3年振りのリアル開催となったCEDEC+KYUSHU 2022。せっかくの現地開催ということで、今回は会場の雰囲気を感じていただくために、編集長 神山の福岡の旅路の様子をお伝えします(なお、講演レポートは別途しっかり上がりますので、ご安心ください!)。
TEXT / 神山 大輝
目次
CEDEC+KYUSHUとは?
CEDEC+KYUSHUは、福岡で例年行われるゲーム開発者向けのカンファレンス。もともとはレベルファイブ、サイバーコネクトツー、ガンバリオンという九州のゲーム会社3社が中心となり、ゲーム産業を盛り上げる中で生まれたイベントです。後援として福岡市も名を連ねています。
今年の現地とオンラインのハイブリッド形式。参加者数は3,400名とのことで、いまや本家CEDECに次ぐ規模感のゲーム業界カンファレンスとなっています。ちなみに私自身は2017年以来2度目の参加となります。
1日目――福岡空港到着から懇親会
福岡に到着したのは開催前日となる11月10日(金)の14時半頃。フライト時間は約2時間です。空港と中心街が近いのが特徴で、福岡空港から博多駅までは15分ほど。自分は天神にホテルを取っていたので、PARCO内のShinShinで昼食を済ませ、そのままチェックインしました。
「せっかく博多に来たし、空港を出たらラーメンを食べよう!」という方は、営業時間にご注意を。15時前後にランチタイムが終わってしまうケースも多いです。空港で海鳴を食べるのもアリ。
その後は西川善司さんの記事をアップしたり、ライターの皆さんに発注メールを送ったり、いつも通り仕事を進めます。
17時からは非公式の懇親会へ出席。CEDECやTGSなどゲーム業界の方が集う大型イベントでは前夜祭的なイベントも多く、その後の二次会は胡麻鯖ともつ鍋、三次会は1杯290円という地元のラーメン店、四次会は店名も分からない屋台という流れで夜は更けていきます。
2日目――会場の九州産業大学に到着、いよいよイベント開催
翌朝9時頃、会場となる九州産業大学1号館に到着。最寄り駅は九産大前駅で、天神からは車で20分ほどの距離になります。
敷地面積は約440,000㎡、ヤフオクドーム6個分。1万人を超える学生が通うマンモス校で、本イベント主催に名を連ねる芸術学部ではゲーム開発も教えているとのこと。当日は天気もよく、コートもいらないくらいの気候でした。
九州産業大学 公式サイト大学ということで大体の設備は揃っており、個人的には自販機の間隔が近いのも嬉しく、座って休憩できるところも多いです。
余談ですが、この日はさまざまなイベントが重なりホテル価格が高騰。一泊目は天神ですが、二泊目は60km離れた小倉となってしまい、カメラやPCだけでなく衣類等全ての荷物を会場内に持ち込むことになってしまいました。あらゆるカンファレンスで言えることですが、余裕を持った予約を心掛けましょう。私も心掛けます。
全35セッションがラインナップ
さっそく講演を見ていきます!2週間後にオンライン配信もあるので、頑張れば現地と合わせて全講演を網羅できそうです。
今年は基調講演、特別招待講演を含めて全35講演。約半分が公募セッション、残りが招待とスポンサードセッションになります。『ゼノブレイド3』や『ELDEN RING』、『グランツーリスモ7』、『SCARLET NEXUS』などIP関連の講演も多く、最新タイトルの技術的な裏側を知ることができます。ゲームメーカーズでもいくつかの講演をレポート予定です。
個人的には、これまでと同じ人数でどこまで大規模な開発ができるのか、根性論ではない部分のワークフローに興味があります。効率化や自動化に向けたセッションは非常に勉強になりました!
メディア運営にも通じるのですが、少ない人数で現場をキレイに回すというのは永遠の課題……。
基調講演『Cygames流!最高のコンテンツを作る極意』にはCygames 代表取締役社長 渡邊 耕一氏、モデレーターとしてサイバーコネクトツー 代表取締役 松山 洋氏が登壇。
サイバーエージェントグループは技術的な情報公開発信に積極的な印象があり、NOVA Shaderやパフォーマンスバイブルの公開などはゲームメーカーズとして取り上げていますが、こうしたカンファレンスに渡邊 耕一氏自身が登壇するのは貴重な機会です。
従来の講演で抱いていた同社の技術的な側面とは打って変わって、ものづくりに対する取り組み方など精神面の話題が中心。会社立ち上げ経緯から『グランブルーファンタジー』『ウマ娘 プリティーダービー』などのゲームコンテンツの誕生秘話などが語られました。
Cygames流!最高のコンテンツを作る極意特別招待講演として、カラー 取締役、プロジェクトスタジオQ 代表取締役 小林 浩康氏が登壇。『プレイバック!『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズを主とした、アニメの極私的デジタル表現』と題して行われた講演では、同シリーズにおける3DCG活用の歴史が説明されました。3DCGでなければできない表現の提案から始まり、セル画からの発想の転換と融合、そして細部へのこだわりまで、絵コンテや資料映像などを交えて紹介されました。
プレイバック!『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズを主とした、 アニメの極私的デジタル表現個人的にすごいなーと思ったのが、小林氏の淡々としたトークに対し、会場から笑いが起こっていたところ。自分でやると良く分かるのですが、講演で笑いを取るのは難しく、危険です(諸説あり)。あれだけのIPを支えながら、クリエイターとしての悩みの根っこの部分は私たちと似たところにある……という、等身大の講演が沁みました。
VR機器展示やミドルウェア各社などブース観覧
セッションはオンラインでも視聴可能ですが、展示ブースをぐるぐる回るのは現地参加者の特権です。今回もPCメーカーやミドルウェア各社の展示ブースや、恒例で行われるXR体験コーナーなど、数多くのブースが出展されています。
皆さん口々に「リアル開催は久しぶり!楽しい!」ということをお話されており、なんとなく本家CEDECに比べていい意味でユルく、和気あいあいとした雰囲気でした。聞けば何でもフレンドリーに教えてくれます。
XR体験コーナーはかなりの穴場で、他の大規模イベントで体験する場合は何十分単位で並ぶ必要のあるデバイスやコンテンツが、講演を1コマ抜け出せば試し放題という状況。個人的に触ってみたかったVarjo VR-3やHTC Vive Flowなどをじっくり試せたのが良かったです。
講演終了後はそれぞれ有志の打ち上げなど、思い思いに過ごしていました。本家のDeveloper’s Nightを懐かしみつつ、またすぐに現場の技術者同士があーでもないこーでもないとディスカッションするような日々が戻ってくることを願ってやみません。
来年以降のカンファレンスも積極的に取材する予定なので、九州も横浜も、そして他のイベントでも、皆さま引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
おまけ:どのラーメンを食べれば良いのか
普段なかなかお会いできない方々と交流ができるのがリアル開催の醍醐味。そしてもちろん、旅の醍醐味といえば「食」。会場が福岡ということで、「(初来訪だとしたら)どのラーメンを食べたら良いのか」という点について、現地の方々に話を聞きました。
※「○○を紹介しないとか何?」「絶対○○は行った方がいい」等のアドバイスもお寄せください。来年食べに行きます
更に余談ですが、タクシーの運転手さん情報だと「現地人はラーメンよりうどんをよく食べる」とのことで、三大チェーンのどれかを食べれば良いのではとご提案頂きました。ラーメンに疲れたら「ウエスト」「牧のうどん」「資さんうどん」に足を運び、ごぼう天などを食べるのが良いと思います。
現場からは以上です。
※2022年11月24日 一部表現を修正しました
CEDEC+KYUSHU2022 公式サイトゲームメーカーズ編集長およびNINE GATES STUDIO代表。ライター/編集者として数多くのWEBメディアに携わり、インタビューや作品メイキング解説、その他技術的な記事を手掛けてきた。ゲーム業界ではコンポーザー/サウンドデザイナーとしても活動中。
ドラクエFFテイルズはもちろん、黄金の太陽やヴァルキリープロファイルなど往年のJ-RPG文化と、その文脈を受け継ぐ作品が好き。
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