2024年9月26日(木)から29日(日)の4日間、幕張メッセにて日本最大のゲームイベント「東京ゲームショウ 2024」が開催されました。世界各国のインディーゲームが集まった会場の中から、今回は「Selected Indie 80」にも選ばれた、「Red Nexus Games」のアクションゲーム『Fowl Damage』を紹介します。
TEXT / ハル飯田
1段上るために2段下りる卵アクション
『Fowl Damage』は卵のような見た目のキャラクターを操作していく横スクロール式の2Dアクションゲーム。基本的な操作は左右移動とジャンプのみで右へ右へと進んで行くシンプルなゲーム性ですが、一定以上の距離を落下すると衝撃で卵が割れてしまってゲームオーバーになるというリスクを回避しながらの操作が要求されます。
卵3個分程度の高さまでは落下しても大丈夫なので段差を下りるのは簡単ですが、主人公は非常にジャンプ力が高く、軽く10個分ほどの大跳躍を繰り出します。自分でジャンプして長距離を落下したり、あるいは天井にぶつかってしまったりすることで割れてしまうので「高さのある足場に飛び乗る」「天井に当たらない高さから飛ぶ」など、さまざまな点に配慮しながらジャンプを駆使して進まなければなりません。
目の前にある段差に乗るにも2段ほど下りてからジャンプしてみたり、あるいは先に一度2段分ほど高い足場に飛び乗ってから少しずつ下りてみたりと、機転を利かせたプレイが求められるパズル要素が大きな特徴です。
このような状況では一気に右へ飛び下りるのではなく、一度左の段差を経由して進む必要がある(画像はSteamより引用)
ゲームを進めると複雑な地形や動く足場も登場し、考える楽しさもアップ。単に進むだけでなく道中で取りづらい場所に置かれた「羽」を集めていくチャレンジ要素もあり、コンプリートを目指すためにはじっくりと考えたくなるところですが、画面全体を広く攻撃してくるギミックなど足を止めていてはクリアできない仕組みが登場するシーンも。
リズムが出てくるとちょっとした段差やジャンプで割れてしまい「しまった!」となりますが、すぐに復活できるリプレイ性の高さでストレスを感じさせないのも快適なアクションゲームとなっています。
ひとりで6年に渡る開発。サポートを受け遂に完成
『Fowl Damage』を手がけたのは『Peglin』などの作品で知られる「Red Nexus Games」で働いているというMay Gardensさん。
開発をスタートさせたのは2018年と実に6年前のこと。常に開発を続けていた訳ではないため「実質は3年ほど」とのことですが、今年に入ってからはサポートを受けながら遂に完成へ。音楽も友人の力を借りつつ自作しているそうです。
開発環境は「GameMaker」で、ドット絵には「Aseprite」を使用。卵が主人公のユニークなゲーム性が生まれた背景にはこのGameMakerの存在があったそうで、実は開発がスタートした時点では「人型の主人公が段差を落ちたら潰れてしまう」という今に比べるとかなりショッキングなテイストの作品で、あまり作りたいものになっている実感もなかったとのこと。しかし開発途中でGameMakerに大型アップデートが入りゲームの大部分を作り直す必要に迫られたため、それならと誰もが「落ちたら割れてしまう」共通認識を持った卵を主役に抜擢し、今の形へと着地しました。
パズル要素が強いためレベルデザインの重要性も高く感じられる本作ですが、開発ではレベルデザインの専用ツールを開発してもらったことで効率化。デザインではパズル色の強いステージやアクション性の強いステージ、そして時にのんびりしたステージをつないでいくことによる「ペース」を意識したとのことで、リズム感あるステージ構成になるよう意図されています。
また、開発者さん本人が「プレイヤーが学んでいくプロセス」の体験が好きであり、本作でも卵が割れる高さや解決法などをプレイしながら学び、次に同じギミックに出会った際に「これは前にもあったな」と経験を活かしていけるデザインを重視しているそう。シンプルなデザインながら、卵が割れるという共通認識が上手く2Dアクションへと取り込まれたカジュアルで楽しい作品になっています。
開発者 May Gardens Xアカウント東京ゲームショウ2024公式サイト大阪生まれ大阪育ちのフリーライター。イベントやeスポーツシーンを取材したり懐ゲー回顧記事をコソコソ作ったり、時には大会にキャスターとして出演したりと、ゲーム周りで幅広く活動中。
ゲームとスポーツ観戦を趣味に、日々ゲームをクリアしては「このゲームの何が自分に刺さったんだろう」と考察してはニヤニヤしている。
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