2026年4月25日(土)、埼玉・川越でオープンタウン型のゲームイベント「ぶらり川越 GAME DIGG2」が開催されました。
開催2年目となる今回はメイン会場の数が拡充され、歴史的建造物「コエトコ(川越市文化創造インキュベーション施設)」と「りそなコエドテラス」に「蓮馨寺(れんけいじ)」を加えた3会場が展開。小江戸とも呼ばれる川越の町を散策しながら、インディーゲームの展示や音楽ライブなど数々の企画が催されたイベントの模様をレポートします。
2026年4月25日(土)、埼玉・川越でオープンタウン型のゲームイベント「ぶらり川越 GAME DIGG2」が開催されました。
開催2年目となる今回はメイン会場の数が拡充され、歴史的建造物「コエトコ(川越市文化創造インキュベーション施設)」と「りそなコエドテラス」に「蓮馨寺(れんけいじ)」を加えた3会場が展開。小江戸とも呼ばれる川越の町を散策しながら、インディーゲームの展示や音楽ライブなど数々の企画が催されたイベントの模様をレポートします。
TEXT / じく
EDIT / 浜井 智史
川越は小江戸の呼び名でも知られる観光名所で、江戸時代から続く風情ある町並みや文化を堪能できる地として親しまれています。
「ぶらり川越 GAME DIGG2」は、メイン会場を含めて川越の町全体を巡り楽しめるオープンタウン型を謳ったイベント。当日はインディーゲーム目当てのお客様だけでなく、国内外の観光客や地元の方々も会場に足を運んでいました。
昨年は惜しくも雨天となったのに対して今年は好天に恵まれ、朗らかな陽気に包まれた各会場の試遊ブースやステージは大勢のお客様で溢れかえっていました。
メイン会場は3か所が展開。昨年同様の「コエトコ」「りそなコエドテラス」に加え、今年は新たに「蓮馨寺」が会場となり、小江戸・川越の観光エリアをより広く堪能できるイベントとなっていました。
前回好評だった音楽ステージやポストカードラリーなどの企画は、規模を拡大しつつ今年も実施。
蓮馨寺に設営された音楽ステージでは、さまざまなアーティストがなゲーム音楽を演奏して会場を盛り上げていました。
ポストカードは全14種類に拡充。配布スポットは「呉服笠間」「玉力製菓」「Hatago COEDOYA」「川越スカラ座」「川越まつり会館」「旧山崎家別邸」「仲町観光案内所」の7か所に設置されました。
そのほかにも、コエトコ併設の『cafe Crescent -ICHIBA-』、りそなコエドテラス1階『ECCOLA』、2階『Bar Azzurri』ではコラボフードが販売されていました。
また、昨年に続いてYouTubeチャンネル『fei CHANNEL』のフェイ氏による現地配信が行われました。今回の配信場所はりそなコエドテラス2階の旧頭取室で、現地のインディーゲーム出展者を招いたトークが繰り広げられました。
「【ぶらり川越 GAME DIGG 2】現地配信!『川越ゲムディグ生放送!』【埼玉初のインディーゲームイベント】」YouTube Liveアーカイブ
会場の様子や展示ブースを巡って筆者が注目したインディーゲームをいくつか紹介します。
『Fall in Flowers – フォール イン フラワーズ』トレーラー
高所から着地する瞬間にタイミングよくボタンを押すことで「アンイチンパクト」を発動し、落下ダメージを攻撃エネルギーに変換して戦う3Dアクションゲームです。
起伏の激しいフィールドをジャンプやパルクールアクションで駆け抜けながら、本来なら落下ダメージが発生する標高から飛び降りる際、着地と同時にボタンを押下できればダメージを無効化しつつ、着地地点にいる敵を一掃できます。
さらに、アンチインパクトを成功させることで敵を攻撃するためのエネルギーを補充可能。跳躍・着地と攻撃を繰り返しながら軽やかにステージを攻略していきます。
高所から落ちる恐怖が成功体験に変わる、アクションゲームとしてのカタルシスに本作ならではの面白さが宿っています。
ゲームシステムの着想を伺うと、以前に制作していた『The Garden』という生態系シミュレーションゲームを3D化した際にジャンプやパルクールといったアクション要素に面白さを見出し、着地を絡めたシステムの導入に至ったそう。
本作はアクションゲームのチュートリアル面でブラッシュアップが重ねられており、操作に慣れてくると、高低差のある3Dフィールドで敵を倒しながらノンストップで駆け抜ける爽快さが生まれるとのことでした。
筆者が試遊する際には「押しのタイミングがシビアではないか?」と危惧していたものの、着地までの残り距離が表示されつつ成功のタイミング猶予も設けられており、遊びやすい難易度に調整されていると感じられました。
発売日は未定となっていますが、まずは体験版のリリースを目指しているとのことです。
『Fall in Flowers - フォール イン フラワーズ』SteamストアページBuri氏 Xアカウント敵が撃つ弾やレーザーなどをジャンプひとつで躱していく、シンプルながらも高難易度な2Dアクションゲームです。
本作の中核となるシステムが、敵の弾に当たる直前にジャンプボタンを押すことで、弾を踏み台にして連続ジャンプできるパリィアクション。これにより、トゲだらけの地面に触れないように空中移動したり、さらに遠い地点や高所まで到達したりと奥深いプレイングを楽しめます。
今週末4/25の川越ゲームディグではD-05(蓮馨寺講堂2Fちゃぶ台スペース)にて、下記の「弾乗りリトルジョー」を自作げーむ筐体にて展示します。
グラフィックモノクロ最小限、手触り全振りの高難易度ワンボタンアクションゲームです。
よろしくお願いします。 pic.twitter.com/CobmDewUhR— 瑞々谷 (@osugohan) April 22, 2026
ゲームは面クリア型で進行し、先に進むにつれて難易度はどんどん上昇。
最初はパリィのタイミングに苦戦していた筆者ですが、「被弾しそうになったらとにかくボタンを連打する」「自分から弾に接近してタイミングをつかみに行く」などのアドバイスを受けると、次第にパリィができるようになりました。
移動とジャンプだけで操作が完結するゲームゆえ、試遊台では「レバー1本・ボタン1個」という大胆な自作筐体が用意。
ジャンプ時の慣性移動もクセがなくスムーズに操作できる点など、何度でも挑戦してみたいと思わせる設計の秀逸さを感じました。
『弾乗りリトルジョー』Steamストアページ瑞(ミズ)氏 Xアカウント『里山のおと 春さんぽ』PV
墨絵のようなタッチのイラストや手書き風フォント、素朴な篠笛(しのぶえ)の音が奏でるBGMが印象的な、心温まるポイント&クリック形式のアドベンチャーゲームです。
山の上に住むキツネくんから一通の手紙を受け取ったタヌキくんが、2人でお花見をするべく山へと出かけ、物探しや謎解きを進めながらキツネくんの待つ桜の木を目指すというストーリー。
山道に生える植物の情報が記された「里山ノート」を読んだり、森の生き物たちの暮らしに触れたりと「里山」をテーマにした作品となっており、暖かくゆったりとした空気感で物語が進んでいきます。
開発ツールにはビジュアルノベルエンジンの「Ren’Py」が採用されています。
イラストは「CLIP STUDIO PAINT」で墨絵風に描いたものであるそう。BGMの篠笛は、生演奏した楽曲を収録しているとのことでした。
本作は全5章のうち出展時点で1章まで開発が進んでおり、完成まであと1年ほどかかる予定とのことでした。
『里山のおと 春さんぽ』Steamストアページ「里山のおと」Xアカウント『ミステリーアドベンチャー 犯人はメイド』PV
タイトルの時点で「犯人はメイド」であることが明かされているミステリーアドベンチャーです。
主人公であり犯人でもあるメイドが、孤島の館に招待された6人の宿泊客を1人ずつ襲撃していくストーリー。正体を隠しながら襲撃計画を遂行し、疑惑の目を向けられたら「論破」して釈明するという倒叙ミステリの体裁を取っています。
ミステリーとして意外性のあるツカミや主人公であるメイドの奇抜な姿といった強烈な個性が光る作品ですが、いきなり世界観を押し付けるのではなく「襲撃対象に招待状を書く」場面をゲームの導入に置くことでプレイヤーを没入させるインタラクティブな仕掛けとなっており、タイトルやビジュアルが単なる“出オチ”ではないことをうかがわせる工夫が垣間見えました。
開発者の伏見ひなた氏に話をお聞きしたところ、世に出る数多くの作品の中で埋没しないキャッチーさを意識して制作したそう。また、プレイヤーの期待に応える場合と少しずれた結果が出る場面を半々くらいのバランスにして、シナリオを心地よく感じてもらえるように組んでいるとのことでした。
本作はUnity用ビジュアルノベルツール「宴」を用いて開発されています。体験版はすでに公開済みで、完成版は2026年内のリリースを目指しているそうです。
『ミステリーアドベンチャー 犯人はメイド』Steamストアページ伏見ひなた氏 Xアカウント『人狼バーガー』紹介動画
ハンバーガーの具材を積み上げる作業に人狼ゲームの要素を盛り込んだ、最大6人でプレイできる正体隠匿系ゲームです。
プレイヤーたちは団結して1つのハンバーガーを作っていきますが、チームの中にはハンバーガーを崩そうと目論む「スパイ」が紛れ込んでいます。スパイの妨害に屈せずハンバーガーを完成させればゲームクリア。もし失敗したら、全員で議論したのち投票によってスパイを暴き出しましょう。
クロスプレイ対応のオンラインゲームとして開発が進められており、タブレット端末のタッチ操作と同様の入力をマウスやコントローラーでも実装する予定とのこと。
具材はパティや野菜など豊富なバリエーションが用意。シンプルな平面状の具材だけでなく、T字やV字のポテトや、球体で転がりやすいプチトマト、すぐに滑ってしまうバナナ、果ては食材ですらない普通の牛など、扱いやすいものから技量が問われるものまでさまざま具材を積み上げていきます。
配置だけでなく具材の性質も考慮して組み上げなければ、最後にパティを被せて合体させるときにバランスを保てず崩壊してしまいます。
開発者のuracon氏は以前から人狼系のゲームを制作していたそうですが、次回作を模索する中で「議論や嘘・騙しの過程は面白いが、見た目が寂しい」という課題を感じたとのこと。
ビジュアルの良さを求めてさまざまなモチーフを検討する中で現在のシステムにたどり着き、プロトタイプを遊んでもらった際に、ハンバーガーが崩れた時のリアクションの良さから本採用に至ったのだとか。
また、人狼系のゲームでしばしば見られる「吊られた人はただ成り行きを見守るだけ」という状況を避けるべく、タスクを完遂してから犯人投票に移ることで全員が最後まで楽しめるように工夫したとのことでした。
開発状況としては8~9割が完成しているといい、体験版の公開などを経て、2026年内のリリースを目指して開発を進めているそうです。
『人狼バーガー』Steamストアページuracon氏 Xアカウントキーボードとマウスで操作するTPS(サードパーティングシューティング)ゲームです。銃などの武器で敵を倒して物資を集め、装備や設備を強化していきます。
かなり歯ごたえのある硬派な作りとなっており、筆者が試遊する際には開発者の蝋燭氏のアドバイスを受けながらチュートリアルから本編へとプレイを進めました。
キーボードのWASD移動やマウスによるエイミングなどの操作は標準的なシューター系ゲームに準拠しており、その操作感やスピード感の完成度が非常に高いと感じました。
筆者はシューター系に慣れておらず苦戦しましたが、日頃からシューター系に慣れ親しんでいるプレイヤーはスムーズにプレイしており、緊張感のある戦闘を楽しんでいました。
蝋燭氏に話をうかがったところ、影響を受けたゲームとして『GTFO』や 『Escape from Tarkov』、『ARC Raiders』が挙げられました。開発はこれまでほぼ1人で進めており、開発期間は3年ほど、過去作品から流用した部分も含めればそれ以上の期間をかけているそうです。
蝋燭氏は「コアなFPS、TPSゲーマー向けに調整したので、このようなイベントに出展するのは場違いかもしれない」と語っていましたが、こういったインディーゲーム開発者の方が心血を注いだ作品に“ぶらり”と周って出会えることにも本イベントの価値があるのではと筆者は感じました。
蝋燭氏 Xアカウントポストカードラリーの取材で各所を周った際、仲町観光案内所の方に声をかけていただきました。
「去年は雨でいつもより観光客も少なかった中、ポストカードをもらいに来る方が多くて助かりました。今年は無事に晴れたのでイベントもさらに盛況になってほしいです」と嬉しそうに語っていました。
また、どこのポストカード設置場所に行っても店員・スタッフの方が丁寧に案内してくださり、この小江戸・川越で「ぶらり川越 GAME DIGG2」が好意的に迎えられていることが分かりました。
実際に会場でゲームを楽しんでいる人たちを見ると「インディーゲームが好きで川越を訪れる」と「川越を観光してインディーゲームに出会う」という2つのメリットが形になりつつあることを実感できました。
日本全国でさまざまなインディーゲームの展示会やコミュニティが活況を呈しつつある中、地元密着型イベントとして「ぶらり川越 GAME DIGG2」は初回からさらに発展し、インディーゲームイベントとして新たな可能性を見せてくれるものでした。
▽昨年のイベントレポートはこちら!
「ぶらり川越 GAME DIGG」公式サイトゲーム会社で16年間、マニュアル・コピー・シナリオとライター職を続けて現在フリーライターとして活動中。 ゲーム以外ではパチスロ・アニメ・麻雀などが好きで、パチスロでは他媒体でも記事を執筆しています。 SEO検定1級(全日本SEO協会)、日本語検定 準1級&2級(日本語検定委員会)、DTPエキスパート・マイスター(JAGAT)など。
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