この記事の3行まとめ
Audiokineticは、「コーデックの選択ガイド」と題した記事を同社ブログで公開しました。
同記事ではMP3やAACなどで知られる「音声コーデック」について、各コーデックの説明・比較をしながら、タスクに適したものを選ぶためのアドバイスがされています。
「コーデックの選択ガイド」をブログに投稿しました。ぜひご覧ください!https://t.co/zbkq8f4EBe#audiokinetic #Wwise pic.twitter.com/yolHqUeTil
— Audiokinetic株式会社 (@AudiokineticKK) March 14, 2024
「コーデックの選択ガイド」をブログに投稿しました。ぜひご覧ください!https://t.co/zbkq8f4EBe#audiokinetic #Wwise pic.twitter.com/yolHqUeTil
— Audiokinetic株式会社 (@AudiokineticKK) March 14, 2024
まず、音声コーデックごとに長所と短所があり、どんなプラットフォームやサウンドにも合うものはない、とブログ記事で明言されています。
そのうえで、音声コーデックを6種類取り上げ、それぞれの圧縮率やCPUパフォーマンスなどを比較し、特徴も説明しています。
記事内で説明されている音声コーデックの圧縮率と特徴は、以下の通りです。
なお、同社開発のサウンドミドルウェア「Wwise」では、PCM、ADPCM、Vorbis、Opusをサポートしています。
PCM
PCM(Pulse Code Modulation:パルス符号変調)は、アナログの音声信号を一定の間隔でサンプリングしてデジタル信号に変換する、非圧縮の方式です。そのため、ストレージやメモリを圧迫してしまうことが短所として紹介されています。
ADPCM
ADPCM(Adaptive Differential PCM:適応的差分PCM)はPCMの一種で、直前のサンプルとの差分をエンコードしています。短所は品質が不安定になってしまうことで、例外的にアーティファクト(意図せず生じるノイズ)が発生します。
昔から手ごろなコーデック(CPU観点で)の1つとしてゲーム業界で知られ、記事執筆時点においてもよく使われているとのこと。
Vorbis
Vorbisは品質と高いファイル圧縮率を兼ね備えていることから、ゲームで使われています。また、可変ビットレートコーデックでもあり、圧縮率は広くカバーされている点も特徴です。
Opus
OpusはVorbisの後継で、圧縮率が大幅に改善されています。また、リスナーテストのグラフによると、品質がVorbisよりもやや高いとしています。
ただし、CPUコストが大きく、特に短い音などの小さなファイルサイズには適さないとしています。
なお、Opusは2024年3月にアップデートが行われ、とくに低ビットレートでの音質が大幅に向上しています。
XMA
XMAは、Xbox 360以降のXboxシリーズに向けて設計されたコーデックです。
ハードウェアでデコードすることを長所として挙げられる一方、最大チャンネル数は128であることや、一部オーディオコンテンツは圧縮されず、例外的にアーティファクトが発生してしまう点をデメリットとして紹介されています。
ATRAC9
ATRAC9はPlayStation限定の音声コーデックで、XMAと同じくハードウェアでデコードを行います。
エンコードの設定によってはサウンドにアーティファクトが発生するとのことですが、これは一般的ではなく、設定の変更により解決できると述べられています。
適切な音声コーデックを選ぶためには
音声コーデックは、何を重視するかによって選び取るものが変わるといいます。たとえばファイルサイズを重視するならOpus、デコードのスピードを重視するならPCMを除けばVorbis(ハードウェアデコードならOpus)とのこと。
そのほかにも、銃声のように頻繁かつ短時間再生されるサウンド、SFX、音楽など、シーンに適した音声コーデックについても言及されています。
ブログ記事の著者であるAudiokinetic デベロッパーのマチュー・ジャン氏は、デフォルトのコーデックではVorbis、ハードウェアで利用できる場合は中程度の品質のOpusを推奨しています。
また、少なくともプロジェクトの最初のうちは「あまり気にしないこと」も重要としています。
詳細は、こちらをご確認ください。
コーデックの選択ガイド