アークライトは2025年11月22日(土)・23日(日)、国内最大規模のアナログゲームイベント「ゲームマーケット2025秋」を、千葉の幕張メッセで開催した。
「ゲームマーケット」は、ボードゲームを中心にマーダーミステリーや謎解きゲーム、トレーディングカードゲーム、テーブルトークRPGといった、あらゆるアナログゲームを楽しめるイベントだ。
本稿では、イベント全体の様子や特設ブースの内容に加え、とくに注目を集めていたブース・作品などを紹介する。
アークライトは2025年11月22日(土)・23日(日)、国内最大規模のアナログゲームイベント「ゲームマーケット2025秋」を、千葉の幕張メッセで開催した。
「ゲームマーケット」は、ボードゲームを中心にマーダーミステリーや謎解きゲーム、トレーディングカードゲーム、テーブルトークRPGといった、あらゆるアナログゲームを楽しめるイベントだ。
本稿では、イベント全体の様子や特設ブースの内容に加え、とくに注目を集めていたブース・作品などを紹介する。
TEXT / 松井 ムネタツ
EDIT / 浜井 智史
▼「ゲームマーケット2025秋」ライターが実際に試遊・購入したゲームをはじめ、注目作を紹介した記事はこちら
「ゲームマーケット2025秋」における注目ポイントをチェックしておこう。まず来場者数および出展数は以下の通り。
「ゲームマーケット2025秋」開催データ
これまで来場者数の過去最高記録は2019秋(コロナ禍前)の29,000人だったのだが、ついに3万人規模が来場するイベントとなった。
ブース数も過去最高で、すべてのブースをチラ見するだけで何時間もかかるほど、たくさんのボードゲームが出展されていた。
今回の特設ブースでは新たに、ボードゲーム制作初挑戦の人に向けた「ゲーム制作者支援コーナー」が設置。
制作のヒントや印刷所への依頼方法など初心者が知っておきたい情報のほか、2025年秋より新設されたジャンル「イラスト・グラフィック」の解説などが掲載されていた。
本コーナーは、ゲームメーカーズとアークライト 野澤 邦仁氏がコラボした記事連載「アークライト野澤流ボードゲームを作るには」の完結記念として用意された。
会場で多くの作品に触れた来場者が「自分もボードゲーム作ってみたい!」と思ったのだろう、展示を熱心に読み込む姿が多く見られた。
連載「アークライト野澤流ボードゲームを作るには」記事一覧(全7回)そのほか出展されていた特設ブースの内容を、写真とともに紹介する。
事務局が年1ペースで出すお題に沿ってゲームを作成し、特設コーナーに展示するという企画「ゲームマーケット・チャレンジ」。
2025年秋~2026年春のお題は「30枚のカードと厚紙チップのみで構成されたゲーム」。今回も多数のゲームが出展されていた。
「チャック横丁」は、外箱なしのゲーム(チャック袋や封筒などに入れる)かつ小ロット数を条件に、手軽で廉価で出展できることを理念としたコーナー。例年に比べ、今回の出展数はやや少なめであった。
日本全国で遊ばれている郷土ゲームをテーマとした「伝統ゲーム」ブースは、11月23日(日)のみ出展。
「かりうち(奈良)」「カロム(滋賀)」「盤双六(京都)」など、全国各地から集められた11種の伝統的なゲームを楽しむことができた。
ボードゲーム紹介企画などを手がける「暮しとボードゲーム」が運営する、海外の名作・定番を気軽に遊べる定番コーナー。
今回は各メーカーの協力によりプレイできるゲーム数が増強されたといい、「ドイツ年間ゲーム大賞」受賞作などさまざまな作品が取り揃えられていた。
主催のアークライトは今回最も大きなブースを構えていた。先行販売の『電力会社 アウトポスト』がとくに人気で、『あいまいフェイバリットランキング』と『リンコ』は先行発売とともに試遊も展開していた。
アークライト・ゲーム賞2025の最優秀賞に輝いたのは『オバケパレード』(イブインク)
紙とペンで道路交通網を作るパズルゲーム『レイルロード・インク』の続編となる『レイルロード・タイルズ』は、道路や線路をタイルで配置するゲーム。2026年発売予定
今回の目玉のひとつは、2025年のドイツ年間ゲーム大賞受賞作『ボムバスターズ』の再販であろう。作者が日本人の林 尚志氏(OKAZU brand)ということもあり、NHKをはじめ多数のメディアで取り上げられて大きな話題を呼んだ。
7月の発表タイミングでは市場在庫はほぼない状態だったが、このたび再販が決定し、ゲムマ2025年秋にて先行発売が行われた。発売元であるEngamesのブースは、開場時から長蛇の列になった。
林氏の作品は『ボムバスターズ』以外にも、OKAZU brandブースでは新作『すしオッター』を、アークライトのブースでは2023年に発表された『レイルウェイブーム』の製品版を販売。
ステージイベントでは林氏が作ったボードゲームの歴史を振り返るトークライブも実施され、さながらOKAZU Brandフェスティバル。Engamesとアークライトのブースではサイン会も行われ、多くのファンが嬉しそうに並んでいた。
出展の際に選択する作品ジャンル(ボードゲーム、マーダーミステリー、TRPG、謎解きなど)として、今回から新たに「イラスト・グラフィック」が加わった。
ゲームマーケット公式サイトによると、「アートワーク制作に携わる、またはこれから携わりたいイラストレーターやグラフィックデザイナー向けに新たな出展ジャンルを追加した」「作品展示などを通じて、コラボレーションやマッチングにつながることを期待」とのこと。より活発なボードゲーム制作活動を促す試みとなった。
カタログを調べた限りでは、約50サークルがこのジャンルで参加。何人かに聞いてみたところ、全員が「出展してよかった」と答えてくれた。
両日U01で出展していたサークル「下粋道管理局」は、エルフの書籍を頒布しつつ、自身のイラストをアピール。イラストや漫画の講師をしており、ソーシャルゲームのイラストなども手がけているそうだ。「たくさんのお客さんが立ち止まってくれました」「名刺交換をさせていただいたところも」とのこと。
日曜日のみV35で出展した「竹崎でめこ」氏は、さまざまなボードゲームのイラストやデザインを担当されている。今回ゲームマーケットという場でそれらをまとめて告知でき、ブースを見て多くの方々が「あ、このゲームのイラストを描かれているんだ!」と立ち止まってくれたとのこと。
日曜日のV28「なるのり」は、漫画家・イラストレーターの加藤のりこ氏と成瀬 瞳氏が合同で出展。別のイベントでゲムマ出展のお誘いを受けたそうだ。「たくさんの方にパンフレットを受け取ってもらえた」とのことで、出展の手応えを感じているようだった。
次回以降も「イラスト・グラフィック」のジャンルは続くと思われるので、ボードゲーム制作に関わってみたいイラストレーターの方はぜひ出展を検討してみてほしい。
試遊でとくに賑わっていたのが、エリア16の「ポケモンボドゲくらぶ」だ。発表当初は、すでに販売中の『ポケモンカルタ』と『ポケモン ババ抜き』が遊べる……くらいの内容とされていたが、11月14日に『ポケモンごいた』が発表され、ゲムマで試遊できることが告知された。
『ごいた』は石川県能登町を発祥とする伝統的なボードゲーム。将棋の駒に似た8種類16枚の駒(王、飛、角、金、銀、香、馬、し)×2セットの合計32枚を使用して、ペアで対戦する4人用ゲームだ。
1人8枚配られる手駒を場に出していき、最初に全ての駒を出し切った人のペアがポイントを獲得。最終的に合計150点を稼いだペアが勝利となる。熱心な愛好家が多く、アークライトからはカード版として『ごいたカード』が製品化されている。
「ポケモンボドゲくらぶ」のブースでは、『ポケモンごいた』試遊に向けて整理券が配布された。試遊者にはピカチュウの紙製帽子が贈られるとあって、試遊コーナーは常に大勢の人で賑わっていた。
これまで『ごいた』と有名IPが連携した事例はなく、『ポケモンごいた』は「日本ごいた協会」が認定するお墨付きの商品である。ババ抜きやカルタと比べるとちょっと複雑なゲーム性だが、会場では小さなお子さんが楽しそうにプレイしていた。
「ゲームマーケット」公式サイトパソコンゲーム雑誌、アーケードゲーム雑誌、家庭用ゲーム雑誌を渡り歩き、現在はフリーのゲーム系編集/ライター。マイベストゲームは『ウィザードリィ 狂王の試練場』で、最近だと『Forza Horizon』シリーズに大ハマリ。メインPCはAlienware Aurora。セガ・レトロゲーム系メディア「Beep21」副編集長をやりつつ、ボードゲームメディア「BROAD」編集長も兼任。
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