Unity向けUI管理アセット「Doozy UI Manager」などのDoozy Entertainment製ツール、Unity Asset Storeでの販売を終了。製品のコードは今後オープンソース化される

2025.01.29
ニュースUIUnity
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Unity向けのシステム拡張系アセットを開発販売するDoozy Entertainmentは、Unity Asset Storeからの撤退を表明し、すべての販売アセットを取り下げました。今後、購入者はアセットのダウンロードはできますが、アップデートは行われません。

Doozy UIは、数多くのゲームに採用されているUI管理系アセットです。ポップアップメニューなどの良くあるシステムを標準搭載するほか、複雑なUIの遷移を管理したり、アニメーションなどをコンポーネントの設定で比較的簡単に設定できるなど多数の機能を持ちます。

しかしながら、ビジネス的な理由により、アセットストアからの撤退を余儀なくされた模様です。理由としては、アセットストアが現在大幅な割引が当たり前になっており、ほとんどの場合セール価格で購入されていることや、Unityがアセットストアの利用料として30%を必要としながら、Unityエンジン本体の頻繁な変更に追従するためのメンテナンスが必要で、これに必要な資金は売上から賄えなくなったこととしています。

Doozy UIはサブスクリプションではなく1回課金の販売となっています。近年はDoozy UI 2022, 2023, 2024と年ごとの大型アップデートで別製品とすることでメンテナンスやサポートに関する費用をカバーする方針でしたが、ユーザーからの反発が大きく、うまく働かなかった様子です。また、ユーザーからの強いクレームに疲弊してしまったことも原因のひとつとしています。

Doozy Entertainment 製品の削除に関する公式声明

主力製品である Doozy UI Manager を含む高度な Unity アセットの開発とサポートを 10 年間続けた後、私たちはすべての製品を市場から撤去するという苦渋の決断を下しました。これは軽々しく下した決断ではなく、むしろ、設計、コーディング、アップデート、ユーザー サポートに数え切れないほどの時間を費やした長年の投資の集大成であり、残念ながら持続可能なビジネスにはつながりませんでした。

長年にわたり、私たちは UI パックやエフェクトからアニメーション ソリューション、Soundy (オーディオ管理) や Bindy (値のバインディング) などのツールに至るまで、さまざまな製品ラインを積極的に検討してきました。しかし、大幅な割引プロモーションが当たり前になっている Unity Asset Store の市場状況では、ほとんどの顧客がセール価格でしか購入できないことがよくありました。Unity からの追加 30% のカットを考慮すると、Unity の頻繁な変更に必要な機能開発、更新、および常に進化するメンテナンスに資金を提供し続けるには、収益が足りませんでした。

また、ストアの 1 回限りの購入モデルでも大きな課題に直面しました。当社のような複雑なコードベースのソリューションには継続的な開発とサポートが必要であり、定期的な収益がなければ無期限に維持することは合理的ではありません。残念ながら、公正で持続可能な価格設定やサブスクリプション モデルを導入する当社の試みは、広範囲にわたる抵抗に遭遇しました。これにより、1 回の購入でユーザーは無制限のアップデートとサポートを受けられるという期待が強まり、開発者は正当な報酬なしに終わりのない作業と費用を負担することになります。

財政的な制約、一貫性のないストア ポリシー、変更や有料アップグレードが提案されるたびにコミュニティから反発を受けることなどにより、状況は維持不可能になりました。収益は最小限で成長への明確な道筋もない中で、ホスティング、ドキュメント、サポート チャネルを自費で維持することは、常に負け戦に等しいものでした。

このような困難にもかかわらず、私たちは自分たちが築き上げたものに誇りを持ち続け、私たちの製品に真の価値を見出してくれたコミュニティのメンバーに感謝しています。長年にわたり私たちをサポートし、私たちのソリューションを信頼してくださった皆様に感謝します。皆様の今後のプロジェクトが成功することを祈るとともに、私たちの貢献が皆様の開発の旅をよりスムーズにするものとなることを願っています。

—ドゥージー・エンターテインメント

https://discussions.unity.com/t/doozyui-complete-ui-management-system/623889/1095

今後はオープンソースプロジェクトとしてGitHubで公開予定

本表明を掲載したのち、いくつかのユーザーからのフィードバックを受け、Doozy EntertainmentはDoozy UIをGitHubで公開すると発表。コミュニティベースでの継続に移行することになりました。Unityのアップデートに関する修正などは、ユーザーが自ら修正開発などの貢献が可能になります。

システム系のアセットはエンジン本体の機能変更への追従が必要であり、また様々なプラットフォームへのサポートも必要になります。そのため、アセットストアで1回限りの支払いで無限にサポートを続けることは困難です。昨今は多くのソフトウェアがサブスクリプションモデルに移行となりましたが、変化し続ける開発環境への対応を考えると無理もないことと感じられます。ストアの仕組みがアセットの作家が継続可能なエコシステムに変わっていくことを期待しています。

Doozy UIのUnity Discussionsスレッドはこちら

「DoozyUI: Complete UI Management System」Unity Discussions

本記事はIndieGamesJp.devとのメディア提携により掲載しています。

元記事URL:https://indiegamesjp.dev/?p=9917

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