この記事の3行まとめ
Blender開発チームは2024年11月19日(現地時間)、オープンソースの無料3DCGツール「Blender」のバージョン「4.3」を正式にリリースしました。
本バージョンでは、特定のオブジェクトのみにライト/シャドウの効果を与える「ライトリンキング」および「シャドウリンキング」機能がレンダリングエンジン「EEVEE」でも使用可能になりました。
他にも描画関連では、グリースペンシル機能、ジオメトリノードなどの機能改善や、新しいMetallic BSDFノード、Gabor Noiseテクスチャノードなどが追加されました。
ブラシ管理機能などユーザーインターフェース面にも多数の改善が加わっています。
ライトリンキングおよびシャドウリンキングがEEVEEで使用可能に
ライトリンキングは特定のオブジェクトのみに影響を与えるようにライトを設定できる機能で、シャドウリンキングはライトをブロックするオブジェクトを選択できる機能です。
Cyclesで使える機能と同等のものがEEVEEで使用可能になりました。
グリースペンシルのエンジン機能向上
グリースペンシルは、マウスやペンタブレットを使用してビューポート上に直接手描きできるペイント機能で、手描きの質感を持つ2D/3Dアニメーション制作やシーンへのメモ書きなどに用いられています。
今回のアップデートでグリースペンシルオブジェクトのレイヤーをグループ化することや、グラデーションでの塗りつぶしが可能になっています。
消しゴム機能ではストロークのカットができるようになりました。単にポイントを削除するのではなく、消しゴムの正確なエッジに基づいて、ストローク上に新しいポイントを作成するようになりました。
消しゴム機能はアセットシェルフから4つのモードを選択可能です。
Blender 4.3以降のバージョンで作成されたグリースペンシルオブジェクトはファイルロード時に自動的に新しいアーキテクチャに変換されるため、4.2以前のバージョンでは正しく読み込まれません。グリースペンシル 3.0には後方互換性がないことには注意が必要です。
ジオメトリノードに反復処理などの機能を追加
For Each Elementゾーンはジオメトリ要素の反復処理を簡単にできるようにします。
また、ノードグループにギズモを追加できるようになったことで、3Dビューポート上でノードの編集も可能になっています。
このほか、ジオメトリノードではジオメトリへの名前の割り当てを簡略化できるSet Geometry Nameノードや、インターフェイス上で直接動的な警告を出せる警告ノード、グリースペンシルのレイヤーの個別処理といった機能が追加されています。
なお、ジオメトリノード モディファイアの警告表示はパネルに表示されるよう変更されたため注意が必要です。
Gabor Noiseテクスチャノードの追加
方向と幅を指定してランダムなインターリーブバンドを作れるGabor Noiseテクスチャノードが追加されました。
Gabor NoiseはPhase、Intensityに分解され、ガボール値はPhaseとIntensityの積として計算されます。砂丘のような自然界の構造化されたテクスチャのベースとして使用できます。
その他、新しいMetallic BSDFノードや、EEVEEのマルチパス合成などの機能追加や、ブラシ管理機能やツールウィンドウを自由にドラッグ&ドロップで移動できるエリアドッキング機能の追加など数多くの改善が行われています。
詳しくは、Blender 4.3のダウンロードページならびにリリースノート、マニュアルをご確認ください。
「Blender 4.3」ダウンロードページ「Blender 4.3」リリースノートBlender 4.3 Manual