iZotope、高機能オーディオリペアツール「RX 11」を発売。機械学習による超強力なノイズ除去ツールの進化など、注目の新機能を紹介

iZotope、高機能オーディオリペアツール「RX 11」を発売。機械学習による超強力なノイズ除去ツールの進化など、注目の新機能を紹介

2024.05.17
ニュースサウンド
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この記事の3行まとめ

  • ゲームや映像作品におけるボイス整音作業の必携ツール「RX 11」がiZotopeより発売
  • 音声とノイズや暗騒音を分離する「Dialogue Isolate」がリアルタイム動作可能に。従来機能はStandard版にも開放
  • YouTubeやSpotifyなど各種ストリーミングサービスのプレビュー機能、ラウドネス値の分析・調整機能も追加された

iZotopeは2024年5月15日、オーディオリペアツール「RX」の最新バージョン「RX 11」の発売を発表しました。

「RX」は、音声ファイルのノイズ除去を中心とした高機能なモジュールが集合したオーディオの編集・修復ツールです。

ライセンス形態はRX10と同様に、プラグインとしてのみ使える「Elements」、基本的な機能が使用可能な「Standard」、より高度な全ての機能を利用できる「Advanced」の3種類が提供されています。価格は「RX 11 Elements」が16,900円(税込)、「RX 11 Standard」が67,800円(税込)、「RX 11 Advanced」が200,600円(税込)。

(画像は製品ページより引用)

新機能として注目を集めているのは、今回のバージョンから追加された「Streaming Preview」、「Loudness Optimize」に加え、従来機能のアップデートとしてリアルタイム動作が可能となった「Dialogue Isolate」。これらの機能はElements版を除くStandard版以上のライセンスで使用可能です。

YouTubeやSpotify上での聴こえ方をチェックする「Streaming Preview」

YouTubeやSpotifyなどの各プラットフォームで、編集中の音声がどのように聴こえるかをプレビュー可能な機能「Streaming Preview」が追加されました。この他にもAmazon MusicやApple Musicなど複数のプラットフォームがプリセットとして登録されており、コーデックや品質別のプレビューが可能です。

ゲーム開発においてはインゲームプレビューに近い概念。最終的なアウトプットに近い音質で作業可能に(画像は製品ページより引用)

ラウドネス調整のための新モジュール「Loudness Optimize」

ラウドネスとは、「人間が感じる音量に近い」数値として標準化された基準のこと。従来は音の大きさを示す値として電気信号をベースとした「dB(デシベル)」が用いられていましたが、聴感上の音量差に幅があったことから、国内においては2012年10月から民放テレビ社がラウドネス基準を導入。ゲーム業界もこれに続く動きが見られています。

細かなラウドネスの値を調整するための新機能「Loudness Optimize」では、従来のラウドネス計測から除外されてしまう音源内の低レベル部分を計測し、調整を行います。これにより、同じラウドネス値であっても聴感上の音量が必要以上に小さくなることを防ぐことができます。

(画像は製品ページより引用)

リアルタイム処理が可能になった「Dialogue Isolate」

機械学習アルゴリズムを使用して人間の話し声とその他のノイズを分離する「Dialogue Isolate」は、従来バージョンではAdvance版限定の機能でしたが、RX11からはStandard版でも利用できるようになりました。また、リバーブ(残響)の調整を行う「Dialogue De-reverb」も本機能に統一され、ノイズとともに不要な残響音が調整可能になりました。

大きく変化したのはリアルタイム動作が可能になった点で、これによってトラックに直接インサートして使用することも可能になります。Standard版とAdvanced版の同機能には差異があり、Advance版のみさらに高品質な処理を行えるHighestクオリティモードやマルチバンド処理が追加されています。

(画像は製品ページより引用)

その他、音声からボーカルや楽器を分離して各サウンド間の音量バランスを調整する「Music Rebalance」が高機能化、サウンドの問題を自動修復する「Repair Assistant」は高機能化やインターフェース変更など、複数の機能にアップデートが行われました。

Music Rebalance(画像は製品ページより引用)

Repair Assistant(画像は製品ページより引用)

ライセンスは従来バージョンからのアップグレードにも対応しており、2024年6月13日(木)までイントロセールも開催されています。

詳細は製品ページをご確認ください。

「RX 11」製品ページ

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