企業ブースにも負けない「尚美学園大学」のデカ文字が目印
会場内で編集部の目を引いたのは、巨大な文字で「尚美学園大学」と書かれた大型ブース。「尚美学園大学といえば音楽分野など芸術系に強い学校のはず」というイメージを抱きつつ足を踏み入れたブース内には、独創的な発想と高い企画力が垣間見えるゲームが数多く出展されていました。
他にない企画を目指して作られた独自色の強い作品
忘レ物
『忘レ物』は2人1組でプレイする2Dホラーゲーム。目は見えるが音が聞こえないユウカ、音は聞こえるが目が見えないサヨ、それぞれ得られる情報が異なるプレイヤー同士がお互いをカバーしながら学校を脱出する作品です。
ユウカ側のプレイヤーの前にはマイクが設置され、喋った声がヘッドホンを通じてサヨ側のプレイヤーに届きます。逆に、ユウカ側のプレイヤーは音を聞くことができないため、サヨ側は上下キーで矢印を出し、行きたい方向を伝えます。
学校内には2種類の敵が存在し、それぞれのプレイヤーからは1種類しか確認できません。お互いに逃げる方向や隠れる場所を伝えながら脱出を目指していきます。操作性はやや荒削りながら、何度も遊びたくなる魅力を感じる作品でした。
説明書にはキャラクター紹介のほか、ストーリーなども書かれている
尚美学園大学の展示作品
今のゲームを越えるためにはゲームの勉強"だけ"では足りない
尚美学園大学は埼玉県川越市にある4年生大学で、音楽家赤松直が大正15年に開いた「尚美音楽院」がもとになっています。こうした背景から音楽分野では広く知られる存在ですが、現在はスポーツやライフマネジメントなどに関する幅広い学部を有しています。
こうした活動分野の広がりとTGSの出展規模の拡大は関連があるのでしょうか。尚美学園大学 芸術情報学部 情報表現学科 教授の野上 竜一氏に話を伺いました。
――尚美学園大学について教えてください。
本学には芸術情報学部、総合政策学部、スポーツマネジメント学部などがあり、今回出展しているのは芸術情報学部 情報表現学科の学生作品です。芸術情報学部と並んで、音楽表現学科、音楽応用学科、舞台表現学科といった学科があります。
「情報表現学科」とひとくちにいっても、音響・映像・照明コース、CG・イラスト・アニメコース、美術・デザインコース、情報・アプリコース、SNSコース、そして今回の出展に関わりの深いゲーム・ゲームサウンドコースと、非常に多くの分野を扱っています。また、コースの別け隔てなくそれぞれの講義を履修することも可能です。
――芸術情報学部がゲームを扱うようになった経緯を教えてください。
芸術情報学部は20年ほど歴史がある学部です。最初のうちは「ゲーム」という一分野があったわけではなく、あらゆるジャンルが混在していました。実質的には10年ほど前からゲームを扱うようになって、そこからだんだんと分化していって、現在のようなコース制になったのが約3年前です。東京ゲームショウにも以前から出展を続けておりました。
――今回の出展作品について教えてください。
出展している作品は授業の一環で作ったもの、授業外で自主的に作ったものなど、さまざまです。チームについても、ゼミ内で私が編成するものもありますし、学生同士が自主的に組んでいるところもあります。人数規模は10人弱のことが多いですが、中には1人ですべてを作りあげてしまう学生もいますね。
――実際に遊んでみて、ユニークな企画の作品が多いと感じました。これらを生み出した教育内容について教えてください。
本学は、お互いのジャンルをクロスオーバーしながら学べる点に特徴があると思います。今回展示している作品も、ゲーム・ゲームサウンドコースの学生だけで作ってるわけではありません。音響・映像・照明コースの学生が参加したり、CG・イラスト・アニメコースの学生が参加したり、場合によっては映画を作ろうと真剣にシナリオを学ぶ学生もプロジェクトに参加したりしています。
私自身もゲーム業界でプランナーとして仕事をしていましたが、そのときに感じたのは「ゲームだけを学んでいては、これまでのゲームを越えることができない」ということ。映画や音楽、CGも含めて数多くの分野を知っておかなければ、優れた作品は作れないと考えています。
本学は各分野において本気で制作に取り組む個性的な学生がたくさんおりますので、彼ら彼女らが横断的に制作を行うことで高い品質の作品を生み出せているのではないかと思います。
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