この記事の3行まとめ
2024年10月4日(現地時間)、Blender開発チームはオープンソースの無料3DCGツール「Blender」のバージョン「4.3 Beta」をリリースしました。本リリースにはBrush Assetsやグリースペンシル 3.0など従来から試用できた機能群に加え、EEVEEのライトリンキング機能や実験的なVulkan対応が含まれます。
Meet the splash for Blender 4.3!
🎨 Featuring artwork by @BlenderStudio_ #b3d #DevFund pic.twitter.com/r0mxOfzFKa
— Blender 🔶 (@Blender) October 4, 2024
Cycles同等のライト&シャドウリンキング機能がEEVEEに実装
従来はCyclesに限定されていたライトリンキングおよびシャドウリンキング機能がEEVEEでも利用可能になりました。ライトリンキングは特定のオブジェクトのみに影響を与えるようにライトを設定できる機能で、シャドウリンキングはライトのブロックに関連するオブジェクトを選択できる機能です。
例えば、キャラクターのオブジェクトとリンクした(キャラクターのみに影響を与え、背景などその他には影響を与えない)専用リムライトを用意し、手前に配置された背景オブジェクトがそれを遮らないように設定することで、キャラクターを印象的に強調して描画することが可能です。このほか、EEVEEはMulti-pass Compositingにも対応し、より能動的な画作りが可能になりました。
また、実験的機能として、従来はOpenGLで描画されていたユーザーインターフェイスの描画にVulkanが使用可能になりました。Windows OS、Linux OSが対象で、NVIDIA、AMD、Intelのハードウェアがサポートされています。
新たなアーキテクチャを採用、ジオメトリノードに対応した「グリースペンシル 3.0」
グリースペンシルは、マウスやペンタブレットを使用してビューポート上に直接手描きできるペイント機能で、手描きの質感を持つ2D/3Dアニメーション制作やシーンへのメモ書きなどに用いられています。
グリースペンシル 3.0は従来のグリースペンシルと機能を同一としながら、大幅なパフォーマンス改善とジオメトリノードへの対応、そして「今後10年にわたる堅牢な基礎を築くこと」を目的として全面的にコードが書き換えられました。
なお、Blender 4.3以降のバージョンで作成されたグリースペンシルオブジェクトはファイルロード時に自動的に新しいアーキテクチャに変換されるため、4.2以前のバージョンでは正しく読み込まれません。グリースペンシル 3.0には後方互換性がないことには注意が必要です。
また、ジオメトリノード側にも新たにFor Each Element ゾーンや、ビューポート上で入力値を直感的に設定できるGizmosが追加されています。
今後のアップデート予定について、Blender開発チームはRelease Candidateを11月6日とし、正式リリースを11月12日(いずれも現地時間)と発表しています。
このほかにも、Blender 4.3からアセットライブラリとして保存されるようになったペイント、スカルプト用ブラシによるワークフローの改良やタイムラインのアップデートなど複数のリリースが含まれています。詳細はBlender公式サイトをご確認ください。
Blender 4.3 リリースノート | Blender 公式サイトBlender 4.3 Reference Manual