【6月の無料アセット紹介】工事現場の環境アセット「[SCANS] Construction Site: Loader」紹介とUnreal Engine 5への導入方法を解説

2022.06.28
注目記事ゲームづくりの知識しくみをつくる見た目を良くするアセットレビューアンリアルエンジンマーケットプレイス
この記事をシェア!
twitter facebook line B!
twitter facebook line B!

毎月、UEマーケットプレイスでは、Epic Gamesが選出した5つのアセットが無料配布されています。 本記事では6月の無料アセットの1つ、『[SCANS] Construction Site: Loader』の内容とUnreal Engine 5(以下、UE5)への導入方法について紹介します。

TEXT / wvigler
EDIT / 神山 大輝

目次

この記事はUnreal Engine バージョン5.0.2を利用して書かれています。

「[SCANS] Construction Site: Loader」の概要

[SCANS] Construction Site: Loader』は地形を変形させる機能を持ったホイールローダーが特徴的な、フォトリアリスティックな建設現場の環境アセットです。

『[SCANS] Construction Site: Loader』のウォークスルー

UE5で動かせるように設定を変更しよう

アセットはもともとUE4用に作られていることもあり、UE5で動作させるためにはいくつか設定を変更する必要があります。本記事では、その方法も画像付きで紹介します。

UE5での設定変更については公式の動画もある。全編英語ではあるが、映像を見ながらの方が分かりやすい方はこちらを見るのがオススメだ

プラグインを有効化にする

UE4UE5では、車両を操作するためのVehicleシステムが異なります。UE5側のVehicleシステム「Chaos Vehicles Plugin」は、デフォルトの設定では無効になっているので、これを有効にしましょう。また、本アセットの特徴である地形を変形させる機能を動作させるために「Virtual Heightfield Mesh」というプラグインも必要になるので、これも有効にします。

左上の編集タブからプラグイン設定を開き「Chaos Vehicles Plugin」と「Virtual Heightfield Mesh」を選んで有効にする

プラグインを有効にしようとすると、このようなメッセージが出るので「はい」をクリックする

入力設定を変更する

プラグインの設定を終えたら、次はプレイヤーの入力にプロジェクトがどのように反応するかを定義する必要があります。本アセットの公式ドキュメントから入力設定パックをダウンロードして解凍し、プロジェクト設定からインポートします。

ドキュメント2ページ目の「Loader Input」をクリックすると、ダウンロードページに飛ぶ

左上の編集タブからプロジェクト設定を開き、左側の欄から「インプット」を選び、画面右上の「インポート」をクリックする

ダウンロードしたファイルを選ぶと入力の設定が完了する

デフォルトのゲームモードを変更する

次に本アセットでのルールを定義するために「デフォルトのゲームモード」を変更します。

プロジェクト設定の左側の欄から「マップ&モード」を選び、「デフォルトのゲームモード」の項目から「GameModeBase」をクリックする

メニューから「BP_BulldozerGameMode」を選ぶことで、『[SCANS] Construction Site: Loader』用に「デフォルトのゲームモード」を変更できる

バーチャルテクスチャのサポートを有効にする

本アセットでは、ランタイムバーチャルテクスチャという機能が使われています。デフォルトの設定では無効になっているため、これも有効にする必要があります。

プロジェクト設定の左側の欄から「レンダリング」を選び、「バーチャルテクスチャのサポートを有効化」にチェックを付ける

最後にプロジェクトを再起動すれば準備完了です。

今月からの永続無料コンテンツ「Stylized Fantasy Provencal」にもランタイムバーチャルテクスチャが使用されている。こちらも「バーチャルテクスチャのサポートを有効化」をオンにしていないと、草木などが真っ黒に描画されてしまうので注意しよう

工事現場で実際に遊んでよう

本アセットのサンプルマップは「コンテンツ\ConstructionSite\Demo\Maps」にあります。マップがいくつか用意されていますが、今回は「ConstructionSite_02_Demo_P」を開いてみましょう。

プレイを開始すると、ヘルメットをかぶったグレイマンが操作できます。ホイールローダーのそばで「F」キーを押すことで、車両に乗り込むことができます。

ホイールローダーは2つあるが、操作できるのは手前のものだけなので注意

ホイールローダーの操作はマウスで視点移動し、「WASD」キーで移動、「スペース」キーでブレーキ、テンキーの「7,8,4,5」でバケットとアームを操作します。「F」キーを長押しすることで、ホイールローダーを降りることができます。

紹介した以外にもカメラアングルの変更やライトの点灯などのコマンドがある。操作方法はプレイ画面の左側に表示される

マップ中央にインタラクトできるコンクリートブロックが積まれているので、ホイールローダーのバケットでコンクリートブロックをすくい、周囲のコンテナに入れてみましょう。

このアセットの注目ポイント

本アセットはC++のコードを一切使わず、ブループリントのみで実装されているため、プログラムの構造が非常に分かりやすいアセットとなっています。ここからは、本アセットの見どころを紹介します。各システムがどのように実装されているかを確認し、今後のゲーム開発に役立てましょう。

Chaos Vehicleによる制御

UE5から導入された乗り物を制御するための新しい物理シミュレーションシステムです。このアセットでもUE5ではChaos Vehicleを使って車両を動かします。Chaos Vehicleについては、UE5標準の「ビークル応用」テンプレートUEの公式ドキュメントなどをご確認ください。

エンジン出力やステアリングカーブなどを調整して、いろいろな車種の動きを再現することができる

Chaos Vehicleについて日本語字幕付きで語られている『State of Unreal 2022』の講演

やや専門的な内容ではあるが、機能の詳細を知りたい場合はこの動画を視聴しよう

地形を変形させる機能

ホイールローダーが通るとタイヤの跡が残ります。これは法線マップなどによる見た目だけの変化ではなく、実際に地形が凹むようになっています。

あまり目立たないが、グレイマンが歩いたところも地形が凹むようになっている。この機能もブループリントで実装されているので、参考にしてみよう

ビジュアルの美しさ

本アセットはScans Factoryの提供する『SCANS』というフォトリアリスティックで高精細なビジュアルを持ったアセットシリーズの1つです。瓦礫、泥、水、タイヤ、車両パーツなど、高クオリティなアセットのすべてを他プロジェクトに流用することができます。

「ConstructionSite_03_Overview_P」ではアセットに使用されているモデルやマテリアルを見ることができる

『SCANS』シリーズやScans Factoryの制作するアセットに興味のある方はぜひこちらもご確認ください。

Scans Factory UEマーケットプレイスページ

本アセットは容量が大きいので、導入に少し時間がかかりますが、実装が全てブループリントなので参考にしやすく、キャラクターや車両、タイヤ跡、バケットとアーム、シリンダーの連動など見どころも豊富なアセットです。また環境アセットとしての品質も高いため、いろいろな場面で活用できる非常に有用なアセットとなっています。

また、本記事で紹介した『[SCANS] Construction Site: Loader』を含めた6月の無料アセットについてはこちらの記事でも取り上げております。

関連記事
「Unreal Engine」6月の無料マーケットプレイスコンテンツは環境アセットやキャラクター移動システムなど。新しい永続無料コンテンツも追加
2022.06.08
『[SCANS] Construction Site: Loader』 ダウンロードページ『[SCANS] Construction Site: Loader』 公式ドキュメント
wvigler

アンリアルエンジンにハマり、ぷちコンでゲーム作ってた男。映像編で2連覇したことも。
昔はよくアーケードゲームとかやってました。
一番やり込んだのは「ケツイ ~絆地獄たち~」「戦国BASARAX」あたり。ローグライトゲームとかも好きです。

関連記事

Unreal Engine 5.4がリリース。アニメーション関連の新機能「Modular Control Rig」の追加、「Motion Matching」の正式リリースなど
2024.04.24
UE6にはフォートナイト用の言語「Verse」が導入される?GDC 2024のVerse講演から見るアンリアルエンジンの今後
2024.04.22
オーディオミドルウェア「Wwise」のサウンドをUnreal Engineで再生。「書かれた通りに設定すれば必ず動作する」ガイド、Audiokineticが公開
2024.04.18
ヒストリア、日本で唯一「Unreal Engine サービス パートナー プログラム」で「ゴールド ステータス」を獲得。Epic Gamesが定める技術支援プログラム
2024.04.11
Adobe、「Substance 3D Connector」をオープンソースとして公開。Blender・Maya・3ds MaxやUE5・Unityなどの間でのアセット共有を目指す
2024.04.08
UE5で流体シミュレーションを行うプラグイン「Niagara Fluids」の公式チュートリアル4点が公開。波立つ水面や煙の揺れを表現可能
2024.04.06

注目記事ランキング

2024.04.17 - 2024.04.24
1
【2022年5月版】今から始めるフォートナイトの「クリエイティブ」モードープレイ開始から基本的な操作方法まで解説
2
『フォートナイト』で動く本格的なゲームが作れるツール「UEFN」とは?従来のクリエイティブモードから進化したポイントを一挙紹介!
3
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧
4
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.5「島の設定」
5
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.1「アイテム系」
6
【CHALLENGE1】「クリエイター ポータル」を使って、UEFNで作成した島を世界中に公開する
7
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.7「NPC系」Part1
8
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.2「ユーティリティ系」
9
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.6「チーム・対戦系」Part1
10
フォートナイトとUEFNがv29.20にアップデート。見下ろし視点でもプレイヤーキャラクターの向きを操作できるようになった
11
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.4「ゲームシステム系」
12
UEFNで使えるプログラミング言語「Verse」のノウハウが集結。『UEFN.Tokyo 勉強会 03 Verse Night』レポート
13
【CHALLENGE3】UEFNの機能「ランドスケープ」を使ってオリジナルの地形を作る
14
【STEP2】UEFNの基本的な使い方を覚えよう
15
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.9「建築物系」Part1
16
『フォートナイト』で建築ビジュアライゼーション!?UEFNでオリジナルの世界観をどう作り上げたか、その手法を解説【UNREAL FEST 2023 TOKYO】
17
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.7「NPC系」Part2
18
まるで『マイクラ』?ボクセル地形を生み出す無料アセット「VoxelPlugin Free」で”地形を掘ったり積み重ねたり”して遊んでみよう
19
フルカラー書籍「UEFN(Unreal Editor For Fortnite)でゲームづくりを始めよう!」、ついに本日発売!全国書店で好評発売中!
20
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.10「UI系」Part2
21
フォートナイトとUEFNがv29.30にアップデート。すでに公開した島をプレイできないようにする機能が導入される
22
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.3「プレイヤー系」
23
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.10「UI系」Part1
24
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.8「ゾーン系」
25
「UEFN」って実際どうなの? 編集部が3時間で「みんなで遊べるアクションゲーム(?)」を作ってみた
26
【CHALLENGE2-1】フレンドと一緒にゲームを作ろう――UEFNプロジェクトをチームメンバーとリアルタイムで共同編集する
27
【STEP4-2】リスポーンとチェックポイントの仕組みを作る
28
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.9「建築物系」Part2
29
フォートナイトとUEFNがv26.30にアップデート。ロビー画面が一新され、クリエイターが島ごとにロビー背景を自由にカスタムできるように
30
【STEP4-1】コース外に出たらデスする仕組みを作る
VIEW MORE

イベントカレンダー

VIEW MORE

今日の用語

ライト(Light)
ライト 3DCGにおいては、光源のことを指す。
VIEW MORE

Twitterで最新情報を
チェック!