2024年7月19日(金)から21日(日)の3日間、京都みやこめっせにて開催された『BitSummit Drift』。展示されたゲームの中から、今回はチーム「冒険者酒館」が開発するADV『電気街の喫茶店』を紹介するとともに、同チームのプロデューサーである劉 博文氏にお話を聞きました。
TEXT / tyap
EDIT / 藤縄 優佑
ピクセルアートのでんでんタウン・オタロードが紡ぐゆるふわメイド喫茶経営アドベンチャー
『電気街の喫茶店』は大阪府の日本橋(にっぽんばし)を舞台としたメイド喫茶スローライフアドベンチャーゲームです。
主人公はブラック企業を退職し路頭に迷っていたところ、休憩のため入店したメイド喫茶「ふわふわ」で「シロ」というメイドさんと出会います。
オーナーが不在になったせいで店が立ち行かなくなり、シロ以外のメイドさんは全員退職。
どうしても「ふわふわ」を存続させたいシロの願いを叶えるため、主人公は店長代理としてメイド喫茶を経営する生活が始まります。
本作はメイドさんたちとの会話や日本橋の街を楽しむアドベンチャーパートと、メイド喫茶を経営するパートが用意されています。
アドベンチャーパートでは、日本橋の街を探索し、個性豊かなキャラクターたちと会話を楽しみます。メイドさんたちと映画の鑑賞やランチを堪能したり、喫茶店で働いてもらえる新たなメイドさんを探したりと、プライベート面でも「ふわふわ」を支えていきましょう。
「駿河屋」や「スーパーポテト」「くそオヤジ最後のひとふり」といった日本橋に実在する店舗とのタイアップも行っており、ゲーム内にそれら店舗が登場します。
経営パートでは、キッチン・ホールを担当するメイドさんを決めます。メイドさんごとに異なるステータスをチェックし、的確に仕事を割り振りましょう。
さらに経営パートは主人公自らがお店に立って働きます。課された制限時間の中で、注文・配膳・会計をできるだけこなしてお金を稼ぎましょう。
ときには、ドリンクづくりを頼まれることもあります。コーヒーやエスプレッソといったベースと、使う食材を決めて飲み物をつくり、お客さまに提供します。
取材時にSteamにて公開されている体験版では、メインキャラクターであるミユの友人にコーヒーを提供するイベントが発生しました。
お客さまの希望する飲み物を提供できれば会話が発展し、キャラクターたちの新たな一面を垣間見ることができます。
1日の営業が終了すると、その日の売上結果が表示されます。
売上から経営資金を引いた残りは自分の給料となります。メイドさんたちを全力でサポートしながらお金を稼ぎ、日本橋での生活を充実させましょう。
日本橋への敬意と情熱、キュートなピクセルアートが織りなす日常系ストーリーに胸躍る一作です。
パブリッシャーと協力して実在の店舗とタイアップ。日本橋への情熱が突き動かした5年間
『電気街の喫茶店』の開発には、これまでの作品の開発で採用していたUnityを引き続き使用。グラフィックにはPhotoshop、アニメーションにはAsepriteを使っています。
本作の開発を本格的に開始したのは2019年。
プロデューサーである劉氏は東京で、グラフィッカー2名、プログラマー2名、プランナー1名が上海で開発しています。
日本橋に実在する店舗に対し、本作に登場してもらうためのアプローチについては、劉氏とパブリッシャーであるPLAYISMが協力。店舗の選定は劉氏が、店舗との交渉はPLAYISMのサポートを受けながら進められたそうです。
PLAYISMとは、過去のイベントで本作を展示していたときに声をかけてもらったことがきっかけでパブリッシング契約を結ぶことにしたとのこと。
劉氏は、「本作の舞台と、PLAYISMを擁するアクティブゲーミングメディアさんが同じ大阪府にあることに対して縁があると感じ、ぜひお願いしたいと思いました」と話します。
『電気街の喫茶店』の舞台を大阪府の日本橋にした理由としては、「電気街と聞くと秋葉原をイメージされる方が多いですが、関西にもでんでんタウンという素晴らしい電気街があることを伝えるため、あえて王道ではない場所を舞台としました」と、劉氏は日本橋への思い入れを語りつつ説明してくれました。
上海の開発オフィスは、日中は開発現場として、夜はバーとして稼働しています。これはゲームの開発資金を集めるためであり、開発とは異なるスタッフによってバーが運営されています。
開発当初は作業に余裕があったたため、開発メンバーもバーを手伝うことがあったそうですが、取材時点ではゲーム開発がラストスパートに差しかかっているため、そういったことはできていないとのこと。
「コロナ禍では会社の経営がままならず、資金繰りに悩んだこともありました。ですが、そういったことも含めたバーでの経営経験が、本作の経営パートにも生かされていると思います」と劉氏は振り返ります。
取材時点でSteamに公開されている体験版を遊んでいると、メインキャラクターであるシロやミユたち以外にも、ミユの友人や店員など、数多くのサブキャラクターにも立ち絵が実装されています。
登場キャラクター数については、劉氏によればサブキャラクター、モブキャラクターを含めると100人を超えると言います。
メインキャラクターの設定やキャラクターデザインは劉氏がディレクションしていますが、一部のサブキャラクターやモブキャラクターはプランナーとグラフィッカーに一任しているとのことです。
「ストーリーも経営パートも何度も作り直して今の形になりました。特に、グラフィックは最も試行錯誤を重ねたので、ぜひ皆さんにゲームをプレイしてこの世界観を体験していただきたいです」と劉氏は力強くコメントしました。
#アニマロイドガール × #電気街の喫茶店#BitSummitDrift でふわふわなコラボ実現! #BitSummit
どちらかの条件達成で、会場限定配布のコラボステッカー(全4種)を1枚プレゼント!
① @hazardkill_jp と @dreambaseinc をフォロー&この投稿をリポスト
②出展作品のハッシュタグ&ブース写真を投稿 pic.twitter.com/mXEqk6JOjQ— 冒険者酒館/電気街の喫茶店開発中! (@dreambaseinc) July 17, 2024
BitSummit Drift会場の別ブースで出展していた『アニマロイドガール』の開発者と劉氏は友人。そのつながりで、2作品の会場限定コラボレーションも実施された
『電気街の喫茶店』製品ページ(PLAYISM)「BitSummit Drift」公式サイトゲームを遊び、ゲームを作り、絵を描き、文章を書くエビです。
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