2023年9月21日(木)から24日(日)の4日間、幕張メッセで開催されている『東京ゲームショウ 2023』。展示されたゲームの中から、2D横スクロールアドベンチャー『NONUPLE NINE: ASYMPTOTE』を紹介するとともに、同作品の開発者Tymco氏に11年に及ぶ開発の背景についてお聞きしました。
TEXT / HATA
岩手県一関市のILC学研都市での実験……被験体の身に起こる出来事の数々
『NONUPLE NINE: ASYMPTOTE』は、岩手県一関市のILC学研都市を舞台に1人称視点と3人称視点が絡み合う「探索型・科学ADV」。シンプルな横スクロールADVに加え引き込まれる設定、ストーリーによって多くのファンを獲得し2012年から開発を続けている作品です。
プレイヤーは観測者となって、被検体の少女たちをドローンで監視しながら彼女を導き、謎だらけの施設から脱出させることが目的です。しかし、被検体の少女は記憶を消失しており、探索の中で謎を解き明かしたり、この謎に満ちた世界の真相にも迫ります。プレイ開始すぐに少女の頭が……というショッキングな光景を目にしますが、引き込まれる作風に多くのプレイヤーがブースに並んでいました。
開発中にまさかの公式サポート終了。11年の開発について聞く
本作は様々なメンバーが入れ替わりながら開発を続けるというユニークな形式を取っています。中心となっているメンバーはゲーム会社でプランナーとして開発に従事しながら、10年以上にわたって本作の開発を続け、東京ゲームダンジョンなどのイベントに積極的に参加し、来場者とのコミュニケーションを取っているのも特徴です。
開発環境はなんとFlash。本作の開発が始まった2012年頃はまだまだ現役だったFlashも2020年末にサポートが終了となり、他のゲームエンジンへの移行を模索しながら開発を続けているノナプルナイン開発チーム。
「講談社さんからもサポートをしてもらっているのですがなかなか難しくて……アニメーションが入っているswfファイルの移植ができれば、他のエンジンに移ることができるのですけどね」と現状を語ってくれました。
11年に及ぶ開発で、ゲームエンジンのバージョンを変更するかどうかを悩むといったケースは時々耳にしますが、本作のようにサポートが終了してしまうというケースは珍しいのではないでしょうか。2025年のリリースを目指す本作は大勢のファンが完成を待ち望んでおり、筆者もその一人として完成を願っています。
『講談社ゲームクリエイターズラボ』公式サイト東京ゲームショウ2023公式サイト5歳の頃、実家喫茶店のテーブル筐体に触れてゲームライフが始まる。2000年代にノベルゲーム開発を行い、異業種からゲーム業界に。ゲームメディアで記事執筆を行いながらゲーム開発にも従事する。
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今日の用語
ローパスフィルター(Low-Pass Filter)
- 電気信号のうち、指定した周波数(カットオフ周波数)以下の信号を通し、それより上を大きく低減させるフィルター。
- ゲーム開発において、基本的にはサウンド用語として用いられる。例として、特定のセリフをローパスフィルターによってくぐもった音に加工することで、隣の部屋や遮蔽物の後ろで話しているかのような表現を行うことができる。