2023年7月14日(木)から16日(日)の3日間、京都みやこめっせで開催された『BitSummit Let’s Go!!』。展示されたゲームの中から、今回はトロヤマイバッテリーズフライド氏が開発する2Dアクションゲーム『Death the Guitar』を紹介します。
ジミ・ヘンドリックスから着想を得た「殺人エレキギター」
ゲームメーカーズ読者のみなさんはジミ・ヘンドリックス、通称ジミヘンをご存知でしょうか?現代のロックギターの文脈へ連なる始祖の一人、伝説や神と呼ばれる存在、そしてわずか27歳の若さでこの世を去った天才ギタリストです。
1960年代に活躍したギタリストで、卓越した技術に裏付けされたアドリブやセンス溢れる作編曲スキル、「もはや何をどう弾いているのか良く分からないけどすごい」という印象さえ持ってしまう人物ですが、やはり有名なのは「ギターを燃やす、歯や背中で弾く」などの過激なステージパフォーマンスでしょう。
死因は窒息死とされていますが、いまだ謎が多いとの見方も。今となっては真相を明らかにするのは難しいですが、死後53年の時を経て、このジミヘンから着想を得たという「殺されてしまった持ち主のギタリストの復讐をする」というストーリーのゲームが誕生しました。
ということで、恐れ多くも『Death the Guitar』のプレイレポートを書いていきます。
シンプルな2Dアクションに「音」と「電気」を加えたゲームデザイン
本作はiGi 3期生であるトロヤマイバッテリーズフライド氏が開発する2Dアクションゲーム。システム自体はシンプルで、ステージ内の人間を全員やっつけることで次のステージへ進む扉が開くというもの。主人公の殺人エレキギターは移動、ジャンプ、攻撃が可能となっており、爆音でギターをかき鳴らしながらステージを進んでいきます。
攻撃手段は1種類ですが、状況に応じて「音」と「電気」が使い分けられます。基本的には近距離の範囲攻撃で、知人に弾いてもらったという豪快なギターサウンドとともに壁を真っ赤に染め上げます。一方、導電性の黒い床に接した状態で攻撃をすることで、「電気」を介した遠距離攻撃が可能になります。電気を使ったギミックも存在し、デモ版では上下するエレベーターを駆動させる要素として活用されていました。
ステージ上に複数存在するMarshall風のギターアンプの上に乗ってジャンプをすることでハイジャンプが可能で、通常のジャンプでは届かない場所に移動できるほか、横入力を加えることで高速の横移動に。このアクションによって通常では通り抜けられないガラスを破るなどの仕掛けも施されています。
敵となる人間に触れたら即ゲームオーバー。高速で発射する銃、あるいは追尾型のミサイルなどの攻撃手段を持つほか、視界に入らなくても「音」による攻撃でこちらに気付き、攻撃を仕掛けてきます。体力ゲージなどの要素はないため、1発でも攻撃を受けると即終了ですが、そのぶんリトライも早いのでサクサク進める印象。
筆者は「まずは何度か死んでみて、しっかり敵の位置を把握して、最後は最速で突っ込んで倒す!」というプレイスタイルで進んでいましたが、別の方は落ち着いて弾除けをしていたので、人によってプレイスタイルが分かれそうな雰囲気。アクション難易度はやや高めですが、ストレスなく遊べました。
開発したトロヤマイバッテリーズフライド氏によれば、開発環境はGameMakerであるとのこと。お話を聞く中でルックの近さから話題に挙げた『ElecHead』は、実は開発するまで存在を知らなかったそう。同氏は「GameMakerで開発したゲームとして、お互いDownwellの影響を受けているのかもしれません」と語り、このほかにもゲーム性の面で影響を受けたタイトルとして『Celeste』を挙げていました。
ギター型のキャラクターは初見ではGibson SGに見えていましたが、実際にはFender Stratocaster(通称、ストラト)がモデル。先に紹介したジミヘンも同モデルのギターを象徴的に使っていましたが、トロヤマイバッテリーズフライド氏自身も最近ストラトを購入し、枕元に置いているとのこと(ギターは始めたばかりとのことで、これは少し意外でした)。
BGMも自作で、8bit風サウンドとなっているのは「ギターで表現した効果音と混ぜにくいことと、ファミコンやゲームボーイのようなテイストを売りにしているから」という理由。今後エフェクターを集めてカスタマイズする構想もあり、例えばアンビエント系ならジャンプの軌道が変化し、Over Driveなら敵の攻撃を弾くなどのアイデアがあるそう。今から殺人エフェクターボードを広げるのが楽しみです。
「Death the Guitar」SteamページBitSummit Let's Go!!公式サイトゲームメーカーズ編集長およびNINE GATES STUDIO代表。ライター/編集者として数多くのWEBメディアに携わり、インタビューや作品メイキング解説、その他技術的な記事を手掛けてきた。ゲーム業界ではコンポーザー/サウンドデザイナーとしても活動中。
ドラクエFFテイルズはもちろん、黄金の太陽やヴァルキリープロファイルなど往年のJ-RPG文化と、その文脈を受け継ぐ作品が好き。
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