2024年7月19日(金)から21日(日)の3日間、京都みやこめっせで開催された『BitSummit Drift』。さまざまな作品が集まった会場の中から、今回はひときわ美味しそうでキュートなビジュアルが目を惹いた育成シミュレーション『Wabisabi : Sushi Derby』を紹介します。

手塩にかけたお寿司が食べられるかもしれない!寿司育成レースシム『Wabisabi : Sushi Derby』。モチーフ変更で生まれた様々な“ネタ”を開発者に聞く【BitSummit Drift】
TEXT / ハル飯田
EDIT / 田端 秀輝
寿司を育てて走らせ、時に食べられ
『Wabisabi : Sushi Derby』は「握った寿司を鍛えてレースに勝つ」ことを目的とする育成シミュレーションゲーム。プレイヤーはたくさんのメニューの中から好みのネタを選んで寿司を握り、トレーニングで能力を鍛えてはレースへとチャレンジさせていきます。
レースは基本的にオート進行で、可愛くデフォルメされた寿司たちが回転寿司のレーンや寿司屋のカウンターを激走するレースシーンはキュートそのもの。寿司たちは能力に応じた走りで1着を目指しますが、お客さんが食べたくなった寿司は「注文」状態となり、走行中でも箸で掴まれて美味しくいただかれてしまう可能性もあります。
走行中は「応援」することで少しだけ寿司がスピードアップしてくれるので、お客さんが自分の寿司を取りかねない状況からスッと抜け出すなど、上手く使ってレースを有利に運べるかもポイントに。上位でゴールできれば賞金を獲得でき、また次のレースに向けて特訓へと進みます。
ですが、どれだけ速く走れる名ランナーに育てたとしても、寿司たちはあくまでも生鮮食品。ネタごとに「鮮度」が決まっていて、何度もレースを完走すると鮮度が落ちて能力の限界を迎えてしまうという宿命を背負っています。
食べられてリタイアになる可能性も含め、一貫の寿司だけをひたすら育てていくのではなく、定期的に新しい寿司を握ってはトライ&エラーを積み重ねていくことが求められます。ゲームを進めれば初期能力の高い高級寿司も握れるようになっていくので、高級店を駆け巡って徐々にランクを上げながら、最高ランクとなる「S1レース」での優勝を目指すというのが本作の大きな目標になっています。
モンスターレースから回転寿司が走る企画へと転換
思わず応援したくなるほど可愛くも美味しそうなこの育成シミュレーションを開発しているのは「ITAMAE STUDIO」の皆さん。
企画も担当しているクリエイターの「ゅゆゆ」さんにお話を聞くと、実は本企画は元々モンスターを育成していくレースゲームとしてスタートしたものだったのだとか。しかし「もっと良いゲームにするためにはどうすれば良いか?」と回転寿司を食べながら思い悩んでいたことで「お寿司を走らせるゲームにすれば良いのでは?」という発想に至り、現在のユニークなビジュアルとゲーム性に辿り着いたそうです。
ゲームエンジンにはUnityを使用しており、デフォルメ表現ながらも一目でどのネタかが分かるよう作りこまれた寿司のビジュアルはチームのデザイナーさんによるこだわりの仕事。食べ物をモチーフにしているため「美味しそうに見えること」には気を付けており、食欲をなくすような表現は避けるよう配慮して開発が進められています。
寿司の見た目が可愛いだけでなく、個別に名前をつけられたり、食べられてしまったとしてもお客さんから味のレビューがついたりと、思わずクスッと笑えるような要素もふんだんに盛り込まれているのも本作の魅力。
今回のデモ版では3ステージのみのプレイでしたが、製品版ではより多くの育成要素が楽しめるようになるそうです。さらに、「子供が多い店だと玉子が取られやすく、高級店では高いネタが取られやすい」「時期によって旬を迎えるネタが強くなる」など、寿司ならではのシステムやギミックも搭載していく予定とのことです。
日本人なら誰もが知る「お寿司」をモチーフに採用したことがユニークなネタがたくさん生まれるきっかけになった作品と言えるのではないでしょうか。
現在の開発状況は基本的なシステムを中心に6割程度まで進んでいて、これからコンテンツを増やしながらゲーム内容を充実させていく段階とのことです。2024年内のリリースを目標に、今後も開発が進められていきます。
『Wabisabi : Sushi Derby』開発者「ゅゆゆ」さん XBitSummit Drift 公式サイト大阪生まれ大阪育ちのフリーライター。イベントやeスポーツシーンを取材したり懐ゲー回顧記事をコソコソ作ったり、時には大会にキャスターとして出演したりと、ゲーム周りで幅広く活動中。
ゲームとスポーツ観戦を趣味に、日々ゲームをクリアしては「このゲームの何が自分に刺さったんだろう」と考察してはニヤニヤしている。
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