話して鍛えて覚える! 鍛冶屋シミュレーション『行列のできる武器鍛冶屋』
最初に紹介するのは「KansyaGames」による『行列のできる武器鍛冶屋 』。主人公である鍛冶屋の「ミサ」が、“かなとこちゃん”こと喋る金床「タンゾー」の導きによって、次々と訪れる冒険初心者のお客さんたちにピッタリな武器を鍛えてあげるというストーリーの作品です。
ミサは4種類の武器(近距離用の刀と斧、遠距離用の弓と杖)を扱えますが、それぞれのお客さんの手になじむ武器は1種類だけ 。合わない武器を鍛えても「なんだか違う」と返品されてしまいます。
まずはお客さんにぴったりな武器を知るためにアイスブレイクが必要です。文字通りアイスをブレイクするミニゲームによって情報を引き出し、最適な武器を選びましょう。
得意武器が判明すれば、いざ鍛造へ。自動で往復するゲージをタイミングよく止めるミニゲームによって武器を鍛えます。
このゲームは前半の「鍛冶パート」と後半の「オートバトル」に分かれており、鍛冶パートでできるだけ多くのお客さんをさばくことで、オートバトルのパーティーメンバーを増やすことが可能。
鍛冶パートには制限時間があり、お客さんは次々と押し寄せてくるため、回転数を高めることが重要となります。適度に急ぎながら武器を配り、冒険者たちのバトルを見届けましょう。
無事に武器を作り終えてひと安心……かと思いきや、ミサの作った武器は一度の戦闘で壊れてしまうので、鍛冶屋には翌日以降もお客さんが列をなすことに。
とはいえ、過去に対応したことのあるお客さんには同じ武器を作れば良いので、顔を覚えていれば手間いらず。もちろん再びアイスブレイクすることも可能ですが、記憶を頼りに武器を作っては返却されて「思ってた人じゃなかった!」なんて展開も。
効率的にお客さんをさばいて強力な敵に打ち勝っていくというユニークなシミュレーションゲームで、ショップで強化アイテムを購入できるなどやり込み要素も魅力。丁寧に作られたチュートリアルも印象的な作品でした。
自らの経験をミックスして目指す「他にないゲーム」 本作の開発を手がける「KansyaGames」のおふたりに、ブースでお話を聞くことができました。
ピョコピョコと動く可愛らしいドットグラフィックはAsprite によって作成。ゲームエンジンはUnreal Engine 5を使用しています。
本企画は「インディーゲームだからこそ、今までにない新しいゲームを作りたい! 」という想いからスタート。まず「タイミングゲーム」を軸に「ハンマーを振り下ろす動きと合わせれば良いのでは?」という案が生まれたことで、ファンタジー世界で鍛冶屋をする設定に至ったとのこと。
ブースには、知人のモデラー渾身の作品という立派なタンゾーフィギュアも。目の光り方を自由に変えられる
「お客さんの顔を覚えていく」流れは、インディーゲームイベントで来場者とコミュニケーションした体験がもとになっています。
また本作には、バトルパートでMVPとなったキャラクターにあだ名をつけて覚えやすくできるシステムがあり、それもアルバイト経験での「常連さんにあだ名をつける」という“あるある”に由来しているそう。開発者の経験や好きなゲームなど、パーソナルなテイストが散りばめられたゲーム性が形作られています。
あだ名をつけて親しみが湧けば「いつもの」を提供しやすくなるはず
完成版では人間以外の種族も含めて100人以上のお客さんが収録 され、中にはこれまでイベントなどで関わってきた縁で実現したコラボキャラクターも登場するとのことで、ゲームが進むと顔を覚える大変さも増していく模様。
時には会話をしても得意武器ではない“ハズレの情報”が手に入ることもある など、コミカルさも盛り込まれています。
今までにないゲーム性のため既存作品を参考にできない面も多く、UIなどは話し合いを重ねながら時に構成を見直すなど、まさに鍛冶屋のごとく「溶かして鍛える」作り方 になっているという『行列のできる武器鍛冶屋』。リリースは2026年5月末を予定 しており、今回の出展の反響を受けて「もっと作り込んでいきたい」と、さらなるブラッシュアップも見据えていました。
KansyaGamesの「たけのこJr」氏(写真左)と、被り物のインパクトも強い「へろさん」氏(同右)。レーベル名通り「関わってくださったすべての人に感謝です」との声も
爆弾で緻密かつ爽快なコンボを決める!『ダンジョンボンバー』
続いて紹介するのは、ダイナマイトな褐色ドワーフちゃんが目を惹く『ダンジョンボンバー 』。ブロックが積み重なってできたダンジョンを爆破 していく、ローグライクとデッキ構築要素を併せ持ったパズルゲームです。
主人公のドワーフちゃんは訳あって地下へと落とされてしまい、怒りによって目覚めた「爆弾を生み出す能力」でモンスターの潜むダンジョンを突破していくことに。爆弾は十字やX字など異なる射程範囲を持つほか、それぞれ固有効果を発動でき、爽快なコンボを決めるためには的確な爆弾の配置と「どれから爆破をスタートするか」が重要 となってきます。
爆破で空いたスペースには上からブロックが落ちてくるので、上手く結果を予測しての配置&爆破が求められます。モンスターが最下段に到達するとドワーフちゃんが攻撃されてしまう ので、早めに倒したり行動を封じる効果をかけたりしながらHPを保ちつつ、各ステージで規定数のブロックを爆破することでゲームクリア となります。
爆弾はデッキから毎ターンドローされ、同時に2個まで盤面に配置できますが、ゲームを進めることで新たな爆弾の獲得や爆弾の合成が可能に 。敵を倒せばボーナス効果を選択できるほか、ボスを撃破すると強力なボスレリックが手に入るため、配置と強化の2つの戦略性がミックスされたゲーム性 を楽しめます。
プラン通りの連鎖を決めるのはもちろん、降ってくるブロックの中に爆弾が含まれている可能性もあるので、偶然の大連鎖が発生すると爽快感は抜群 。写真でお伝え出来ないのは残念ですが、ドワーフちゃんの胸部がドドンと揺れるこだわりの演出など、細部に至るまでの作り込みも味わえました。
Flash育ちの開発者独自の環境と幅広い創作活動 『ダンジョンボンバー』を手がけるのは、Flashゲーム開発の出身で現在も月1本のペースでブラウザゲームを開発・公開している個人開発者の「作っちゃうおじさん」氏。
本作はTypeScriptで書かれたコードをWebGLで描画しており、レンダリングライブラリには『RPGツクールMV』などで採用されていることでも知られるPixiJS を使用。2Dゲームに特化した開発環境で、イラスト以外は独力で開発 されています。
非常に珍しい開発環境のメリットは「バグがあっても完全に自分のせい」なところなのだとか
もともと『ダンジョンボンバー』は2022年にWeb上で公開された無料ゲームで、それをSteam向けにリメイクしたのが本作。同氏は昨年からElectron を用いてゲームのアプリ化を開始しており、本作は2作目となります。
デモ版にはプロローグ兼前作『ダンジョンデストロイヤー 』の宣伝も
最近は「シェーダーにハマっている」とのことで、デモ版にも「レトロゲーム調」になるシェーダーが実装済 。まずはオフの状態でグラフィックへの反応を見つつテストするなど、イベント出展を通じてブラッシュアップを続けています。
シェーダーを適用するとレトロゲームのような見た目に
今回の出展では「よりゲーム性が伝わりやすいチュートリアル」の必要性を感じたとのこと。
『ダンジョンボンバー』は2026年夏ごろのリリースを予定 して開発中。ゲーム以外にも「シナリオ管理ツール」の公開など幅広い創作活動を行っている同氏は、2026年2月に展示会「作っちゃうやつら展 」も開催。「ゲームメーカーズのイベントカレンダー を見て来てくださった方もいました!」とのことでした。お役に立てていて何よりです!
△「シナリオを整理する用のメモ」も作っちゃったばかり
少女とゴーレムが“記憶”を巡り冒険するARPG『深層のチャロアイト』
巨大なゴーレムの肩に乗った少女がダンジョンの奥深くへと進んでいく 、どこか儚さを感じさせるグラフィックも印象的なアクションRPG『深層のチャロアイト 』も、多くの来場者の注目を集めていた作品のひとつ。
「紫色の瞳で生まれた女性は10歳で魔力を持つ」という伝説のある国で、紫眼を持って生まれた少女「チャロア」が気付かぬうちに不思議なダンジョンへと迷い込み、謎の存在と自分の記憶に導かれるままに下層を目指してひたすら進んでいく 物語が描かれます。
ダンジョンはマス目状になっており、罠やアイテム、そして下層へ進むための階段さえもが「目に見えない」状態 で隠されています。チャロアがダウジングの能力を使えば僅かな時間だけ隠されたオブジェクトが表示されるため、記憶した光景を頼りにゴーレムに指示を出してルートを決定 していきます。
ルールはシンプルですが、ダウジングに使う「活力」には限りがあるため少ない回数で進めるのがベストで、体力を減らされないよう罠や徘徊する敵キャラクターの攻撃も避けなければなりません。罠を壊せば「共鳴値」が溜まってゴーレムの攻撃力が大きく上がり、効果的なルート取りを目指せば戦闘面でもプラスになるシステムで 心地よく遊べる印象でした。
攻撃を受けたり階を進んだりすると共鳴値はリセットされるので、階ごとに丁寧な攻略がポイントに
階を進むことでチャロアが失われた記憶を少しずつ取り戻していく仕組みになっており、アイテムによって性能を強化しながら最深部となる「地下100階」を目指していくのが主な流れとなっています。
こだわりを詰め込んだ4年の開発期間を経てリリース 『深層のチャロアイト』は個人開発者の「三木よんた」さんによるUnityを使用した作品。お話によれば、プレイヤーに「意外性のある物語体験をして欲しい」との想いで“シナリオ主導”でスタートした企画 だったとのこと。
本業の傍ら隙間時間での開発となりましたが「素材は極力自作しよう」と考え、3DCGはBlender 、イラストはCLIP STUDIO PAINT やPhotoshop を駆使するなど、立ち絵の外注以外アートはほぼ全て自作とのこと。音楽は基本的にフリー音源を使用していますが、メインテーマは作曲経験のない状態からLogic Pro で自作したそうです。
ブースに飾られたチャロアも3Dプリンターで出力し手塗りしたという「自作」のひとつ
個人でこだわりを詰め込んだ開発とあって、立ち上げからなんと4年以上もの開発期間を費やした長期プロジェクト となりましたが、2025年12月に遂にリリースを迎えており、「ずっと効率よくできた訳ではなかったけれど、実りのある期間だった」と実感のこもった言葉も聞かれました。
肝となるシナリオを最後まで楽しんでもらうためにも、100階層に到着するまで各所で新要素を入れるなど「飽きずにプレイできる」ゲームデザインが特に苦心したポイントとのこと。独自性と作者の想いが詰まったタイトル に仕上がっています。
チャロアの記憶が想起されるシーンも背景が細かく作り込まれている
「かたち」を作って対戦!パズルゲーム『Pixel Pile』
最後に紹介するのは『Pixel Pile 』。『テトリス』のように上から降ってくるブロックを操作して並べるシンプルなルールですが、一列揃えるのではなく、指定された「かたち」を同じカラーで揃えるとブロックが消えていく目標型のパズル になっています。
この「かたち」は簡単に作れるものから複雑なものまでバリエーション豊かで、操作していて非常にユニークな要素。加えて数秒ごとに対象の「かたち」が更新されて難しくなっていくシステム のため、常に新鮮かつゲームの停滞を防ぐ効果を発揮しています。
ブロックは千切れて落ちていく仕組みなので一気に盤面が埋まってしまうことはなく、作れそうな形はガイドが表示されるサポート も嬉しい仕組み。CUP戦だけでなく対人戦もプレイ可能で、かたちを完成させると相手の画面を見づらくしたり操作を反転させたりという妨害要素が発生 し、並んでプレイするのも盛り上がる作品に。
右プレイヤーの画面に妨害が発生中。盤面の一部が黒く塗り潰され、視界が封じられている
慣れるまではやや難しさが強く感じられる面はあるものの、柔軟な対応力が求められるゲーム性と王道なビジュアルとのギャップが魅力で、筆者もプレイ時には思わず均一にブロックを置いてしまうなど、混乱する感覚が味わえて楽しい作品 に仕上がっていました。
「ふつう」とされている「かたち」も簡単には作れない
会津大学サークル「ぱんどど」が開発。このたび初の西日本進出 取材に応じていただいた、福島県「会津大学」のサークル「企画開発部」の皆さん。現在約30名で活動しているPCゲーム制作サークルであり、「Planning and Development」を略した「PandD」から「ぱんどど」の通称で親しまれているそうです。
ブースにて取材に対応いただいた「ぱんどど」の皆さん
本作はプロトタイプとなる作品をUnity向けにリメイク したもので、プロトタイプも含めると10名以上が携わっている とのこと。「かたち」を完成させた際に、該当する部分だけでなく構成しているブロックのすべてのパーツが消える仕組みや、ブロックが滑らかに動いて見えるビジュアルなど、苦心の調整を経て現在のバージョンになっているそうです。
開発者さんは「つよい」程度までならなんとか勝てるのだとか。筆者も記念に「さいきょう」と対戦してみたが、何が起こっているのか分からないまま秒殺だった
サークルの活動として開発したゲームは大型同人イベント「コミックマーケット」で無料頒布を行っているほか、普段は地元会津でのイベントでも展示しているのだとか。しかし会津でのイベント出展が流れてしまったため、春休みを利用して大阪の「ゲームパビリオンjp」へ遠征し、初の西日本進出 が実現したとのこと。
登場するブロックは当初は4パターンほどだったところ、来場者のプレイの様子を見て「もっとバリエーションがあった方が面白いのでは」と、ブース内でのリアルタイムアップデートも実施 。最終的には僅か1ブロックだけの使いやすいものから、もはやまったく繋がっていないものまで、バリエーション豊かすぎるブロックが降り注いでいました。
本作はSteamにて無料で公開中。2026年3月31日(火)には「ゲームパビリオンjp2026」で出展されたバージョンへのアップデートが行われています。
今回使用された「スカイホール」は京セラドーム大阪9階のイベント会場とあって、野球場のコンコースを思わせるドーナツ状の空間。そのため、インディーゲーム展示会としては非常に珍しい「入り口から最奥部まで一本道」の会場で、左右にさまざまブースが待ち受ける配置となっていました。
単にユニークな形状というだけでなく、道幅が広く天井も高いので開放感があり、道なりに歩くだけですべての出展作品が目に入ってくるため回遊しやすさも抜群に。この日はドーム内でプロ野球の開幕シリーズが行われていたこともあって周辺施設も大変な人出で、非日常感を強く味わえたのも印象的でした。
ベースボールシャツ姿の来場者さんや出展者さんもチラホラ
残念ながら会場に来られなかったという方も、Steam上にはオンライン参加タイトルも含めたイベントページが開設 されていますので、気になるタイトルを探してみてはいかがでしょうか。
「ゲームパビリオンjp」公式サイト 「ゲームパビリオンjp」公式X
大阪生まれ大阪育ちのフリーライター。イベントやeスポーツシーンを取材したり懐ゲー回顧記事をコソコソ作ったり、時には大会にキャスターとして出演したりと、ゲーム周りで幅広く活動中。
ゲームとスポーツ観戦を趣味に、日々ゲームをクリアしては「このゲームの何が自分に刺さったんだろう」と考察してはニヤニヤしている。