Shenzhen GPD Technologyの国内正規代理店の天空は、ウルトラモバイルゲーミングパソコン「GPD WIN Mini 2025」を3月上旬に発売することを発表した。価格はAMD Ryzen™ AI 9 HX 370モデルが232,000円(税込)、AMD Ryzen™ 7 8840Uモデルが146,000円(税込)となっており、記事執筆時点ではGPDダイレクトやAmazonなどで先行予約受付中。2025年2月21日に東京・秋葉原のハイビーム秋葉原本店で催された説明会にて、実際に触ってきたのでそのレポートをお届けする。
TEXT / 松井 ムネタツ
EDIT / 酒井 理恵
目次
冷却構造を見直し、すべてを作り直した「GPD WIN Mini 2025」
「GPD WIN Mini」は同社が手がける中でも「より小さく」「それでいてゲームは快適に」といった位置づけのUMPCで、コンパクトでありながらパフォーマンスは十分なスペックとなっている。大きさは約172×109×27mm、重さは約555gと、携帯性に優れたサイズだ。
同社は2024年4月に「GPD WIN Mini 2024」を発売しているが、「GPD WIN Mini 2025」はCPUを載せ替えただけのものではなく、本体構造を新たに設計し直して冷却機構が大幅にパワーアップ。サイズや重量は少しだけ大きく、重くなったものの、持った印象としてはほとんど同じだった。
CPUはAMD Ryzen AI 9 HX 370とAMD Ryzen 7 8840Uのモデルが用意されている。AMD Ryzen AI 9 HX 370モデルはAMD Ryzen 7 8840Uより8万円以上高い価格設定だが、メモリは32GBでストレージは2TBと大容量であるため、この価格差は納得であろう。
バッテリー駆動時間も気になるところ。スペック表には「処理の重いゲームや作業:3時間程度 / 普通程度のゲームや作業:6〜8時間程 / 処理の軽いゲームや作業:14時間程」と記載されており、本体サイズとバッテリー容量のバランスを考えれば、現状ではバランスがとれている状態と言えそうだ。
小さくても『モンハンワイルズ』が快適に遊べる! ベンチマーク公開
このタイミングで発売されるUMPCとなると、ユーザーとして特に気になるのは『モンスターハンターワイルズ』はどのくらい動作するのか、という点だ。「GPD WIN Mini 2025」の国内正規代理店である天空にも多くの問い合わせがきているとのことで、『モンスターハンターワイルズ』ベンチマークの結果が公開された。
解像度はHD(1,280×720)、グラフィックプリセットは最低、フレーム成形無しで実行して、スコアは16,297。これなら快適にプレイできるはずだ。
会場にある実機を使ってフルHD(1,920×1,080)で実行してみたところ、スコアは12,118。フレームレートにこだわるなら解像度をもう一段階落としてHD画質のほうがいい。本機のディスプレイは7インチなので、画面サイズ的にも無理して解像度を上げる必要はなさそうだ。
3つのUSBポートを搭載し、外付けグラフィックボードも対応。はめ込み式のゲーミンググリップハンドルなど、拡張性高し!
小さいながらもその拡張性にも注目したい。USBまわりは、USB4 Type-Cが1つ、USB 3.2 Gen 2 Type-Cが1つ、USB Type-Aが1つと、この本体サイズで3ポートもあるのはありがたい。
映像出力も可能なUSB4ポートが搭載されているので、そこにGPD G1 拡張ドックなどの外部グラフィックボードを接続することで、AAAタイトルをより快適に遊ぶことができる。これは歴代のGPDシリーズの多くが対応している仕組みだ。
また、別売りでゲーミンググリップハンドルが用意されており、装着することでしっかり手に持ってゲームをプレイすることが可能。「GPD WIN Mini 2024」のときは装着時にネジで留める必要があり、着脱が少し面倒だった。今回はワンタッチのはめ込みスタイルになったので、状況に合わせて使い分けられるのは嬉しいポイントだ。
ゲーム機として、ノートパソコンとしての「GPD WIN Mini 2025」
「GPD WIN Mini 2025」はUSBからゲームパッドを接続することも可能だが、本体を両手持ちしてゲームを遊ぶことを前提としたハード設計となってる。前述のゲーミンググリップもそうだが、それ以外に「ゲーム機」として見た場合のコントローラーまわりをチェックしてみよう。
- ホールエフェクトセンサー採用のアナログスティック(ドリフト現象が起きにくい)
- リニアアナログトリガー(アナログ操作対応のLトリガーとRトリガー)
- デュアルリニアモーター(ゲームに合わせた振動対応)
- 3軸重力センサーと3軸ジャイロセンサー(本体の傾きを感知。レースゲームなどに対応)
- DTS:X Ultra サウンドエフェクト(上下左右前後の全方向から音に包み込まれるような感覚を味わえる)
上記のように、ゲーム機として対応すべき部分はしっかりサポートしている。
では、ゲームを抜きにしてモバイルパソコンとして評価した場合はどうだろうか。
画面はフルHDと決して高解像度ではない。SNSのチェックは問題なく行えるが、Webブラウジングをする場合は一般的なノートPCと比べてしまうとやはり狭く感じてしまいそう。また、キーボードがかなり小さいので、長文のテキストを打つ作業には向いていない(SNS向けの短い文章ならともかく)。
実際に本機を触ってみた印象としては、普段からゲームパッドでSteamのゲームを遊んでいるプレイヤーのサブ機として、あるいは持ち歩き用にゲーミングパソコンがほしい人には、うってつけのUMPCだ。毎年のようにバージョンアップするハードなので買い時が難しいが、『モンスターハンターワイルズ』を持ち歩いてプレイしたい人には最適解のひとつとして、検討してみよう。
GPD WIN Mini 2025 主な仕様
基本情報
CPU
GPU
容量
ディスプレイ
インターフェース
マルチメディア対応
ネットワークコミュニケーション
I/Oデバイス
バッテリー
外観
GPD WIN Mini 2025 取扱店
「GPD WIN mini 2025」製品ページ(天空)パソコンゲーム雑誌、アーケードゲーム雑誌、家庭用ゲーム雑誌を渡り歩き、現在はフリーのゲーム系編集/ライター。マイベストゲームは『ウィザードリィ 狂王の試練場』で、最近だと『Forza Horizon』シリーズに大ハマリ。メインPCはAlienware Aurora。セガ・レトロゲーム系メディア「Beep21」副編集長をやりつつ、ボードゲームメディア「BROAD」編集長も兼任。
関連記事



注目記事ランキング
1
2
3
4
5
1
2
3
4
5
1
2
3
4
5
1
2
3
4
5
1
2
3
4
5
連載・特集ピックアップ
西川善司が語る“ゲームの仕組み”の記事をまとめました。
Blenderを初めて使う人に向けたチュートリアル記事。モデル制作からUE5へのインポートまで幅広く解説。
アークライトの野澤 邦仁(のざわ くにひと)氏が、ボードゲームの企画から制作・出展方法まで解説。
ゲーム制作の定番ツールやイベント情報をまとめました。
東京ゲームショウ2024で展示された作品のプレイレポートやインタビューをまとめました。
CEDEC2024で行われた講演レポートをまとめました。
BitSummitで展示された作品のプレイレポートをまとめました。
ゲームメーカーズ スクランブル2024で行われた講演のアーカイブ動画・スライドをまとめました。
CEDEC2023で行われた講演レポートをまとめました。
東京ゲームショウ2023で展示された作品のプレイレポートやインタビューをまとめました。
UNREAL FEST 2023で行われた講演レポートをまとめました。
BitSummitで展示された作品のプレイレポートをまとめました。
ゲームメーカーズ スクランブルで行われた講演のアーカイブ動画・スライドをまとめました。
UNREAL FEST 2022で行われた講演レポートやインタビューをまとめました。
CEDEC2022で行われた講演レポートをまとめました。

今日の用語
ローパスフィルター(Low-Pass Filter)
- 電気信号のうち、指定した周波数(カットオフ周波数)以下の信号を通し、それより上を大きく低減させるフィルター。
- ゲーム開発において、基本的にはサウンド用語として用いられる。例として、特定のセリフをローパスフィルターによってくぐもった音に加工することで、隣の部屋や遮蔽物の後ろで話しているかのような表現を行うことができる。
Xで最新情報をチェック!
