「立体の表面」が舞台の『表面迷宮くるまぶ』。経産省主催の「創風」に採択されたネオ2Dアクションパズルを試遊&インタビュー【TGS2025】

「立体の表面」が舞台の『表面迷宮くるまぶ』。経産省主催の「創風」に採択されたネオ2Dアクションパズルを試遊&インタビュー【TGS2025】

2025.10.02
注目記事インタビューイベントレポート東京ゲームショウ2025
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2025年9月25日(木)から28日(日)の4日間、幕張メッセにて日本最大規模のゲームイベント「東京ゲームショウ 2025」が開催されました。

本記事では審査により選ばれたタイトルが並ぶ「SELECTED INDIE 80」コーナーから、経済産業省が主催するクリエイター支援プログラム「創風」に採択されている、“立体的かつ平面的”なパズルプラットフォーマー『表面迷宮くるまぶ』を紹介します。

TEXT / ハル飯田
EDIT / 藤縄 優佑

目次

画面も頭も“回転”が大切な立体×平面パズル

表面迷宮くるまぶ』は、クモのようなキャラクターを操作してゴールへ導くパズルゲームです。

本作の舞台は、立体オブジェクトの表面上に描かれている2Dの世界。左右移動やジャンプ、障害物を壊せる射撃アクションを駆使して迷路を突き進みます。

操作キャラは地面に立って進みますが、壁への張り付きなどを行うと重力が変化し、ステージそのものが回転。キャラが接地した場所に応じて、ステージがくるくると回るのです。

また、2Dのマップが立体的に配置されている構造から、見えない場所が生じるため、「この裏側ってどうやったらいける?」と頭を悩ませます。思わず画面の側面を覗き込もうとしてしまいたくなる作品です。

青いゲートに入ればステージクリア

ステージを進めることで射撃アクションの選択肢も増え、動く物体に足場を射出して新しいルートを開拓したり、爆弾を打ち出して脅威を排除したりと、多彩なアクションが可能に。

試遊上では、どれだけステージが回転しても重力の向きは下方向であることも利用したギミックも登場していました。

通れない道は足場を作れば……

移動できるようになる

クリアを重ねていくと立体オブジェクトの形状はより複雑になり、ギミックも増えていくため、1ステージごとに新しい遊び心地に。マップ上には「くるまぶ」も随所に配置されており、すべて回収してからゴールを狙うと難易度も一層アップします。

まるで筐体を回してボールをゴールへ導く迷路のおもちゃのようなプレイ感に、ゲームならではのアクション性もあり、画面だけでなく頭の回転も問われるゲームになっている印象でした。

100ステージ目指して開発中の「創風」採択作品

『表面迷宮くるまぶ』を開発している熊笹氏にお話を伺いました。

iアプリ開発や雑誌への投稿など、さまざまな形で長期にわたって個人開発を続けてきたという熊笹氏

本作はXcode環境で開発されており、アートはPhotoShopを、サウンド開発には「ACID」を使用。

『スーパーマリオ オデッセイ』のような3Dの画面の中で2Dアクションが楽しめるゲームから「立体すべての表面が2Dで構成されたゲーム作品はまだ存在しないのでは」と考え、本作の着想に至っています。

ジャンル名も「ネオ2Dアクションパズルゲーム」としている

本作は立体の表面すべてがひとつのマップとしてつながっていますが、これは2Dマップはそのまま貼り付けるだけではつながらない部分が生まれてしまうため、非常に大変な作業になっているそうです。

「未だにデバッグ中です」と、物理エンジン処理も含めた対応が苦心のポイントであると明かしていただきました。

複雑な仕組みの作品ですが、レベルデザインは頭の中にあるデザインを形にして「作りながら調整」するスタイルとのこと。

イベント出展の際には今までにないゲーム性から「難しく感じる」とのフィードバックもあり、操作に慣れるまでの段階的な道筋づくり、その難しさを超えるレベルデザインを目指して開発が進められています。

昨年8月から着手し、約1年の開発期間となった今回のデモ版では20ステージが収録されていますが、最終的にはなんと100ステージを目指しているそうで、リリースについては来年中が目途になっています。

ちなみに、マップ上に配置されている「くるまぶ」とは漢字で「車麩」と書く、焼き麩の一種。見た目が収集物らしさがあって楽しく、熊笹氏の前作のタイトルに「ちくわぶ」と入っていたことから連続性もあって採用したとのことでしたが、意外と知られておらず伝わらないこともあると苦笑い。

それでも、今までゲームに採用されることが無かったであろう車麩は「まだ色が付いていないので、良い素材」と、オリジナリティの演出に一役買っているようでした。

販売サイト(ストアページ) https://store.steampowered.com/app/3546020/Surface_Labyrinth_KURUMABU/
リリース予定時期 2026年
熊笹氏 Xアカウント「東京ゲームショウ2025」公式サイト

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