2023年7月14日(木)から16日(日)の3日間、京都みやこめっせで開催された『BitSummit Let’s Go!!』。展示されたゲームの中から、今回は3Dアクションゲーム『SCHiM』を紹介するとともに、本作の開発者 Ewoud van der Werf氏と、共同で開発しているオランダのインディースタジオ「Extra Nice」のNils Slijkerman氏に、個性的なコンセプトやアートでの表現について聞きました。
TEXT / HATA
影から影へとジャンプする生き物「スキム」が街を駆けてゆく。
『SCHiM』は、プレイヤーが光と影を特徴としたアートの世界で「スキム」という生き物が影から影へと飛び移っていく3Dアクションゲーム。2022年の東京ゲームショウにも出展し、その時から更に内容が充実しています。
スキムとはすべての物や生き物が宿す魂や精神のこと。プレイヤーは、自身の実体から乖離してしまったスキムとしてプレイします。主のもとに戻るため、影から影へと街を移動します。
スキムは影から影へと移りながら目的地を目指すアクションゲームです。小さなスキムは自身だけでは遠くまで行くことはできず、街を行く人々や、動物、時には乗り物などの動きを利用することで目的地にたどり着くことができます。目的地に行くだけでなく、街を行く人々や動物の姿を眺めるだけでも楽しい作品です。
街の風景は、雨が降れば水色に染まり、夕方であればオレンジ色に染まるなど環境を表すほか、登場人物の感情を表すこともあり、非言語でのさまざまな表現がされています。また、登場する街はオランダをモチーフにしており、郊外のステージも追加予定です。
オリジナルシェーダーまでも作り出して、開発した本作の経緯とは
本作の起源は、卒業制作用のプロジェクトとのこと。開発期間は『BitSummit Let’s Go!!』の時点で3年を迎え、発売は2025年を予定しています。
開発環境はUnity 2021。モデリングにはBlenderを使い、シェーダーはなんと自作!しかも独学で作り上げたとのことです。自作シェーダーを採用した理由は、本作の光と影に加えて色を付け加えるために最適だった点のほか、色覚障害のある人も楽しめるゲームを目指した点にあると言います。
卒業制作で作った作品を発展させて、インディーゲーム開発を行う例は日本でも見られ、開発者の思い入れもあって個性のある尖った作品になることが多々あります。本作も、そういった開発者の思いが作品に見事に表現された作品だと言えるでしょう。
ちなみに「スキム」はオランダ語で不思議な影を意味する以外にも、何か気配を感じるが何もないといった意味を持つとのことで、本作をよく表していると思います。
『SCHiM』公式サイトBitSummit Let's Go!!公式サイト5歳の頃、実家喫茶店のテーブル筐体に触れてゲームライフが始まる。2000年代にノベルゲーム開発を行い、異業種からゲーム業界に。ゲームメディアで記事執筆を行いながらゲーム開発にも従事する。
関連記事
注目記事ランキング
1
2
3
4
5
1
2
3
4
5
1
2
3
4
5
1
2
3
4
5
1
2
3
4
5
連載・特集ピックアップ
西川善司が語る“ゲームの仕組み”の記事をまとめました。
Blenderを初めて使う人に向けたチュートリアル記事。モデル制作からUE5へのインポートまで幅広く解説。
アークライトの野澤 邦仁(のざわ くにひと)氏が、ボードゲームの企画から制作・出展方法まで解説。
ゲーム制作の定番ツールやイベント情報をまとめました。
東京ゲームショウ2024で展示された作品のプレイレポートやインタビューをまとめました。
CEDEC2024で行われた講演レポートをまとめました。
BitSummitで展示された作品のプレイレポートをまとめました。
ゲームメーカーズ スクランブル2024で行われた講演のアーカイブ動画・スライドをまとめました。
CEDEC2023で行われた講演レポートをまとめました。
東京ゲームショウ2023で展示された作品のプレイレポートやインタビューをまとめました。
UNREAL FEST 2023で行われた講演レポートをまとめました。
BitSummitで展示された作品のプレイレポートをまとめました。
ゲームメーカーズ スクランブルで行われた講演のアーカイブ動画・スライドをまとめました。
UNREAL FEST 2022で行われた講演レポートやインタビューをまとめました。
CEDEC2022で行われた講演レポートをまとめました。