ゲーム向けSoC「Snapdragon G3x Gen2」初搭載のAndroid端末「AYANEO Pocket S」。発表会で実際に触ってみた

2024.06.03
注目記事周辺機器・ハードウェアAndroid
この記事をシェア!
Twitter Facebook LINE B!
Twitter Facebook LINE B!

株式会社天空は5月30日、Androidゲーム機「AYANEO Pocket S」の発表会を開催した。今年2月の発表以来、モバイルゲーマーから大きな注目を集めていた本機が、いよいよ7月中旬に正式発売となる。一番安いモデルで79,800円(ハイビーム公式オンラインストア先行予約価格)で5月30日から予約開始となり、今回の発表会でわかったことなどを含めてレポートをお届けする。

TEXT / 松井 ムネタツ
EDIT / 酒井 理恵

発表会に登壇したAYANEOのArthur Zhang氏(写真左)と、天空の山田拓郎氏(写真右)

優れたデザイン性と最新SoCに注目!

本機が発表されてまず話題になったのが、そのデザインだ。オールガラスでベゼルレスにより、パッと見た感じiPhoneのようにも見える。これがとても物欲をそそられ、ガジェット好きにはたまらない外観だ。サイズは213.9mm×85mm×14mmで、Nintendo Switch Lite(208mm×91.1mm×13.9mm)に近い。重さは約350gでさすがにSwitch Lite(約275g)より重いが、通常モデルのNintendo Switch(約398g)ほどの重さではないので、ゲームプレイにはまったく問題ない。

QualcommのSnapdragon G3x Gen 2を初めて搭載したポータブルゲーミングデバイスというのも、話題になった要素のひとつだ。Snapdragon G3x Gen 2は、Qualcommが2023年に発表した次世代ゲーム用SoC(System-on-a-chip)で、Snapdragon G3x Gen 1と比べてCPUは30%以上、GPUは2倍以上の高速化を実現している。

こうしたチップが高性能になればなるほど課題として挙がってくるのが発熱。当然、性能が上がれば多くの熱を発し、本来持っているパフォーマンスを発揮できないという問題が出てくる。本機は冷却に力を入れており、大きな放熱プレートやヒートシンク、さらには冷却ファンまで搭載されており、熱対策にはかなり力が入っている。

Android機なのでAndroidのゲームが遊べるのは当然として、クラウドゲーミングサービスのGeForce NOWやXbox Cloud Gaming(Beta)もスムーズに動作する。Wi-Fi 7 対応で、対応機器経由でつなげれば高速通信となっており、自宅内ならSteam Linkによるリモートプレイにも対応しているので、プレイシーンは多岐にわたる。Windowsゲーム機ではない時点で物足りなさを感じるかもしれないが、それ以上にこの軽さと格好良さ、手軽さと軽さには大きなバリューがあると言っていいだろう。

Androidゲームやストリーミングによるクラウドゲームなどに対応

CEOのArthur氏はガチゲーマー!

なぜこんなにもゲームマニア向け製品を作ることができるのか……というと、AYANEOのCEOであるArthur Zhang氏自身がものすごくゲームマニアだから。とくにポータブルゲーム機には目がないらしく、家にも会社にも日本をはじめとする世界中のポータブルゲーム機がたくさんあるという。

そんな思いもあって、2022年の「Steam Deck」や2023年の「ROG Ally」よりも早い、2021年にストレート型Windowsゲームマシン「AYANEO  2021」を発売しており、今回の「AYANEO Pocket S」もこれまで培ってきた高い技術力で開発されたものになっている。発表会におけるArthur氏のスライドでは、そうしたAYANEOの強み、管理ツール「AYA Space」、製品カテゴリー、日本市場の重要性などを説明してくれた。

「AYA Space」はいつでも呼び出すことが可能で、さまざまな設定を行うことができる

AYANEOはWindowsハンドヘルド、Androidハンドヘルド、Mini PC、アクセサリーといったラインナップを揃えている

AYANEO製品の売り上げのうち、15%が日本市場だという

続いて、天空の山田拓郎氏が登壇し、「AYANEO Pocket S」の魅力を紹介。製品コンセプト、パフォーマンスを「ターボキー」(物理ボタン)で切り替え可能である点、色あせしない透明ボタン、ボタンマッピング機能、Androidゲームやクラウドによるゲームプレイの実機デモなどを解説してくれた。

AYANEOの独自コンセプトを解説

右サイドにあるボタンをスライドするだけで、性能全開のフルスロットルモード、ゲーム向けにバッテリーとパフォーマンスを最適化したゲーミングモード、バッテリーを優先するバランスモードにサクサクと切り替えられる

クリスタル透明ボタンにより、使い込んでもボタンのA,Bなどの文字が消えることはない

Xbox Cloud Gaming(Beta)で『Forza Horizon 5』をプレイ

持ってヨシ、触ってヨシ、遊んでヨシ

最後に20分ほどだったが、実機を触る時間があったので、その感想を簡単にお伝えしておこう。

モノとしてはAndroidなので、十分軽い。また、ゲームに特化した作りになっているので、スマホでゲームをしているときに邪魔になる通知が一切入らないのもいい。ゲームをする度に通知をオン/オフするといった煩わしさは、本機であればない。

本体はNintendo Switch Liteとほぼ同サイズ

上側面には排気口やボリューム、指紋認証の電源ボタンがある。LB・RBの隣にある小さな正方形のボタン(LC・RCボタン)は割り当て可能ボタンとなっている

右側面にはターボボタンがある。上にスライドするように1回押すごとにモードが切り替わる

アナログスティックはゲーミングマシンらしくライティングが施されており、スティックを押し倒した方向の色が変わる

ゲームの切り替えは限りなく少ない操作でサクサクとできるようになっており、細かい部分まで行き届いたメニューやハード設計になっている。

バッテリーは普通にプレイして3時間程度、環境設定や遊ぶゲームによっては最大8時間も遊べる。またUSB type-Cからモニターに出力させることが可能で、大画面で遊んだり動画用に録画したりすることも簡単にできそうだ。

現在予約受付中で、2024年6月13日午前9時59分までに申し込めば7月中旬には発送となる予定だという。新しモノ好きやガジェット好きはもちろん、モバイルゲーマーならば、新たな選択肢として注目しておくべきハードと言えるだろう。

AYANEOがこれまで発売してきた製品群

■主な仕様・価格
製品名:AYANEO Pocket S 国内正規版

画面:6インチ IPS

解像度:2560×1440、1920×1080

リフレッシュレート:60Hz

本体カラー:オブシディアンブラック / アイスソウルホワイト

OS:Andorid 13

SoC:Qualcomm Snapdragon G3x Gen2

RAM:12GB / 16GB

ストレージ:128GB(UFS 3.1)/ 512GB(UFS 4.0)

冷却性能:ベイパーチャンバー放熱+アクティブ空冷システム

コントローラー:マスターコントローラー

ジョイスティック:ホールセンシング・ジョイスティック

トリガー:リニアホール・トリガー

スペシャルボタン:ターボボタン / ホームボタン

振動モーター:X軸リニアモーター

ジャイロスコープ:6軸ジャイロスコープ

インターフェイス:USB3.2 Gen2 Type-C、microSD 3.0 カードスロット

通信:Wi-Fi 7、Bluetooth 5.3

バッテリー容量:6,000mAh

サイズ:約213.9mm×85mm×14mm

重量:約350g

価格:
RAM 12GB / ストレージ 128GB / 解像度 1080P: 89,800円(※予約限定価格79,800円)
RAM 16GB / ストレージ 512GB / 解像度 1080P:109,800円(※予約限定価格99,800円)
RAM 16GB / ストレージ 512GB / 解像度 1440P:119,800円(※予約限定価格104,800円)

プレスリリース

以下、プレスリリースからの引用です。


天空、Snapdragon® G3x Gen2を世界初搭載した

Andoroid ポータブルゲーミングデバイス「AYANEO Pocket S 国内正規版」発売

~本日よりハイビーム公式ストアやCAMPFIREなどで予約開始~

株式会社天空(東京都渋谷区、代表取締役:山田 拓郎)は、深センAYANEO社が開発した、 Snapdragon® G3x Gen2を世界初(注1)搭載した Androidポータブルゲーミングデバイス「AYANEO Pocket S 国内正規版」を7月上旬より発売します。

本製品は、ハイビーム公式オンラインストア、ハイビーム秋葉原本店、Amazon.co.jpにて本日より予約開始し、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」でのプロジェクトも本日より開始します。

なお、ハイビーム公式オンラインストア限定特典として、6月13日午前9時59分までの予約は本体価格より1万円の限定割引に加え、専用液晶保護フィルムをプレゼントします。また、1440P搭載モデルは、ハイビーム公式オンラインストア、Amazon.co.jpでの限定販売です。

国内正規版は、当社による国内1年間の保証を提供します。1年を超えた場合でも破損や故障、バッテリーの交換などの場合も、修理パーツを取り揃えており、国内にて修理(注2)できるため、安心して利用可能な製品です。

本製品の予約開始を記念して5月30日(木)20時より、YouTubeチャンネル「ハイビームAKIBA」にて、「AYANEO Pocekt S」の特集スペシャルとなる「ポータブルゲーミングPC 第4回フェス」を 開催予定です。本配信では、深センAYANEO社CEOのアーサー氏もゲスト登壇します。

■ポータブルゲーミングPC 第4回フェス
日時:5月30日(木)20時~
ゲスト:AYANEO CEO アーサー氏 配信URL:https://www.youtube.com/watch?v=FBIKXgOUi1A

■AYANEO PocketS製品ページ
AYANEO公式サイト:https://www.aya-neo.jp/ayaneo-pockets
ハイビーム公式オンラインストア:https://high-beam-online.com/products/ayaneo-pockets
Amazon.co.jp:https://www.amazon.co.jp/dp/B0D5B6J9TM?ref=myi_title_dp

■AYANEO Pocket S クラウドファンディングサイト(CAMPFIRE)
https://camp-fire.jp/projects/view/764604?utm_campaign=cp_po_share_c_msg_mypage_projects_show

■ハイビームAKIBA秋葉原本店にて実機を展示開始(5月30日より)
ハイビーム秋葉原本店:https://high-beam-online.com/pages/storeinfo

■主な仕様・価格

製品名 カラー 主な仕様 発売日 価格 (円、税込) ハイビーム公式オンラインストでの予約限定価格 (円、税込) 備考
AYANEO Pocket S 国内正規版 オブシディアンブラック/アイスソウルホワイト Snapdragon G3x Gen2//12GB/128GB/6インチ*60Hz*1080P 2024年7月上旬 89,800 79,800 予約限定価格は6月13日9:59まで
Snapdragon G3x Gen2//16GB/512GB/6インチ*60Hz*1080P 109,800 99,800
Snapdragon G3x Gen2//16GB/512GB/6インチ*60Hz*1440P 114,800 104,800
専用保護ケース 5,800 4,860 予約限定価格は6月13日9:59までに本体とのセット購入に限る
専用保護フィルム 1,480

■CAPMFIREでの主な仕様・支援価格

製品名 カラー 主な仕様 出荷日 支援価格(円、税込) 備考
AYANEO Pocket S 国内正規版 オブシディアンブラック/アイスソウルホワイト Snapdragon G3x Gen2//12GB/128GB/6インチ*60Hz*1080P/約350g 2024年7月上旬 79,800 先着10人限定で専用保護フィルム/専用保護ケース付き
Snapdragon G3x Gen2//16GB/512GB/6インチ*60Hz*1080P/約350g 99,800
AYANEO Pocket S 国内正規版 周辺機器20%OFFセット Snapdragon G3x Gen2//12GB/128GB/6インチ*60Hz*1080P/約350g/専用保護フィルム/専用保護ケース 85,630
Snapdragon G3x Gen2//16GB/512GB/6インチ*60Hz*1080P/約350g/専用保護フィルム/専用保護ケース 105,630
専用保護ケース 5,800
専用保護フィルム 1,480

■主な特長

1.6インチオールガラスベゼルレスディスプレイを採用した約350gの軽量・高品質筐体

高強度・高精細のボーダーレスなガラスカバーを採用することで、最大1440P IPSスクリーンは超高精細で没入感のある視覚体験を提供します。また、高強度のCNC加工のボディとマットな質感を出すサンドブラスト加工が施された筐体は小型で、小さい手の女性でも持ちやすく、持ち心地が良い軽量なデザインを採用。その軽さは、約350gで最薄部は約14mmで、重さを感じることないため、外出先への持ち運びでもストレスを感じることがありません。

2.最新のSoCの搭載や大容量メモリ・ストレージなどの採用で快適なゲーム環境を提供

最新のゲーミングスマートフォンで採用されている「Snapdragon® 8 Gen2」をゲーム用にカスタマイズした「Snapdragon® G3x Gen2」のSoC(System on a Chip)をAndroidポータブルゲーミングデバイスとして世界初採用。最大15Wの圧倒的なパフォーマンスにより、同レベルのスマートフォンを凌駕した性能を発揮します。

また、メモリは最大16GBで幻塔などの大作ゲームも最高性能で遊ぶことができます。  さらに、ストレージは最大512GBで、microSDカードスロットを採用しているため容量の拡張も可能です。

これらにより、性能や容量不足などに悩まされることなくゲームを快適に楽しむことができます。

3.大容量バッテリーと高い放熱性能で長時間のゲームプレイも安定

大容量6000mAhのバッテリーを採用しているため、長時間のゲームプレイが可能。PD急速充電もサポートしているので、短い時間でのフル充電が可能です。

また、最新の放熱機能である巨大なベイパーチャンバー放熱プレートと冷却ファンを採用。広範囲の熱伝導性の高い冷却システムで、背面が熱くて持てないということは決してなく、長時間のゲームプレイでもパフォーマンスを維持します。

4.専用ソフトウェア「AYASpace」によりゲームに合わせた設定変更が容易に可能

設定を一括管理できる専用ソフトウェア「AYASpace」により、TDPやファン回転数、Pフォーマンスパラメーターなどをワンタッチで切り替えられることができます。ゲームに応じた最適な設定にすぐに切り替えられるため、集中してゲームを楽しむことができます。

以上

(注1)2024年5月30日現在、Snapdragon® G3x Gen2搭載のAndroidポータブルゲーミングデバイスにおいて当社調べ。

(注2)修理料金は個別にお見積もりが必要。

松井 ムネタツ

パソコンゲーム雑誌、アーケードゲーム雑誌、家庭用ゲーム雑誌を渡り歩き、現在はフリーのゲーム系編集/ライター。マイベストゲームは『ウィザードリィ 狂王の試練場』で、最近だと『Forza Horizon』シリーズに大ハマリ。メインPCはAlienware Aurora。セガ・レトロゲーム系メディア「Beep21」副編集長をやりつつ、ボードゲームメディア「BROAD」編集長も兼任。

「BROAD」Webサイト

関連記事

Google、「Android 15」のソースコードをAOSPで公開。正式版は対象の「Google Pixel」シリーズ向けには数週間以内にリリース
2024.09.05
Google、「Android 15」の開発者向けプレビュー版を初公開。Pixel 6以降のデバイスなどで利用できる
2024.02.19
Google、マルチモーダル生成AI「Gemini」を利用するAndroidアプリの開発ガイドを公開
2023.12.28
Google Play、個人開発者がアプリを公開する前に「20人以上のテスターを集め、14日以上連続でクローズドテストすること」が条件に追加。11/13以降に作られたデベロッパーアカウントが対象
2023.11.13
NianticのUnity向けAR開発ツール「Lightship ARDK」が3.0にアップデート。VPS導入により、現実で近くにいるプレイヤー同士によるマルチプレイに対応
2023.11.03
Googleが『Android 14 Beta 2』を発表。Lenovo、OPPOなどより多くのデバイスで利用可能に
2023.05.12

注目記事ランキング

2024.11.16 - 2024.11.23
VIEW MORE

連載・特集ピックアップ

イベントカレンダー

VIEW MORE

今日の用語

法線
ホウセン 頂点がどの方向に向いているのかを決定するベクトル情報。ライティング情報を受けて、どのような方向に陰影を作リ出すかを決定する処理に利用する。 マテリアル内で、計算やテクスチャ情報により法線をコントロールすることで、メッシュそのものを弄らずに立体感を出すことが可能。 面の表裏を表す面法線もある。
VIEW MORE

Xで最新情報をチェック!