の立ち上げ段階だといいます。開発に取り掛かるより先にゲーム展示イベントの出展申込を済ませておくなど、自らを作業しなければならない状況に置くことで、制作のモチベーションを高く保っているそうです。
一方で開発中に苦難を感じたことは少なく、楽しさの方がはるかに比重が大きいそうです。ビジュアルにもゲームシステムにも妥協のない作品を生み出す秘訣は、その開発に対するスタンスにあるのかもしれません。
使用エンジンはUnity。開発技術を専門学校などで学んだ経験はなく、実装もイラストも独学で身に着けてきたとのこと。水鏡氏はゲームを遊んでくれる方々に向けて「まずは2.5Dのスチームパンク風手描きイラストが生み出す世界観に没入してほしい」と語っていました。
仕事とゲーム制作を両立し、より面白い作品を作り上げようと奮闘する水鏡氏に、「ディープ・スカイ」を目指して旅を続ける飛行船セラフィーヌ号とそのクルーの姿が重なって見えるようでした。
水鏡(みずかがみ)氏・Xアカウント「BitSummit PUNCH」公式サイト立命館大学映像学部4回生。コンテンツ作品の製作を幅広く行っており企画のプロデュースや運営をすることが多い。現在は学生映画のプロデューサーとe-sportsに関する研究を行っている。世界観とストーリーを重視した作風が好み。
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