Unity公式イベント「U/Day Tokyo 2024」現地レポート!Unity 6以降のロードマップやHTML/CSSライクにUIを作れる新機能など全9セッション情報から気になる情報をお届け

2024.07.11
注目記事ゲームの舞台裏イベントレポートUnity
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ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンが主催する、Unityの公式大型セミナー「U/Day Tokyo 2024」が2024年7月1日に開催されました。同社およびUnity Technologiesのスタッフによる9つの講演が実施された本イベントの様子をレポートします。

TEXT / 神谷 優斗

目次

世界各国で展開される公式セミナー「U/Day」が初の日本開催

「U/Day」とは、世界各国で展開されているUnity公式の開発者向けセミナーイベント。今回の「U/Day Tokyo 2024」が初めての日本開催です。

国内のUnity公式イベントはCOVID-19の影響により2020年よりオフラインでは開催されておらず、「SYNC 2022」などオンラインのみでの開催が続いていました。その中で開催された本イベントは、5年ぶりのUnity公式開発者向けオフラインイベントとなりました。

会場は渋谷ストリームホール

会場がほぼ満席となるほど盛況だった

Unity 6の新要素を深掘りした「Unityの未来と展望」

最初のセッションは「Unityの未来と展望」。シニアディレクタープロダクトマネジメント Andrew Bowell氏が登壇し、年内に提供予定のUnity 6をはじめとする、2024年のロードマップについて語りました。

セッションでは、AIプラットフォーム「Unity Muse」や「Unity Sentis」に言及。今後、Museがサウンドの生成に対応することなどが予告されました。

Unityでデータ指向設計を実現する「DOTS(Data-Oriented Technology Stack)」や、DOTSに含まれるEntity Component System(※)のフレームワーク「ECS for Unity」の今後についても紹介。開発陣は、Unityを使用したすべてのプロジェクトにデータ指向を取り入れることを目指しているそうです。
※ 実装単位を、IDとなる「Entity」、データ構造を定義する「Component」、Component同士の振る舞いを定義する「System」に分離する設計手法。メモリ上にデータが効率的に配置されるため、処理が高速であるなどのメリットを持つ

Unity 6以降では、ECSの導入を進めるとともに、従来のGameObjectとより密接に連携できるよう互換性を高めていることが語られました。

ECSをベースにしたアニメーションやワールド制作システムの再構築も進められているとのこと

そのほか、マルチプレイヤー機能やプラットフォーム対応の今後にも触れられました。

ひとつのPC内でクライアントとサーバーの複数インスタンスを同時に起動できる「Multiplayer Play Mode」

Unity 6では、新たにモバイルのWebブラウザに対応する

講演時点で、Unity 6は早期アクセスが開始しています。

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AI機能「Unity Muse」やUnityの新UIシステムなどがテーマとなった全9セッション

当日は、「Unityの未来と展望」を含め全9セッションが行われました。

Unity Muse – AIを使用したエディタ内プロトタイピング」と題したセッションでは、シニアアドボケイト Manuel Sainsily氏がUnity Museを実演。テキストや画像からマテリアルを生成し、部分的な再生成などの調整を加えてシーン内のオブジェクトに適用するまでをリアルタイムに行いました。

加えて、Unity Museはデカール(2Dスプライト)やボーンアニメーションの生成機能のほか、チャットAIも搭載しています。チャットAIは、シーンに配置されているオブジェクトを含むエディタの状態を把握しているとのこと。講演では、「配置中のゲームオブジェクト『○○』が何の役割を持っているのか」や「現在発生しているエラー『○○』はどんなエラーで、どう対処すればよいのか」について回答する様子が確認できました。

Manuel Sainsily氏

Unity Museからマテリアルを生成している様子

発生中のエラーについてUnity Museに尋ねると、エラーの詳細について教えてくれる

アドボケイト 高橋 啓治郎氏によるセッション「30分で分かる!Unity UI Toolkit 入門 ~ランタイム編~」では、Unityの新たなUIシステム「UI Toolkit」の機能や使い方が解説されました。

UI Toolkitは、Unityにおける従来のUIシステム「IMGUI」「Unity UI(uGUI)」に代わるシステムであるとのこと。UI Toolkitでは、HTMLに対するCSSと同じように、サイズやマージンなどのスタイルを「Unity スタイルシート(USS)」によって定義します。USSをUI要素に適用することで、各UI要素に共通のスタイルを設定できます。

ホバー時にのみ別のUSSを適用させる、といった使い方も可能。通常時のUSSとホバー時のUSSが切り替わるまでの時間を設定すると、遷移アニメーションを表現できます。

講演では、オブジェクトのプロパティを自動的にUIへ同期する「データバインディング」についても説明されました。

高橋 啓治郎氏

3つ並んだボタンのUIをUI Toolkitで構築する手順が実演された

新たなUSSを作成している様子

そのほか、「Unity Profiler」をはじめとするUnityのプロファイリング機能を網羅的に紹介する「UnityのProfiling機能のオーバービュー紹介」などが実施されました。

「UnityのProfiling機能のオーバービュー紹介」に登壇したパートナーエンジニア 黒河 優介氏

「Unity Asset Manager」を使用し、BlenderやUnityの他プロジェクトからアセットをインポートする方法が語られた「アセット管理のための Unity Cloud の紹介」

セッションのアーカイブ動画は、こちらから視聴登録を行うことで視聴可能です。

講演アーカイブ動画 視聴登録ページ

登壇者への深掘りもできた懇親会

講演後には参加者同士が交流する懇親会が開かれました。Unity Technologiesの登壇者には1人ずつ通訳がつき、講演内容をさらに詳細に質問できる価値的な機会となりました。

「U/Day Tokyo 2024」イベントページ
神谷 優斗

コーヒーがゲームデザインと同じくらい好きです

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