2023年7月14日(木)から16日(日)の3日間、京都みやこめっせで開催された『BitSummit Let’s Go!!』。展示された作品の中から、今回はゲームクリエイターの古淵寮さんが個人開発中のビル清掃アクションゲーム『SKY THE SCRAPER』を紹介します。
TEXT / ハル飯田
命綱でスイングしながら汚れを落とす異色のアクション
命綱を頼りにスルスルとビルの壁面を移動しながら窓清掃の姿と言えば、街中で誰もが一度は目にしたことがある光景ではないでしょうか。『SKY THE SCRAPER』は、そんな見ているだけでもスリルを感じる仕事をモチーフとしたアクションゲームです。プレイヤーは高層ビルの壁面にぶら下がり、上下左右にスイングしながら制限時間内に汚れを落として報酬を稼いでいきます。
清掃アクションでは白の「ワイパーの汚れ」と黄色い「吸着力」との2種のゲージ管理が重要。1ステージ60秒と非常にスピーディーな展開ですが、吸着力がなくなると踏ん張りが効かなくなって壁から落下してしまいますので適宜体を休めつつ、汚れたワイパーを洗って磨く能力を復活させる時間も確保しなければいけません。
命綱でスイングする曲線的な移動も独特で、急ぐあまりビル幅から飛び出して落下してしまうことも。風が吹き鳥が飛ぶスリル満点な職場では安全ばかり意識していても清掃が進まず、仕事ぶりを発揮するのが高得点のコツに。
一定時間汚れを落とし放題になる「トリック」は爽快ですが、効果の終了に気付かず操作しているとあっという間に吸着力がなくなって落下の危機に。どうしても固まった汚れは一気に落としたい気持ちになりますが、そこをグッと我慢してどれだけ丁寧・安全な清掃作業に取り組めるか。気持ちのマネジメントが問われます。
清掃に臨む主人公の若者「スカイ」は家を飛び出してアルバイトで生計を立てようとしており、アルバイトを通じて彼の進路が決まって行くシナリオに。オフの日には街に出かけて気晴らしをしたり、所持金を考えて仕事のスケジュールや進め方を変更したりと、シミュレーション的な要素も楽しめるゲームシステムも印象的でした。
清掃アクションの新鮮な面白さに加え、アドベンチャーパートがあることで「怪我をしたくない」気持ちと「資金を稼ぎたい」気持ちとが生まれ、高得点を目指すモチベーションにも繋がります。
最終的にはスカイが進路を決めるまでの2カ月間が描かれるマルチエンディング方式になるとのことで、終盤になればちょっとしたミスから怪我やゲームオーバーになってしまう緊張感を更に味わいながらプレイに臨めるのではないでしょうか。
友人の職業をきっかけに、アウトゲームも充実した内容を目指して開発中
本作はゲームクリエイターの古淵 寮さんが個人開発で制作しており、デザイナーからエンジニアまで殆ど全てのタスクをひとりでこなしています。ゲームエンジンはUnityを使用し、模型を参考にしながらドット絵のグラフィックを制作している様子などをTwitterでも公開しています。
プレイヤーキャラのポージング研究用にfigma archetype:heを購入しました!
最新タイプはマッチョすぎたのであえての旧タイプ。こっちの方がうちのゲームの頭身には合ってる感じ。 pic.twitter.com/hSN8spJmmT
— Ryo Kobuchi (@kobuti505) April 21, 2023
プレイヤーキャラのポージング研究用にfigma archetype:heを購入しました!
最新タイプはマッチョすぎたのであえての旧タイプ。こっちの方がうちのゲームの頭身には合ってる感じ。 pic.twitter.com/hSN8spJmmT
— Ryo Kobuchi (@kobuti505) April 21, 2023
ビル清掃を題材に選んだきっかけは「友人が実際にビル清掃の仕事をしていて、色々とゲームの内容を考えるうちに、こういうのも面白いんじゃないかと試してみた」と、交友関係から生まれたアイデアとのこと。ブースではアイデアのきっかけになったご友人も仕事着姿でビラ配りに協力し、ゲームをPRしていました。
プレイするごとにステージの内容が変わるローグライクなシステムで繰り返しのプレイが楽しめるようになっており、清掃アルバイト以外の主人公の活動をマネジメントできるのも魅力。アクションゲームに加えてアルバイトで得た資金のリソースマネジメントも楽しめるハイブリッドさは「アウトゲーム部分も充実した作品が好き」という古淵さんの嗜好も反映されています。
本作は「第1回GYAAR Studio インディーゲームコンテスト」で入賞を果たした注目作で、Steamストアページでは今回のBitsummit用デモも公開されています。珍しい題材のアクションが気になった方は、是非チェックしてみてください。
開発者 古淵 寮さんTwitterBitSummit Let's Go!!公式サイト大阪生まれ大阪育ちのフリーライター。イベントやeスポーツシーンを取材したり懐ゲー回顧記事をコソコソ作ったり、時には大会にキャスターとして出演したりと、ゲーム周りで幅広く活動中。
ゲームとスポーツ観戦を趣味に、日々ゲームをクリアしては「このゲームの何が自分に刺さったんだろう」と考察してはニヤニヤしている。
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