「Blender 4.3」正式リリース。EEVEEにおいてライトリンキングやグリースペンシルが使用可能に、ジオメトリノードには反復処理機能追加

「Blender 4.3」正式リリース。EEVEEにおいてライトリンキングやグリースペンシルが使用可能に、ジオメトリノードには反復処理機能追加

2024.11.20
ニュース3DCGBlender
この記事をシェア!
Twitter Facebook LINE B!
Twitter Facebook LINE B!

この記事の3行まとめ

  • 3DCGツール「Blender」バージョン4.3が正式リリース
  • EEVEEにおいて、ライトリンキングやグリースペンシルなどの機能に対応
  • 他にも、ジオメトリノードの反復処理機能追加、Gabor Noiseテクスチャノードの追加など多数の改善がなされている

Blender開発チームは2024年11月19日(現地時間)、オープンソースの無料3DCGツール「Blender」のバージョン「4.3」を正式にリリースしました。

YouTube動画『Blender 4.3 New Features Official Overview』

本バージョンでは、特定のオブジェクトのみにライト/シャドウの効果を与える「ライトリンキング」および「シャドウリンキング」機能がレンダリングエンジン「EEVEE」でも使用可能になりました

他にも描画関連では、グリースペンシル機能、ジオメトリノードなどの機能改善や、新しいMetallic BSDFノード、Gabor Noiseテクスチャノードなどが追加されました。

ブラシ管理機能などユーザーインターフェース面にも多数の改善が加わっています。

ライトリンキングおよびシャドウリンキングがEEVEEで使用可能に

ライトリンキングは特定のオブジェクトのみに影響を与えるようにライトを設定できる機能で、シャドウリンキングはライトをブロックするオブジェクトを選択できる機能です。

Cyclesで使える機能と同等のものがEEVEEで使用可能になりました。

(動画はBlender 4.3ダウンロードページより引用)

グリースペンシルのエンジン機能向上

グリースペンシルは、マウスやペンタブレットを使用してビューポート上に直接手描きできるペイント機能で、手描きの質感を持つ2D/3Dアニメーション制作やシーンへのメモ書きなどに用いられています。

今回のアップデートでグリースペンシルオブジェクトのレイヤーをグループ化することや、グラデーションでの塗りつぶしが可能になっています。

アニメーションの編集で便利なオニオンスキンが簡単に切り替えられる(画像はBlender 4.3ダウンロードページより引用)

画像で青くハイライトしているのがグラデーションツールのアイコン(画像はBlender 4.3ダウンロードページより引用)

消しゴム機能ではストロークのカットができるようになりました。単にポイントを削除するのではなく、消しゴムの正確なエッジに基づいて、ストローク上に新しいポイントを作成するようになりました。

消しゴム機能はアセットシェルフから4つのモードを選択可能です。

(動画はBlender 4.3ダウンロードページより引用)

Blender 4.3以降のバージョンで作成されたグリースペンシルオブジェクトはファイルロード時に自動的に新しいアーキテクチャに変換されるため、4.2以前のバージョンでは正しく読み込まれません。グリースペンシル 3.0には後方互換性がないことには注意が必要です。

ジオメトリノードに反復処理などの機能を追加

For Each Elementゾーンはジオメトリ要素の反復処理を簡単にできるようにします。

(動画はBlender 4.3ダウンロードページより引用)

また、ノードグループにギズモを追加できるようになったことで、3Dビューポート上でノードの編集も可能になっています

(動画はBlender 4.3ダウンロードページより引用)

このほか、ジオメトリノードではジオメトリへの名前の割り当てを簡略化できるSet Geometry Nameノードや、インターフェイス上で直接動的な警告を出せる警告ノードグリースペンシルのレイヤーの個別処理といった機能が追加されています。

なお、ジオメトリノード モディファイアの警告表示はパネルに表示されるよう変更されたため注意が必要です。

重要度別にグループ化され、アルファベット順で並べられる(画像はBlender 4.3ダウンロードページより引用)

Gabor Noiseテクスチャノードの追加

方向と幅を指定してランダムなインターリーブバンドを作れるGabor Noiseテクスチャノードが追加されました。

Gabor NoiseはPhase、Intensityに分解され、ガボール値はPhaseとIntensityの積として計算されます。砂丘のような自然界の構造化されたテクスチャのベースとして使用できます

(画像はBlender 4.3 Manualより引用)

その他、新しいMetallic BSDFノードや、EEVEEのマルチパス合成などの機能追加や、ブラシ管理機能やツールウィンドウを自由にドラッグ&ドロップで移動できるエリアドッキング機能の追加など数多くの改善が行われています。

詳しくは、Blender 4.3のダウンロードページならびにリリースノートマニュアルをご確認ください。

「Blender 4.3」ダウンロードページ「Blender 4.3」リリースノートBlender 4.3 Manual

関連記事

アニメ調3Dキャラモデルの顔を破綻なく仕上げるノウハウとは。『GUILTY GEAR Xrd』シリーズのモデリング技法、アークシステムワークスが動画で解説
2025.05.15
リグ・CG専門スタジオのBACKBONE、Blenderにおけるリギングの基礎となるArmatureとBoneの解説記事を公開。Mayaとの違いや相当する機能にも言及
2025.05.15
『モンハンワイルズ』の3Dレンダリング技術や、Ubisoftの内製エンジン「Anvil」も解説。無料オンラインカンファレンス「REAC 2025」、6/11(水)~12(木)開催
2025.05.12
2Dイラストを3Dで再現するモデリング手法を紹介。『GUILTY GEAR Xrd』シリーズのアニメ調キャラモデル作成事例、アークシステムワークスが動画で解説
2025.05.09
『モンハンワイルズ』のZBrush活用事例など全5講演を無料で配信。CGWORLD主催のオンラインカンファレンス「MAXON PARTY」、5/28(水)に開催
2025.05.09
「Havok Cloth」を用いたクロスシミュレーション手法、COYOTE 3DCG STUDIOがブログ記事で解説。ホロライブのワトソン・アメリア氏の3Dモデルをもとにレクチャー
2025.05.08

注目記事ランキング

2025.05.10 - 2025.05.17
VIEW MORE

連載・特集ピックアップ

イベントカレンダー

VIEW MORE

今日の用語

ラグドール(Rag Doll)
ラグドール ぬいぐるみを意味する英語。 ゲームにおける、キャラクターの全身が脱力したかのような挙動を行う物理シミュレーション。ラグドール物理。 例えば、上空からの落下やキャラクターが死亡した際に用いられる。
VIEW MORE

Xで最新情報をチェック!