「Blender」、最新の長期サポート版「Blender 3.6 LTS」がリリース。ジオメトリノードにシミュレーション機能が実装され、より複雑な表現が可能に

2023.06.28
ニュースBlender
この記事をシェア!
twitter facebook line B!
twitter facebook line B!

この記事の3行まとめ

  • 「Blender 3.6 LTS」がリリース。2025年6月までサポートを保証
  • ジオメトリノードにシミュレーション機能が追加された
  • レンダリングエンジン「Cycles」の高速化、UVエディタの改善なども

現地時間2023年6月27日、オープンソースの無料3DCGツール「Blender」の長期サポート版「Blender 3.6 LTS」がリリースされました。

Long Term Support(LTS)とは、安定したソフトウェアの提供を目的として、長期にわたってサポートを約束されたバージョンを指す言葉です。Blender 3.6 LTSでは2025年6月まで、最長2年間のサポートが保証されています。

今回のバージョンでは、ノードを駆使したモデリング機能「ジオメトリノード」の追加、レンダリングエンジン「Cycles」の高速化、UVパッキングエンジンの追加といったアップデートがされています。

ジオメトリノード

ジオメトリノードでは、シミュレーション機能が実装されました。

具体的には、前のフレームの結果を次のフレームに影響を与える「シミュレーションゾーン」機能が追加。これにより、時間の経過による複雑な表現を可能にしています。

(画像は公式ドキュメントより引用)

シミュレーション結果のキャッシュや、ストレージへのベイクも可能になっています。ベイク・キャッシュされた結果は、他のキャッシュと同じようにタイムラインエディタで視覚化できます。

(画像は公式サイトより引用)

公式サイトでは、ジオメトリノードのシミュレーション機能を活用して制作されたデモファイルが公開されているほか、コミュニティ発の作品も紹介されています。

(動画は公式サイトより引用)

(動画は公式サイトより引用)

Cycles

Cyclesに関しては、レンダリングの高速化、ジオメトリおよびビューポートの切り替えが高速化。公式サイトでは、高速化した度合いの例が掲載されています。

  • メッシュのAttributeのコピー:最大60倍高速化
  • カーブオブジェクトの読み込み:10倍高速化
  • ポイントクラウドの読み込み:9倍高速化
  • 大きなメッシュの読み込みが:4~6 倍高速化

さらに、AMD向けにHIP RTを使用したハードウェアレイトレーシングアクセラレーションの実験的なサポートが追加。GPUのRX 6000、RX 7000、W6000、および W7000シリーズのパフォーマンスが向上しています。

また、Embree 4を使用したIntel ArcおよびData Center GPUのハードウェアレイトレーシングアクセラレーションのサポートも追加され、レンダリングの高速化に貢献しているとのこと。

AMD製品(左)とIntel製品(右)におけるパフォーマンス比較(画像は公式サイトより引用)

UVエディタ

新しいUVパッキングエンジンの追加により、UVアイランドのパッキングが大幅に改善されています。大きなメッシュでのパフォーマンスが向上し、非正方形マテリアルのサポートも改善されています。

Blender 3.5(左)とBlender 3.6 LTS(右)のPack Islandsの比較(画像は公式サイトより引用)

アセットライブラリ

また、アップデートにあわせて、スカルプト・アニメーション・テクスチャリングなどに使用できる、ヒューマンベースメッシュのコレクションを含むアセットバンドルが公開されています。

Blender 3.6 LTSでは、新たなトランスフォーム空間「Parent Space」など、多くの機能がアップデートされています。詳細は、こちらをご確認ください。

Blender 3.6 LTS リリースノート|Blender 公式サイト

関連記事

Adobe、「Substance 3D Connector」をオープンソースとして公開。Blender・Maya・3ds MaxやUE5・Unityなどの間でのアセット共有を目指す
2024.04.08
Blender4.1がリリース。Menu Switchなどジオメトリノードで使用できるノードの追加や、コンポジットの強化など、さまざまな機能がアップグレード
2024.03.28
PLATEAU、3D都市モデル・Unity・Blenderを使ってリアルな映像を制作するチュートリアル記事を公開
2024.03.27
ユーザーが作った便利なBlenderアドオンを無料で使える!Blender 4.2 Alphaに拡張機能プラットフォーム「Blender Extensions」が登場
2024.03.21
セル画調・イラスト調にレンダリングするBlender用アドオン「PSOFT Pencil+ 4 Material for Blender」、ピー・ソフトハウスが発売
2024.02.27
『Blenderジオメトリノードではじめるプロシージャルモデリング』が2023年12月下旬にボーンデジタルより発売
2023.11.23

注目記事ランキング

2024.04.21 - 2024.04.28
1
【2022年5月版】今から始めるフォートナイトの「クリエイティブ」モードープレイ開始から基本的な操作方法まで解説
2
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧
3
『フォートナイト』で動く本格的なゲームが作れるツール「UEFN」とは?従来のクリエイティブモードから進化したポイントを一挙紹介!
4
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.1「アイテム系」
5
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.5「島の設定」
6
【CHALLENGE1】「クリエイター ポータル」を使って、UEFNで作成した島を世界中に公開する
7
フォートナイトとUEFNがv29.30にアップデート。すでに公開した島をプレイできないようにする機能が導入される
8
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.7「NPC系」Part1
9
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.4「ゲームシステム系」
10
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.2「ユーティリティ系」
11
UEFNで使えるプログラミング言語「Verse」のノウハウが集結。『UEFN.Tokyo 勉強会 03 Verse Night』レポート
12
まるで『マイクラ』?ボクセル地形を生み出す無料アセット「VoxelPlugin Free」で”地形を掘ったり積み重ねたり”して遊んでみよう
13
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.6「チーム・対戦系」Part1
14
フォートナイトとUEFNがv29.20にアップデート。見下ろし視点でもプレイヤーキャラクターの向きを操作できるようになった
15
【STEP2】UEFNの基本的な使い方を覚えよう
16
『フォートナイト』で建築ビジュアライゼーション!?UEFNでオリジナルの世界観をどう作り上げたか、その手法を解説【UNREAL FEST 2023 TOKYO】
17
フルカラー書籍「UEFN(Unreal Editor For Fortnite)でゲームづくりを始めよう!」、ついに本日発売!全国書店で好評発売中!
18
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.10「UI系」Part1
19
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.10「UI系」Part2
20
【CHALLENGE2-1】フレンドと一緒にゲームを作ろう――UEFNプロジェクトをチームメンバーとリアルタイムで共同編集する
21
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.3「プレイヤー系」
22
【CHALLENGE3】UEFNの機能「ランドスケープ」を使ってオリジナルの地形を作る
23
「UEFN」って実際どうなの? 編集部が3時間で「みんなで遊べるアクションゲーム(?)」を作ってみた
24
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.8「ゾーン系」
25
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.9「建築物系」Part1
26
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.7「NPC系」Part2
27
【STEP4-2】リスポーンとチェックポイントの仕組みを作る
28
【STEP4-1】コース外に出たらデスする仕組みを作る
29
Epic Games、200を超えるフォートナイトの島クリエイターが年間10万ドル以上の配当金を得られると発表。島の「プレイ時間」が影響
30
【STEP3】オリジナルのアスレチックコースを作ろう
VIEW MORE

イベントカレンダー

VIEW MORE

今日の用語

ブループリント(Blueprint)
ブループリント
  1. 設計図。
  2. アンリアルエンジンにおいて、標準搭載されているビジュアルスクリプト言語。
VIEW MORE

Twitterで最新情報を
チェック!