この記事の3行まとめ
- Epic Games、「Beyond Average: How Tech Artists Can Make Games More Accessible」と題した記事を公開
- ゲームのアクセシビリティを向上させる際に「インクルーシブデザイン」を重視するべきといった知見を解説
- UE公式サンプルプロジェクト『Lyra Starter Game』をもとにした色覚補正機能の実装事例などを紹介している
Epic Gamesは2025年5月20日(現地時間)、『Beyond Average: How Tech Artists Can Make Games More Accessible』と題した記事をEpic Developer Communityにて公開しました。
「Game Developers Conference 2025」および「Inside Unreal」で実施された講演の内容を基に記載されており、ゲーム開発におけるアクセシビリティ設計の重要性について、システムの実装方法や既存ゲームタイトルの実例を交えて解説しています。
「Inside Unreal」で実施された講演「Beyond Average: How Tech Artists Can Make Games More Accessible | Inside Unreal」のアーカイブ動画
記事中では、アクセシビリティの高いゲームを設計する際は、プレイヤー個々の特性や怪我・疲労感などの身体的状況、プレイ環境といった、一時的・状況的に変化する能力に幅広く対応可能とする「インクルーシブデザイン(inclusive design)」を念頭に置くことが重要であることなどが語られています。
ゲームプレイにおける主な課題点として「操作キーのマッピング」「字幕」「テキストサイズ」「色覚」などを提示。その解決策を、アンリアルエンジン(以下、UE)公式サンプルプロジェクト『Lyra Starter Game(以下、Lyla)』による実装例をもとに紹介しています。
『Lyla』はチーム制TPSを題材としたサンプルプロジェクト(画像は『Lyla』ストアページより引用)
UEは色覚特性に応じて色の識別をサポートする補正フィルター機能を有していますが、フィルター機能だけでは対処しきれないパターンや、フィルター機能への過度な依存を解消することなどに課題があると述べています。
これに対して、『Lyla』で実装されているQuinnモデルのマテリアルを調整する設定について紹介。コントラスト設定やハイライト表示を活用することで、フィルター機能を用いずに色の識別をサポートできます。
また、キーマッピングや字幕設定といった『Lyra』で施されているアクセシビリティ向上の設計について説明しています。
4色のQuinnモデルを配置した様子(画像は記事本文より引用)
配色を専用パレットに変更してハイライト表示を適用することで、背景や異なる色同士のコントラストを強調した結果(画像は記事本文より引用)
そのほか、「The Game Awards 2024」におけるInnovation in Accessibility部門で受賞した『プリンス オブ ペルシャ 失われた王冠』など、既存タイトルにおいてアクセシビリティ向上を図る設計手法に関する事例なども紹介。
またアクセシビリティ向上に際して、とくにテクニカルアーティストが担うべきチームでの重要な役割についても言及しています。
詳しくは、記事本文をご確認ください。
「Beyond Average: How Tech Artists Can Make Games More Accessible」Epic Developer Community