株式会社天空は5月30日、Androidゲーム機「AYANEO Pocket S」の発表会を開催した。今年2月の発表以来、モバイルゲーマーから大きな注目を集めていた本機が、いよいよ7月中旬に正式発売となる。一番安いモデルで79,800円(ハイビーム公式オンラインストア先行予約価格)で5月30日から予約開始となり、今回の発表会でわかったことなどを含めてレポートをお届けする。
TEXT / 松井 ムネタツ
EDIT / 酒井 理恵
優れたデザイン性と最新SoCに注目!
本機が発表されてまず話題になったのが、そのデザインだ。オールガラスでベゼルレスにより、パッと見た感じiPhoneのようにも見える。これがとても物欲をそそられ、ガジェット好きにはたまらない外観だ。サイズは213.9mm×85mm×14mmで、Nintendo Switch Lite(208mm×91.1mm×13.9mm)に近い。重さは約350gでさすがにSwitch Lite(約275g)より重いが、通常モデルのNintendo Switch(約398g)ほどの重さではないので、ゲームプレイにはまったく問題ない。
QualcommのSnapdragon G3x Gen 2を初めて搭載したポータブルゲーミングデバイスというのも、話題になった要素のひとつだ。Snapdragon G3x Gen 2は、Qualcommが2023年に発表した次世代ゲーム用SoC(System-on-a-chip)で、Snapdragon G3x Gen 1と比べてCPUは30%以上、GPUは2倍以上の高速化を実現している。
こうしたチップが高性能になればなるほど課題として挙がってくるのが発熱。当然、性能が上がれば多くの熱を発し、本来持っているパフォーマンスを発揮できないという問題が出てくる。本機は冷却に力を入れており、大きな放熱プレートやヒートシンク、さらには冷却ファンまで搭載されており、熱対策にはかなり力が入っている。
Android機なのでAndroidのゲームが遊べるのは当然として、クラウドゲーミングサービスのGeForce NOWやXbox Cloud Gaming(Beta)もスムーズに動作する。Wi-Fi 7 対応で、対応機器経由でつなげれば高速通信となっており、自宅内ならSteam Linkによるリモートプレイにも対応しているので、プレイシーンは多岐にわたる。Windowsゲーム機ではない時点で物足りなさを感じるかもしれないが、それ以上にこの軽さと格好良さ、手軽さと軽さには大きなバリューがあると言っていいだろう。
CEOのArthur氏はガチゲーマー!
なぜこんなにもゲームマニア向け製品を作ることができるのか……というと、AYANEOのCEOであるArthur Zhang氏自身がものすごくゲームマニアだから。とくにポータブルゲーム機には目がないらしく、家にも会社にも日本をはじめとする世界中のポータブルゲーム機がたくさんあるという。
そんな思いもあって、2022年の「Steam Deck」や2023年の「ROG Ally」よりも早い、2021年にストレート型Windowsゲームマシン「AYANEO 2021」を発売しており、今回の「AYANEO Pocket S」もこれまで培ってきた高い技術力で開発されたものになっている。発表会におけるArthur氏のスライドでは、そうしたAYANEOの強み、管理ツール「AYA Space」、製品カテゴリー、日本市場の重要性などを説明してくれた。
続いて、天空の山田拓郎氏が登壇し、「AYANEO Pocket S」の魅力を紹介。製品コンセプト、パフォーマンスを「ターボキー」(物理ボタン)で切り替え可能である点、色あせしない透明ボタン、ボタンマッピング機能、Androidゲームやクラウドによるゲームプレイの実機デモなどを解説してくれた。
右サイドにあるボタンをスライドするだけで、性能全開のフルスロットルモード、ゲーム向けにバッテリーとパフォーマンスを最適化したゲーミングモード、バッテリーを優先するバランスモードにサクサクと切り替えられる
持ってヨシ、触ってヨシ、遊んでヨシ
最後に20分ほどだったが、実機を触る時間があったので、その感想を簡単にお伝えしておこう。
モノとしてはAndroidなので、十分軽い。また、ゲームに特化した作りになっているので、スマホでゲームをしているときに邪魔になる通知が一切入らないのもいい。ゲームをする度に通知をオン/オフするといった煩わしさは、本機であればない。
ゲームの切り替えは限りなく少ない操作でサクサクとできるようになっており、細かい部分まで行き届いたメニューやハード設計になっている。
バッテリーは普通にプレイして3時間程度、環境設定や遊ぶゲームによっては最大8時間も遊べる。またUSB type-Cからモニターに出力させることが可能で、大画面で遊んだり動画用に録画したりすることも簡単にできそうだ。
現在予約受付中で、2024年6月13日午前9時59分までに申し込めば7月中旬には発送となる予定だという。新しモノ好きやガジェット好きはもちろん、モバイルゲーマーならば、新たな選択肢として注目しておくべきハードと言えるだろう。
■主な仕様・価格
製品名:AYANEO Pocket S 国内正規版
画面:6インチ IPS
解像度:2560×1440、1920×1080
リフレッシュレート:60Hz
本体カラー:オブシディアンブラック / アイスソウルホワイト
OS:Andorid 13
SoC:Qualcomm Snapdragon G3x Gen2
RAM:12GB / 16GB
ストレージ:128GB(UFS 3.1)/ 512GB(UFS 4.0)
冷却性能:ベイパーチャンバー放熱+アクティブ空冷システム
コントローラー:マスターコントローラー
ジョイスティック:ホールセンシング・ジョイスティック
トリガー:リニアホール・トリガー
スペシャルボタン:ターボボタン / ホームボタン
振動モーター:X軸リニアモーター
ジャイロスコープ:6軸ジャイロスコープ
インターフェイス:USB3.2 Gen2 Type-C、microSD 3.0 カードスロット
通信:Wi-Fi 7、Bluetooth 5.3
バッテリー容量:6,000mAh
サイズ:約213.9mm×85mm×14mm
重量:約350g
価格:
RAM 12GB / ストレージ 128GB / 解像度 1080P: 89,800円(※予約限定価格79,800円)
RAM 16GB / ストレージ 512GB / 解像度 1080P:109,800円(※予約限定価格99,800円)
RAM 16GB / ストレージ 512GB / 解像度 1440P:119,800円(※予約限定価格104,800円)
以下、プレスリリースからの引用です。
天空、Snapdragon® G3x Gen2を世界初搭載した
Andoroid ポータブルゲーミングデバイス「AYANEO Pocket S 国内正規版」発売
~本日よりハイビーム公式ストアやCAMPFIREなどで予約開始~
株式会社天空(東京都渋谷区、代表取締役:山田 拓郎)は、深センAYANEO社が開発した、 Snapdragon® G3x Gen2を世界初(注1)搭載した Androidポータブルゲーミングデバイス「AYANEO Pocket S 国内正規版」を7月上旬より発売します。
本製品は、ハイビーム公式オンラインストア、ハイビーム秋葉原本店、Amazon.co.jpにて本日より予約開始し、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」でのプロジェクトも本日より開始します。
なお、ハイビーム公式オンラインストア限定特典として、6月13日午前9時59分までの予約は本体価格より1万円の限定割引に加え、専用液晶保護フィルムをプレゼントします。また、1440P搭載モデルは、ハイビーム公式オンラインストア、Amazon.co.jpでの限定販売です。
国内正規版は、当社による国内1年間の保証を提供します。1年を超えた場合でも破損や故障、バッテリーの交換などの場合も、修理パーツを取り揃えており、国内にて修理(注2)できるため、安心して利用可能な製品です。
本製品の予約開始を記念して5月30日(木)20時より、YouTubeチャンネル「ハイビームAKIBA」にて、「AYANEO Pocekt S」の特集スペシャルとなる「ポータブルゲーミングPC 第4回フェス」を 開催予定です。本配信では、深センAYANEO社CEOのアーサー氏もゲスト登壇します。
■ポータブルゲーミングPC 第4回フェス
日時:5月30日(木)20時~
ゲスト:AYANEO CEO アーサー氏 配信URL:https://www.youtube.com/watch?v=FBIKXgOUi1A
■AYANEO PocketS製品ページ
AYANEO公式サイト:https://www.aya-neo.jp/ayaneo-pockets
ハイビーム公式オンラインストア:https://high-beam-online.com/products/ayaneo-pockets
Amazon.co.jp:https://www.amazon.co.jp/dp/B0D5B6J9TM?ref=myi_title_dp
■AYANEO Pocket S クラウドファンディングサイト(CAMPFIRE)
https://camp-fire.jp/projects/view/764604?utm_campaign=cp_po_share_c_msg_mypage_projects_show
■ハイビームAKIBA秋葉原本店にて実機を展示開始(5月30日より)
ハイビーム秋葉原本店:https://high-beam-online.com/pages/storeinfo
■主な仕様・価格
■CAPMFIREでの主な仕様・支援価格
■主な特長
1.6インチオールガラスベゼルレスディスプレイを採用した約350gの軽量・高品質筐体
高強度・高精細のボーダーレスなガラスカバーを採用することで、最大1440P IPSスクリーンは超高精細で没入感のある視覚体験を提供します。また、高強度のCNC加工のボディとマットな質感を出すサンドブラスト加工が施された筐体は小型で、小さい手の女性でも持ちやすく、持ち心地が良い軽量なデザインを採用。その軽さは、約350gで最薄部は約14mmで、重さを感じることないため、外出先への持ち運びでもストレスを感じることがありません。
2.最新のSoCの搭載や大容量メモリ・ストレージなどの採用で快適なゲーム環境を提供
最新のゲーミングスマートフォンで採用されている「Snapdragon® 8 Gen2」をゲーム用にカスタマイズした「Snapdragon® G3x Gen2」のSoC(System on a Chip)をAndroidポータブルゲーミングデバイスとして世界初採用。最大15Wの圧倒的なパフォーマンスにより、同レベルのスマートフォンを凌駕した性能を発揮します。
また、メモリは最大16GBで幻塔などの大作ゲームも最高性能で遊ぶことができます。 さらに、ストレージは最大512GBで、microSDカードスロットを採用しているため容量の拡張も可能です。
これらにより、性能や容量不足などに悩まされることなくゲームを快適に楽しむことができます。
3.大容量バッテリーと高い放熱性能で長時間のゲームプレイも安定
大容量6000mAhのバッテリーを採用しているため、長時間のゲームプレイが可能。PD急速充電もサポートしているので、短い時間でのフル充電が可能です。
また、最新の放熱機能である巨大なベイパーチャンバー放熱プレートと冷却ファンを採用。広範囲の熱伝導性の高い冷却システムで、背面が熱くて持てないということは決してなく、長時間のゲームプレイでもパフォーマンスを維持します。
4.専用ソフトウェア「AYASpace」によりゲームに合わせた設定変更が容易に可能
設定を一括管理できる専用ソフトウェア「AYASpace」により、TDPやファン回転数、Pフォーマンスパラメーターなどをワンタッチで切り替えられることができます。ゲームに応じた最適な設定にすぐに切り替えられるため、集中してゲームを楽しむことができます。
以上
(注1)2024年5月30日現在、Snapdragon® G3x Gen2搭載のAndroidポータブルゲーミングデバイスにおいて当社調べ。
(注2)修理料金は個別にお見積もりが必要。
パソコンゲーム雑誌、アーケードゲーム雑誌、家庭用ゲーム雑誌を渡り歩き、現在はフリーのゲーム系編集/ライター。マイベストゲームは『ウィザードリィ 狂王の試練場』で、最近だと『Forza Horizon』シリーズに大ハマリ。メインPCはAlienware Aurora。セガ・レトロゲーム系メディア「Beep21」副編集長をやりつつ、ボードゲームメディア「BROAD」編集長も兼任。
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