2026年5月1日に早期アクセスを開始したマルチプレイのそり滑りゲーム『Sledding Game』。本作はリリース前からSNSで大きな注目を集め、Instagramのフォロワーは57万人に到達しています。

今回は、本作を手がける個人開発者のMax氏にメールインタビューを実施。自然な交流を促すゲームデザインやSNSでの発信について聞きました。
2026年5月1日に早期アクセスを開始したマルチプレイのそり滑りゲーム『Sledding Game』。本作はリリース前からSNSで大きな注目を集め、Instagramのフォロワーは57万人に到達しています。

今回は、本作を手がける個人開発者のMax氏にメールインタビューを実施。自然な交流を促すゲームデザインやSNSでの発信について聞きました。
TEXT / ハル飯田
EDIT / 神谷 優斗
『Sledding Game』は、雪山でそり滑りを楽しめるマルチプレイ対応のアクションゲームです。ポップなキャラクターがゲレンデを滑降するかわいらしい見た目と、ラグドール物理による転倒や衝突時のコミカルな挙動が特徴です。
最大の特徴が、プレイヤー同士の交流と、ゲーム全体に流れるゆったりとした空気です。明確な勝利条件や、プレイヤーに強制される大きな目標はありません。フレンドとレースをしてもよければ、ロッジで話し込んでもいい。キャラクターのカスタマイズに時間を費やすのも自由です。
『Sledding Game』早期アクセス告知動画
マップの大部分は、メインのアクティビティである「そり滑り」用の坂が占めています。レース用のスタートやゴールが設置されたエリアや、キッカーなどウィンタースポーツらしいギミックがいくつも配置されたエリアなど、さまざまなロケーションが用意されています。
そのほかのアクティビティは釣りやカーリング、雪合戦、はたまたロッジでのダーツなど、もはやそりに乗らずとも十分にゲームを楽しめるほど充実しており、遊び方はプレイヤー次第。特に何もせず、焚き火や暖炉の前でぼーっとチルな時間を過ごすのもよいでしょう。
筆者もいくつかの公開サーバーに参加しましたが、大人数が集まってそり滑りでレースするサーバーもあれば、少人数で黙々と釣りを続けているサーバーもあり、十人十色の楽しみ方がありました。
本作は2025年にMax氏が公開した動画をきっかけに、Instagramを中心としたSNSで注目を集めました。執筆時点では早期アクセスが開始しており、2,500件以上のレビューで「圧倒的に好評」を維持しています。
Instagramのフォロワーは57万人にのぼる(画像は『Sledding Game』のInstagramのスクリーンショット)
なお、2026年5月に開催された「BitSummit PUNCH」では、Ukiyo Studiosブースに巨大なカエルの着ぐるみが登場。限定のお守りを入手できる企画も行われ、多くのファンが集まっていました。
ここからは、開発者のMax氏へのメールインタビューをお届けします。
――SNSで発信するときに意識していることはありますか?
「私自身が面白い、かっこいいと思うもの」を投稿するようにしています。「自分らしさ」を意識して発信を続けていれば、見ている人にも個性が伝わると思っています。
もちろん投稿を気に入ってほしい気持ちはありますが、「みんなを喜ばせよう」と意識した投稿はしたくありません。そうすると、ありきたりで退屈なコンテンツになってしまうからです。
I’m removing gambling… pic.twitter.com/cH6xE2fM7E
— Sledding Game (@sledding_game) January 29, 2026
――SNSでの発信について、特に「これは効果があった」と感じた取り組みはありますか?
投稿した動画のなかでは、プレイヤー同士のインタラクションが含まれている動画は、そうでない動画より常に反応が良かったです。
ただ、「これが決定的だった」と言えるほど突出した成果を出した発信は、最初に公開した動画以外にはありませんね。最初に大きく注目されたあとも、一貫して投稿を続けたことがソーシャルメディアの成長につながったのだと思います。
――開発途中でネットワークの仕組みを大きく作り直したそうですね。なぜ切り替えが必要になり、何が最も大変だったのでしょうか?
開発途中で、ネットワークソリューションを「FishNet(※)」に切り替えました。切り替えの主な理由は、ネットワーク効率を改善するためです。FishNetは、帯域幅の面でそれまで使っていた仕組みより優れていました。
※ Unity用のサードパーティ製ネットワークソリューション。パフォーマンスの高さを売りにしている
切り替えに際して最も大変だったのは、切り替え前と同じようにプレイできる段階までゲーム挙動を復元することでした。ネットワークソリューションごとに細かな挙動が異なり、プロジェクトのあらゆる部分に影響が出てしまいました。その結果、すべての機能をテストし直す作業が必要になり、本当に苦労しました。
プレイヤーが感じるメリットに対して作業量が非常に大きいので、必要がない限り、ネットワークソリューションの切り替えはおすすめしませんね。
――初対面のプレイヤー同士でも、自然に会話や交流が始まるよう意識したゲームシステムはありますか?
自然なプレイヤー同士の交流については、これからも改善していきたいテーマです。現状で特に効果があると感じているのは、「ひとりでは難しいこと」や「達成に複数人が必要な目標」を用意することですね。
たとえば、新しいキャラクターをアンロックする方法のひとつに、「制限時間内に特定のターゲットへ雪玉を当てる」というものがあります。ひとりではかなり難しいのですが、複数人でチャレンジすれば簡単になります。しかも、参加した全員がキャラクターをアンロックできます。その結果、プレイヤーが同じロビーにいる見知らぬ人に「ちょっと手伝って」と頼むきっかけが生まれ、それまで起きなかった交流につながります。
とはいえ、交流システムはまだまだ改善の余地がたくさんあるので、今後もアップデートしていく必要があると感じています。
――プレイヤー同士の交流とともに、ゆったりした空気感も本作の魅力です。その雰囲気を守るために、意図的に入れなかった、あるいは削った要素はありますか?
ゆったりとした雰囲気をもたらす要素として、特に気に入っているのがスキーリフトです。丘の上に戻るには、少しのあいだ座って待ちながら、周囲の景色を眺める必要があります。もし他のプレイヤーと一緒に乗れば、ちょっと気まずい沈黙が生まれて、会話を始めるきっかけになるかもしれません。
また、スキーリフトを簡単に回避できる手段を積極的に入れないようにして、ゆったりした雰囲気を守っています。例外として、山頂まで素早く移動できる大砲も追加しましたが、スキーリフトを使わなければ行けない場所を残すことでバランスをとっています。
――ストーリーを入れなかった理由と、進行・成長要素についての考えを教えてください。
私自身があまりストーリーゲームを遊ばないこともありますし、友達との交流を楽しむ『Sledding Game』にはむしろ邪魔になると思ったのでストーリーは入れませんでした。
進行・成長に関するメカニクスは今後もっと追加したいと思っていますが、他のプレイヤーに対して大きな有利不利が生まれるものにはしたくありません。今の、誰もがほぼ対等な条件で遊べるサンドボックス的な体験が好きなんです。
――転がったり吹き飛ばされたりするラグドール挙動も、本作の魅力としてよく語られます。この動きはどのような考えで実装・調整したのでしょうか?
少し変に聞こえるかもしれませんが、ラグドールを入れた理由は、マルチプレイ機能を入れた理由と同じです。これまでゲームをプレイしてきたなかで、ずっと「ラグドールっていいな」と思っていました。これまで試したことはありませんでしたが、Unity Asset Storeでよいアセットを見つけたので「これは試してみるチャンスだ」と思って導入してみました。
挙動の調整はプレイテストを重ねながら行いました。ラグドールはただ落下するだけでも面白いので、友達が周りにいるときに、みんなが笑えるような落ち方になるよう調整していきました。ゲームメカニクスの多くは、自分と友達が面白いと思えることを軸に作っています。
――プレイヤーの反応を見ながら開発するなかで、当初の構想から変えた部分はありますか? また、強く要望されてもあえて実装しなかったものがあれば教えてください。
当初予定していたいくつかのメカニズムは少し変更しましたが、そもそもほとんどノープランで作り始めたので、コミュニティと作り上げてきた要素ばかりですね。
最初期ではマップデザインや開発工数を減らすため、キャラクターは歩くかソリに乗るかしかできず、ジャンプはできないようにしていました。ただ、友人と遊ぶたびに「ジャンプできないの?」と言われるので試しに追加してみたところ、ゲームの操作感がずっと良くなり、小さなキャラクターたちにも生命が宿ったように感じました。
コミュニティから強く要望されてもあえて実装していないものとしては、「そりから落ちてラグドール状態になったら雪をまとい、だんだん大きな雪玉になって転がっていく」機能ですね。私は今のラグドールの挙動が好きなので、変えるつもりはありません。
大砲を追加したことも方向転換ではありましたが、控えめに取り入れたので、最終的には今の形でいいと思っています。
――最後に、これからひとりでゲーム制作に挑戦する人へメッセージをお願いします。
経験を積むことが目的なら、何をしても間違いではありません。大きなプロジェクトでもいいし、小さなプロジェクトでもいい。完成することもあれば、完成しないこともあるでしょう。
大切なのは、やっていることを楽しみ続けることです。モチベーションを維持するのが一番難しいですから。
スキルの話をするなら、私は「とにかく始めよう」というアドバイスは好きではありません。そこには具体的な指針がないからです。私なら、「使いたいゲームエンジンのチュートリアルをひとつやる」ことを勧めます。そしてチュートリアルをひとつ終えたら、分からないことを全部Googleで調べながら、自分が作りたいゲームを作りましょう。
私含め、ゲーム開発について何もかも知っている人なんてほとんどいません。私なんて、1日の半分はGoogleに質問していますよ。
『Sledding Game』Steamストアページ『Sledding Game』公式Instagram『Sledding Game』公式Xアカウント大阪生まれ大阪育ちのフリーライター。イベントやeスポーツシーンを取材したり懐ゲー回顧記事をコソコソ作ったり、時には大会にキャスターとして出演したりと、ゲーム周りで幅広く活動中。
ゲームとスポーツ観戦を趣味に、日々ゲームをクリアしては「このゲームの何が自分に刺さったんだろう」と考察してはニヤニヤしている。
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