市場規模の拡大が続くゲーム業界。ゲームクリエイターは志望職種として高い人気を得ています。しかし、ゲーム業界への就職を目指すにあたって、どのようなルートがあるかはあまり広く知られていません。
今回は就職先として見たゲーム業界の現状を説明した後、専門学校/ゲームスクールからのゲーム業界就職に焦点を当て、学校選びのきっかけとしてのオープンキャンパスを紹介します。
市場規模の拡大が続くゲーム業界。ゲームクリエイターは志望職種として高い人気を得ています。しかし、ゲーム業界への就職を目指すにあたって、どのようなルートがあるかはあまり広く知られていません。
今回は就職先として見たゲーム業界の現状を説明した後、専門学校/ゲームスクールからのゲーム業界就職に焦点を当て、学校選びのきっかけとしてのオープンキャンパスを紹介します。
TEXT / 浜井 智史
2024年12月に経済産業省が発表した資料によると、2011年から2022年にかけて世界のゲーム市場におけるCAGR(平均成長率)は10%増加しています。
2021年にはコロナによる巣ごもり需要増に伴って市場規模がピークに達し、同年の日本ゲーム市場は世界第3位と非常に大きなマーケットになっています。
(画像は経済産業省「業界の現状及びアクションプラン(案)について【ゲーム】(事務局資料③)」のスクリーンショット)
デバイス別の市場規模を見ると、モバイルゲームの割合・成長率が最も高く、2022年時点では世界のゲーム市場規模における約半分を占めています。
また、PCゲームの市場規模は2009年から2023年の15年間で320%成長していることが報告されています。
(画像は経済産業省「業界の現状及びアクションプラン(案)について【ゲーム】(事務局資料③)」のスクリーンショット)
日本国内におけるゲーム産業の成長推移も確認してみましょう。2025年に日本の内閣府知的財産戦略推進事務局が発表した資料によると、ゲームを含む日本のコンテンツ市場規模は半導体産業の2倍以上、石油化学産業に匹敵する規模に成長しています。
また、2023年の海外輸出総額は約5.8兆円を記録し、そのうちゲーム産業が約6割を占めています。
2016年から2023年の7年間にわたり、日本の家庭用ゲームの海外市場規模は3倍以上に増加し、とくにオンラインで遊ぶ家庭用ゲームに関しては7年間で11倍以上に成長しています。
(画像は内閣府知的財産戦略推進事務局「コンテンツ関係参考資料」のスクリーンショット)
ゲーム産業が成長傾向を示す中、日本国内のゲーム業界では各社で給与水準を上昇させる動きが見られています。
バンダイナムコエンターテインメントは2022年、自社社員の基本給を平均5万円引き上げる施策を発表。それに伴い初任給も増額し、従来23.2万円だったところ現在は28万円で募集をしています。
2023年にはセガが既存従業員の月額平均給与を約30%上昇させると同時に、大卒新入社員の初任給を従来比約35%高の30万円まで昇給。同年、スクウェア・エニックスが基本給を平均10%・大卒新入社員の初任給を平均27%(28.8万円以上)に引き上げました。
そのほかにも、フロム・ソフトウェアは2024年に基本給を平均11.8%引き上げ、新卒社員の初任給を4万円高の30万円に設定しました。
ゲーム業界に就職した人の属性を分析すると、CESA(※)が2024年に実施したアンケート調査によれば、ゲーム会社の新卒社員のうち高校、専門学校(短大を含む)、高等専門学校卒が4割以上を占めています。
※ 「一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会」の略称。日本のゲーム会社やゲーム開発者などが所属する業界団体で、ゲーム業界カンファレンス「CEDEC」や、ゲーム展示会「東京ゲームショウ」の運営などさまざまな活動を手がけている
(グラフはCESA「ゲーム開発者の就業とキャリア形成 2024」の調査に基づき作成)
ゲーム業界採用者の最終学歴として高い割合を占めている専門学校/ゲームスクールは、ゲーム開発知識を専門的に学ぶことができ、就職時に開発スキルをアピールする上で強い優位性を発揮できます。
また、プロのゲーム開発者から指導を受けられる点や、専門学校/ゲームスクール限定求人・インターン募集に応募できるなどゲーム業界との強力なコネクションを活用できることもメリットに挙げられます。
多くのゲーム会社の選考では、ゲームの企画書や自分のゲーム開発スキルを企業にアピールする材料「ポートフォリオ」が求められます。
そのため、ポートフォリオを作成することがゲーム業界に入る上で非常に重要です。
ポートフォリオとは、制作したゲームやイラスト、3Dモデルなどの成果物を一覧にまとめた資料のこと。短期間で一度に作り切れるものではないため、日々少しずつ制作活動を積み重ねていくことが大切です。
ポートフォリオの作り方に悩んだ場合は、ゲーム会社などが開催しているポートフォリオ添削会や、ゲーム制作コミュニティに参加して意見をもらうのも手段のひとつ。
また、専門学校/ゲームスクールではカリキュラムを通して実践的に作品を制作をでき、先生や業界のクリエイターにポートフォリオを添削してもらうこともできます!
ゲーム業界を目指す上でのルートのうち、本記事では専門学校/ゲームスクールへの進学にフォーカスします。
業界に近い環境に身を置き、ゲーム開発スキルに特化したカリキュラムで学べる専門学校/ゲームスクールは全国に数多く展開されており、授業内容や就職率、学費、卒業後の就業支援など、施策や運営方針は多種多様。将来を決定付ける重要な選択となるため、自分に合った学校を見つけることが大切です。
学校の公式サイトを訪れたり、入学者向け資料を請求したりするのも判断材料となりますが、より詳細な情報を知るためには「オープンキャンパス」に参加するなど実際に足を運ぶことが重要です。
「オープンキャンパス」とは、各学校が入学希望者向けに学校の魅力や特徴などをアピールするイベントです。実際に校舎や施設の中に入ることができ、在校生による学校紹介や、体験授業などの企画が実施されるほか、進路相談や学費・奨学金に関する質問なども可能です。
オープンキャンパスに参加することで、資料や公式サイトだけでは判断できない学校の特徴を知ることができます。
実際に教鞭をとる教務や講師と直接会って話せるのは、オープンキャンパスの大きな魅力のひとつ。在校生たちの活動の様子なども直接学校に訪れてこそ得られる情報です。
ほかにも、機材や設備が整っているか、授業内容や教育方針など、本格的に勉強できる環境か否かは重要なチェック項目となります。将来を左右する重要な要素ですので、実際に自分の目で確かめたいところです。
オープンキャンパスは普段は知ることができない専門学校/ゲームスクールの様子が見られる絶好のチャンス。専門学校に興味を持った方は、まずオープンキャンパスで学校を訪問してみることをおすすめします。
オープンキャンパスに参加するときは、以下のポイントに注目するといいよ!
〈オープンキャンパスで見ておきたい項目〉
専門学校/ゲームスクールのオープンキャンパスは、高校生や大学生、大学を卒業した人、すでに就職して働いている人など、どんな方でも参加できます。
ゲーム開発の仕事に興味がある高校生/大学生や、一度社会に出てみたもののやはりゲーム業界に挑戦してみたい!という熱意を持っている社会人など、少しでもゲーム業界に興味がある人はぜひオープンキャンパスに参加してみましょう。
このたび5校のゲーム系専門学校/ゲームスクール様に、学校紹介・オープンキャンパス内容をお聞きして、各校のオープンキャンパス紹介記事を作成しました。
以下に、各校の特徴やオープンキャンパス紹介記事のリンクを掲載しています。ぜひ参考にしてみてください。
〈オープンキャンパスについて紹介する学校一覧〉
※ 五十音順で掲載しています
「アミューズメントメディア総合学院(AMG)」は、プロの現場で実践的な学習に励める「産学共同」を理念に掲げたプログラムを展開する学校です。ゲームクリエイター学科のほか、アニメーション学科、キャラクターデザイン学科など5種類の学科を展開しています。
今夏のオープンキャンパスでは、元ゲームプランナーの教員による「ゲーム企画書見学会」や小高 和剛氏による講演、在校生が制作したゲームの体験会などが行われます。
▼「アミューズメントメディア総合学院(AMG)」オープンキャンパスの詳細はこちら!
「京都コンピュータ学院」は日本最初のコンピュータ教育機関として1963年に創立した学校です。アート・デザイン学系、デジタルゲーム学系、エンジニアリング学系など5学系全20学科が設置されています。
今夏のオープンキャンパスでは、ゲームプログラミングの基礎を学べる「ゲームプログラマ体験」、作成済のアクションゲームをより面白く改善する「ゲーム設計に挑戦」、プロが使うツールでゲーム開発にチャレンジできる「ゲーム制作体験」といった体験授業が行われます。
▼「京都コンピュータ学院」オープンキャンパスの詳細はこちら!
「東京国際工科専門職大学」は、ゲームやCG、ロボットといった情報系の分野を広く取り扱った大学。国際通用性のある学位として専門職の「学士」を取得でき、学生全員が長期間のインターンシップで実務経験を積むといったカリキュラムを展開しています。
今夏のオープンキャンパスでは、3DCG制作ツール「Maya」やゲームエンジン「Unity」を使った制作体験、モーションキャプチャー技術に関する模擬授業などが用意されています。
▼「東京国際工科専門職大学」オープンキャンパスの詳細はこちら!
「日本工学院専門学校」は、4年制・3年制・2年制と期間が異なる3種類の学科を設置。4年制では個人/チームでのゲーム開発、3年制では個人制作に焦点を当ててスキルを磨き、2年生ではプログラミングスキル習得を目指して学習を進めます。
今夏のオープンキャンパスでは、ゲーム開発で広く使用されるプログラミング言語「C++」の基本を学び、実際にコードを書いてキャラクターを動かす体験ができます。プログラミングやパソコン初心者でも丁寧なサポートが提供されます。
▼「日本工学院専門学校/日本工学院八王子専門学校」オープンキャンパスの詳細はこちら!
「バンタンゲームアカデミー」は、ゲーム/eスポーツ/イラスト/オンライン学部の4学部・全18コースを揃えた学校。全講師を現役クリエイターで構成していることや、さまざまな企業と連携したカリキュラム、学部をまたいだチーム制作活動などを特徴としています。
今夏のオープンキャンパスでは、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』などを手掛けた講師と企画書制作を学べる「ゲーム企画体験」や、ゲームエンジンを使ったシューティングやFPSなどの制作体験を行えます。
▼「バンタンゲームアカデミー」オープンキャンパスの詳細はこちら!
ゲームメーカーズで編集や諸業務に携わっています。『星のカービィ』シリーズと『ポケモン不思議のダンジョン』シリーズが好きです。
西川善司が語る“ゲームの仕組み”の記事をまとめました。
Blenderを初めて使う人に向けたチュートリアル記事。モデル制作からUE5へのインポートまで幅広く解説。
アークライトの野澤 邦仁(のざわ くにひと)氏が、ボードゲームの企画から制作・出展方法まで解説。
ゲーム制作の定番ツールやイベント情報をまとめました。
ゲームメーカーズ スクランブル2025で行われた講演のアーカイブ動画・スライドをまとめました。
GAME CREATORS CONFERENCE ’25で行われた講演レポートをまとめました。
GDC 2025で行われた講演レポートをまとめました。
UNREAL FEST 2024で行われた講演レポートやインタビューをまとめました。
東京ゲームショウ2024で展示された作品のプレイレポートやインタビューをまとめました。
CEDEC2024で行われた講演レポートをまとめました。
BitSummitで展示された作品のプレイレポートをまとめました。
ゲームメーカーズ スクランブル2024で行われた講演のアーカイブ動画・スライドをまとめました。
CEDEC2023で行われた講演レポートをまとめました。
東京ゲームショウ2023で展示された作品のプレイレポートやインタビューをまとめました。
UNREAL FEST 2023で行われた講演レポートをまとめました。
BitSummitで展示された作品のプレイレポートをまとめました。
ゲームメーカーズ スクランブルで行われた講演のアーカイブ動画・スライドをまとめました。
UNREAL FEST 2022で行われた講演レポートやインタビューをまとめました。
CEDEC2022で行われた講演レポートをまとめました。