自由に空を飛び回り、圧倒的な力を叩き込む!スーパーヒーロー体験型3Dアクション『UNRESTRICTED』のアクション設計を紐解く【BitSummit Let’s Go!!】

2023.07.14
注目記事イベントレポートBitSummit2023
この記事をシェア!
twitter facebook line B!
twitter facebook line B!

2023年7月14日(木)から16日(日)の3日間、京都みやこめっせで開催されたBitSummit Let’s Go!!展示されたゲームの中から、今回は「Indie-us Games」が開発するスーパーヒーローアクションゲーム『UNRESTRICTED』を紹介するとともに、同作品のリードゲームデザイナー 兵藤 大瑚氏にゲームのコアとなるコンセプトや今後のマイルストーンについて聞きました。

TEXT / 神山 大輝

目次

広大な世界をハイスピードで駆け巡る体験が魅力

『UNRESTRICTED』は、舞台となる巨大な惑星を自由に飛び回りながらハイスピードアクションを繰り広げる「スーパーヒーローアクション」。会場内のデモではチュートリアル確認のほか、3分間アクションパートの手触り感を試すことができました。

基本となる移動操作はYボタンによる浮遊(他ゲームのジャンプに相当、キャラクターがその場に浮かび上がる)と進行方向へ向けた加速。激しいモーションブラーとともにコントローラーが振動し、カメラ速度もスピーディという、加速度を感じる移動方法が印象的です。

【Project SPS】UNRESTRICTED – ティザートレーラー 02

2km×2kmという広大なフィールド上には敵キャラクターとなるミュータントや素材収集のためのオブジェクトが置かれており、自由に移動しながら探索あるいは戦闘を楽しむといった内容。バトルアクションは弱攻撃、強攻撃、必殺技といった要素を組み合わせたコンボスタイルで、それぞれキャンセルの掛かるルートが設定されています。ただ、攻撃アクションはLRトリガーに集中しているため、ロックオンした状態で連打してもクリア自体は可能となっていました。

操作キャラクターにはHPと「エネルギー」があり、エネルギーは移動などのアクションで減少し、岩などを破壊した際の素材で回復。エネルギーを使って、空中に浮かぶ岩を操って敵にぶつけるなどの特殊なアクションも可能でした。なお、今回のデモにはボスキャラクターなどは実装されていないため、初回のプレイでも特にゲームオーバーになることはありませんでした。

リードゲームデザイナー 兵藤 大瑚氏が語る「アクション設計のコンセプト」

本作は最強のスーパーヒーローを体感できるゲームを目指して開発が進められており、前作『UNDEFEATED』とは同じ世界線を共有しているとのこと。この『UNDEFEATED』とは、当時バンタンゲームアカデミー⼤阪校在学中だった本作リードゲームデザイナー 兵藤氏やディレクター 篠原 友磨氏らが開発した3Dアクションゲームで、Steamでは既に170万回以上ダウンロードされています。

Steamページ

学生時代に制作したゲームの続編を社会人になってから開発する、それも自分が所属するゲーム会社で!という、ある意味では夢のような状況で開発をリードする兵藤氏ですが、本作では「スーパーパワー」と「ライフ(生活)」という2つのテーマを持っているとのこと。「パワーを持ち、欲望のまま動くキャラクターはヒーローではなくヴィランになります。誰かのために自らのスーパーパワーを使う人物こそがヒーローで、今作の主人公は荒廃した世界で困っている人を救い続けています。このため、しっかりとしたストーリーラインのある作品になっています」(兵藤氏)。

基本的にはシナリオクリア型のアクションゲームですが、キャラクターの成長とスキルツリーに準ずるシステムも構想自体はあるとのこと。また、今回のデモ用に作られたレベルはあくまでサンプルで、実際には8km×8km四方の広大なワールドを考えているとのことです。

兵藤氏といえば、MMORPGのボス戦闘にのみ特化した『TrinityS』でもリードゲームデザイナーを務める人物。アクションへのこだわりは強く、このプレイアブルプロトタイプに至るまでに26回の操作変更を行っていると語ります。

関連記事
「MMOエンドコンテンツの死闘をもう一度楽しみたい!」――48時間でプロトタイプを開発した『TrinityS』ブラッシュアップの歴史と今後のロードマップ
2022.12.12

本作ではアクションの操作を「ゲーム性」と「一般性」に分けて考えており、一般性とは「スティックを前に倒したら、前に進むだろう」という想像のつきやすい部分、ゲーム性とは「ジャスト回避やコンボなど作品に紐づく特殊なアクション」であるとのこと。

当初は一般性とゲーム性の割合を8:2ほどで設定した「分かりやすい操作」を意識した設計にしていましたが、最初は面白くても10分ほどで飽きてしまい、プレイ自体が長続きしなかったそう。そこで、今回のデモでは一般性:ゲーム性の割合を4:6程度に調整し、あえてコンボなどは複雑性を残す設計にしています。

本作のコンボルート。コンボ終わりにAボタンを押すことで、敵の後方に瞬間移動し、再び攻撃を始めることができる

高難易度で有名なTrinitySもプレイした筆者個人としては「連打でも倒せるが、複雑なコンボも可能」という今回のアクション設計は、より広い層への展開を強く意識した仕様であると感じています。アクション部分においてのみ『NieR:Automata』に近い操作感である印象も受けました(もちろん、空が飛べるという明確な特徴はありますが)。

とはいえまだまだプロトタイプ段階とのことで、きっとここから仕様は大きく変わるはず。リリース時期は2025年を目指すとのことで、今から期待して待ちたいと思います。

公式サイト https://twitter.com/UnrestrictedACT
販売サイト(ストアページ) https://store.steampowered.com/app/2088020/UNRESTRICTED/
リリース時期 2025年
『Indie-Us Games』公式サイトBitSummit Let's Go!!公式サイト
神山 大輝

ゲームメーカーズ編集長およびNINE GATES STUDIO代表。ライター/編集者として数多くのWEBメディアに携わり、インタビュー作品メイキング解説、その他技術的な記事を手掛けてきた。ゲーム業界ではコンポーザー/サウンドデザイナーとしても活動中。

ドラクエFFテイルズはもちろん、黄金の太陽やヴァルキリープロファイルなど往年のJ-RPG文化と、その文脈を受け継ぐ作品が好き。

関連記事

『BitSummit Let’s Go!!』の総来場者数、BitSummit史上最高の23,789人を記録。来年は7/19(金)~7/21(日)に開催を予定
2023.07.25
叩きこむ!振りまわす!変わったコントローラーの気になる中身も見せちゃいます。「make.ctrl.Japan」ブース【BitSummit Let’s Go!!】
2023.07.20
長考続出!?フルスクラッチ開発の3Dパズル『Synchronity』は専用エディタも完備の意欲作【BitSummit Let’s Go!!】
2023.07.20
『BitSummit Let’s Go!!』アワード受賞作品が発表。エレキギターを操る横スクロールアクション『Death the Guitar』が大賞に輝く
2023.07.19
アルゼンチンと東京の超長距離リモート開発。スマホ展開も見据えた対戦ゲーム『MonstaBox(モンスタボックス)』【BitSummit Let’s Go!!】
2023.07.19
画面の「回転」を駆使する「シュレディンガーシステム」が特徴の3DパズルRPG『CASSETTE BOY』、Web制作会社の社長が一人で開発中【BitSummit Let’s Go!!】
2023.07.18

注目記事ランキング

2024.04.29 - 2024.05.06
1
【2022年5月版】今から始めるフォートナイトの「クリエイティブ」モードープレイ開始から基本的な操作方法まで解説
2
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧
3
『フォートナイト』で動く本格的なゲームが作れるツール「UEFN」とは?従来のクリエイティブモードから進化したポイントを一挙紹介!
4
【CHALLENGE1】「クリエイター ポータル」を使って、UEFNで作成した島を世界中に公開する
5
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.1「アイテム系」
6
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.5「島の設定」
7
まるで『マイクラ』?ボクセル地形を生み出す無料アセット「VoxelPlugin Free」で”地形を掘ったり積み重ねたり”して遊んでみよう
8
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.7「NPC系」Part1
9
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.2「ユーティリティ系」
10
フォートナイトとUEFNがv29.30にアップデート。すでに公開した島をプレイできないようにする機能が導入される
11
UEFNで使えるプログラミング言語「Verse」のノウハウが集結。『UEFN.Tokyo 勉強会 03 Verse Night』レポート
12
【CHALLENGE3】UEFNの機能「ランドスケープ」を使ってオリジナルの地形を作る
13
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.8「ゾーン系」
14
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.3「プレイヤー系」
15
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.4「ゲームシステム系」
16
フルカラー書籍「UEFN(Unreal Editor For Fortnite)でゲームづくりを始めよう!」、ついに本日発売!全国書店で好評発売中!
17
【STEP2】UEFNの基本的な使い方を覚えよう
18
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.10「UI系」Part1
19
「UEFN」って実際どうなの? 編集部が3時間で「みんなで遊べるアクションゲーム(?)」を作ってみた
20
フォートナイトとUEFNがv26.30にアップデート。ロビー画面が一新され、クリエイターが島ごとにロビー背景を自由にカスタムできるように
21
【CHALLENGE2-1】フレンドと一緒にゲームを作ろう――UEFNプロジェクトをチームメンバーとリアルタイムで共同編集する
22
『フォートナイト』で建築ビジュアライゼーション!?UEFNでオリジナルの世界観をどう作り上げたか、その手法を解説【UNREAL FEST 2023 TOKYO】
23
【STEP3】オリジナルのアスレチックコースを作ろう
24
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.7「NPC系」Part2
25
【STEP5-1】スタート時のカウントダウンを作る
26
【STEP6-1】「オリジナルキャラクターを登場させよう」――Fabでアセットをダウンロードしよう
27
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.6「チーム・対戦系」Part1
28
【STEP6-3】「オリジナルキャラクターを登場させよう」――キーボーとムラスケのメッシュをインポート
29
【STEP5-2】ゴールの仕組みを作る
30
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.9「建築物系」Part2
VIEW MORE

イベントカレンダー

VIEW MORE

今日の用語

ライトニングトーク(LT)
ライトニングトーク 5分ほどの短い時間で区切って行うプレゼンテーションの手法。2000年ごろから浸透した手法で、技術カンファレンスや勉強会で行われることが多い。
VIEW MORE

Twitterで最新情報を
チェック!