『グランブルーファンタジー』の、100万行を超える大規模なシステム再構築ノウハウを補足解説。「Developers Summit 2024」で行われた講演のフォローアップ記事をサイゲームスが公開

『グランブルーファンタジー』の、100万行を超える大規模なシステム再構築ノウハウを補足解説。「Developers Summit 2024」で行われた講演のフォローアップ記事をサイゲームスが公開

2024.04.11
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この記事の3行まとめ

  • サイゲームスが「【Developers Summit 2024フォローアップ】『グランブルーファンタジー』100万行を超える大規模なシステム再構築~10周年のその先へ~」と題した記事を公開
  • 2024年2月に行われたデベロッパー向けカンファレンス「Developers Summit 2024」での講演を補足するフォローアップ記事
  • レスポンスタイムを約6割に減少させたアーキテクチャの概要図などが補足されている

サイゲームスは、「【Developers Summit 2024フォローアップ】『グランブルーファンタジー』100万行を超える大規模なシステム再構築~10周年のその先へ~」と題した記事をCygames Engineers’ Blogにて公開しました。

同記事は、2024年2月に行われたデベロッパー向けカンファレンス「Developers Summit 2024」にて行われた同名の講演のフォローアップ記事となっています。

「『グランブルーファンタジー』100万行を超える大規模なシステム再構築~10周年のその先へ~」は、2024年3月に10周年を迎えたゲーム『グランブルーファンタジー』の長期運用にあたり発生した問題を解決すべく実施された、大規模な再構築について解説した講演です。

今回公開された記事では、講演で使ったスライドに補足を行っています。なお、スライドはSpeaker Deckにて公開されています。

(画像はSpeaker Deckより引用)

『グランブルーファンタジー』の既存システムは、フレームワーク等を除いたPHPのソースコードだけでも300万行を超え、テーブル数も水平分割を含まない形で9,000テーブル超、パラメーターファイルも5万ファイル超と大規模なものでした。

10年という長い年月の運用によって起きた「コードや仕様の多重化」「属人性の増加」などの問題解決にあたったのは、同作品の開発・運用にあたるエンジニアのうちの6名のバックエンドエンジニアを中心とした専任チームです。

開発効率を最大化するために、設計思想や原理・原則を守ることを徹底し、チームメンバー間での意識の統一を目指しました。そのため、徹底した設計レビューと、新人を1人にしないペアプログラミングを実施したそうです。

新人メンバーと一緒にペアプログラミングをすることで、設計思想を共有しています。

(画像はブログ記事より引用)

今回、講演時に「後日構成資料公開予定」とされていたアーキテクチャ資料も公開されています。

データマネージャーはデータベース、キャッシュ、データトランスファーオブジェクト(DTO)をカプセル化し、管理しています。DTOを使うことで、最新情報を一元的に管理し、データベースの負荷を気にせずにデータを扱えます。

こうして、変更や拡張に強く、データの安全性が高いシステムが構築されました。

リファクタリングされたデータマネージャーのアーキテクチャ(画像はブログ記事より引用)

『グランブルーファンタジー』では、パラメーターデータをRedisを使って運用しています。これにより、リファクタリング前は武器の能力強化機能が増えると、それに紐づくパラメーターデータが増え、武器やキャラクターなどをまとめた編成情報を取得するだけで数百回以上Redisへアクセスする必要が出ていました。

これにより、同時接続数を増やすとパラメーターデータキャッシュに負荷がかかり、処理速度の低下を招いていました。

リファクタリングでは、リレーションするパラメーターデータをまとめたキャッシュとして扱う仕組みを導入。Redisへのアクセスを大幅に抑制しました。

赤く強調表示されているのがボトルネックだったRedis(画像はブログ記事より引用)

ほかにも、仕様の多重化の解決例が紹介されています。

詳細は、こちらをご確認ください。

【Developers Summit 2024フォローアップ】『グランブルーファンタジー』100万行を超える大規模なシステム再構築~10周年のその先へ~ | Cygames Engineers' Blog

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