この記事の3行まとめ
- オンライン開催された「ゲーム制作ワークフローセミナー第5弾『ELDEN RING』メイキングセミナー」のウェビナーの内容、資料が公開
- 開発体制、背景デザインの注意点やキャラクター制作過程などを解説
- コンセプトアート公開や、Q&Aでは開発現場の雰囲気などの回答も
2022年8月26日(月)、Tooは「ゲーム制作ワークフローセミナー第5弾『ELDEN RING』メイキングセミナー」のウェビナーの内容と資料を公開しました。
本講演は2022年7月8日(金)にオンラインで開催されており、フロム・ソフトウェアの『ELDEN RING』のビジュアルや世界観の制作アプローチ、DCCツールの使用事例と社内ツールについて紹介しています。
オープンフィールド型ゲームの制作経験のなかったフロム・ソフトウェアがどのようにしてエルデンリングを制作したのか、考え方や工夫を含めて説明がされています。
背景とデザインデータについて
マップデザインについて説明するトピックでは、どのようなコンセプトのもとにオープンフィールドとレガシーダンジョンが制作されていったのか知ることができます。
未知の世界を自由に冒険するオープンフィールド、対して、攻略性が高く立体的に作り込まれたレガシーダンジョン。そのそれぞれを実現していく過程がコンセプトアートから公開されています。
オープンフィールドのデザイン。左上から雪のマップ、草原のマップ、高原のマップ、湖のマップ。強い敵から逃げたり、探索を後回しにしたりプレイヤーの自由度が高い設計
画像はゲーム制作ワークフローセミナー第5弾「ELDEN RING」メイキングセミナーより引用
攻略性の高いレガシーダンジョンのデザイン。フィールドデザインの後に、「魔術学院」など場所固有のコンセプトデザインを詰めていった
画像はゲーム制作ワークフローセミナー第5弾「ELDEN RING」メイキングセミナーより引用
背景デザインをするにあたっての注意点も
背景デザインをするにあたっての注意点も「リアリティとフィクションのバランス」、「印象や記憶に残るデザイン」、「ゲーム都合にならないデザイン」という3つの観点から紹介しています。
たとえば「ゲーム都合にならないデザイン」というトピックでは、マップの造形をゲーム都合で作り込んでしまうと世界観にあわないビジュアルになってしまう問題について言及しています。
ゲーム要件で構成された設計マップ(左)に倒れた樹木や建築様式のアーチを追加し設計マップの構造を自然に表現(右)。周囲の環境になじませている
画像はゲーム制作ワークフローセミナー第5弾「ELDEN RING」メイキングセミナーより引用
キャラクターの制作工程について
キャラクターの制作工程についても語られており、イメージ共有ミーティングなどを経て制作が行われたことが『接ぎ木のゴドリック』というキャラクターを例にして説明しています。重要なキャラクターのコンセプトアートを制作する場合、ディレクターから提示された文章をもとにキャラクターデザインを行うこともあるとのこと。
1キャラクターを作るにあたって、複数のラフデザインが描き起こされる。中にはA案とB案の異なる2つのラフ案にある要素を組み合わせて、C案を作成する場合も
画像はゲーム制作ワークフローセミナー第5弾「ELDEN RING」メイキングセミナーより引用
ゲーム内で「弱き男はおぞましい接ぎに力を求めた」と紹介されるキャラクター『接ぎ木のゴドリック』はディレクターによってゴドリックが力を求めた理由や結末などが記された文書をもとにデザイン
画像はゲーム制作ワークフローセミナー第5弾「ELDEN RING」メイキングセミナーより引用
本記事で紹介した分野の他にも、開発体制、使用ツール、エルデンリングの開発、開発時の工夫点、モデルの最適化、オープンフィールドの制作過程、3ds Maxによるレイアウト事例、シェーダー、モーション、リグなどについて説明されており、終盤のQ&Aでは開発現場の雰囲気や3DCGを制作するにおいて必要な要素といった技術面以外のトピックについて触れられています。
インタビューの詳細はToo公式サイトをご確認ください。
ゲーム制作ワークフローセミナー第5弾「ELDEN RING」メイキングセミナーレポート