流体力学アクションや3D版『ウォーリーをさがせ!』など7作品の開発者に、苦労したポイントなど開発話を聞いてきた【TIGS2024】

2024.03.05
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2024年3月2日(土)と3日(日)の2日間、東京都武蔵野市の武蔵野公会堂や吉祥寺東急REIホテルにて「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2024」が開催された。本記事では、同イベントに出展したタイトルのうちいくつかをピックアップして紹介する。

TEXT / 松井 ムネタツ
EDIT / 神谷 優斗

目次

前回より大きく規模が拡大した地域密着型イベント

TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2024(以下、TIGS2024)」は運営協力に武蔵野市が入っており、地域とのつながりを感じるインディーゲームイベントだ。

前回は1日開催で会場は武蔵野公会堂のみだったが、今回は吉祥寺東急REIホテルの宴会場もメイン会場として使用し、さらには2日間開催となるほど規模が拡大。出展タイトル数は、前回から約1.6倍の133タイトルに増え、見どころたっぷりなイベントとして大いに盛り上がった。

2日通してステージイベントを実施。ゲストによるトークセッションや新作発表などが行われた

メイン会場である武蔵野公会堂の受付で、開場から1時間ほど経過した様子。まだかなり並んでいる状態だった

武蔵野公会堂でのブース風景。撮影した3月2日(ビジネスデー)の午前中ではまだそれほど混雑していなかった

今年は公会堂のすぐ隣にある、吉祥寺東急REIホテルの宴会場も出展スペースになっていた

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実際に試遊できた7タイトルをレポート!

ここからは、実際に筆者がプレイした7作品を紹介しよう。

ひたすら上に登っていく水墨画アクション『点睛』

モノクログラフィックが目を引く『点睛』は、上へ上へと登っていく3Dエンドレスアクションゲーム。低重力を感じさせるふわっとしたジャンプで、足場を確認しながらひたすら天に向かって登る。オーブを止めるとその姿が龍になって一気に上昇できるのは、なかなかの気持ちよさだった。

足場の岩を使って、ひたすらジャンプ(最大3段)して上へ上へと登っていく(画面はデモ版より)

ブーストモードで龍に変身。ジャンプが無制限にできるようになる(画面はデモ版より)

開発時の苦労として、水墨画調のグラフィックは現在の形になるまでかなりの試行錯誤があったことが挙げられた。強弱が付いた輪郭線はとくに苦労した箇所だったそうで、Steamで配信中のデモ版でぜひそのあたりを体験してみてほしい。

ニューロン・エイジ 野口 結衣氏(左)と張衡氏(右)

タイトル:『点睛』
開発:Project Pegasus / ニューロン・エイジ
ゲームエンジン:Unity
リリース予定日:2024年
ジャンル:エンドレスアクションゲーム
プラットフォーム:Steam

専門学生開発による『新年3秒前』はSwitch向けに発売

『新年3秒前』は、年越しの瞬間にジャンプする文化を題材にしたジャンプゲーム。年越しまでの3秒間、アイテムを踏み台にジャンプし続けてとにかく空中に居続けるのが目標だ。

プレイしたところ、失敗すると悔しくて「もう1回!」とリトライしたくなった。

年を越すまでの3秒間、空中に浮いていればクリア

本作は日本工学院専門学校の学生チームによる作品で、日本ゲーム大賞2023の「アマチュア部門」で大賞を受賞。メディアスケープの「Play,Doujin!」ブランドのもと、Nintendo Switch向けに2024年内の正式リリースを目指して開発が進められている。

街や水中、宇宙など、多様なステージとギミックが用意されている

開発でこだわっている部分は、とにかくバカゲーに振り切ることだそう。日本ゲーム大賞のアマチュア部門に応募される多くのゲームが真面目なものだったため、あえてバカゲーに舵を切ったとか。効果音をすべて人の声にしているのも、そうしたバカゲーらしさを追究した結果であろう。

ゲーム実況で盛り上がりそうなテイストであるため、発売後の反響が楽しみな1作だ。

開発スタッフである日本工学院専門学校の学生自らデモ版の解説を行っていた

タイトル:『新年3秒前』
開発:Play,Doujin!プロジェクト / 日本工学院専門学校
ゲームエンジン:Unity
リリース予定日:2024年
ジャンル:ジャンプアクション
プラットフォーム:Nintendo Switch

ドット絵で描かれたオープンワールド+総勢350人のキャラ!『ELEMASTA』

ドット絵オープンワールドRPG」というキャッチが目を引く本作は、teamエレマスタ 代表 小林 光氏がサウンドとキャラクターイラスト以外のほぼすべてを1人で開発している意欲作だ。

戦闘は一般的なコマンド選択式を採用

主人公は、最初は何もスキルを持たないが、パーティーメンバーと仲良くなるとスキルを教えてもらえるようになる。仲間からたくさんスキルを教えてもらうことで、主人公がどんどんパワーアップしていく。

フィールドはかなり広い。街とフィールドはシームレスにつながっている

スーパーファミコン時代の16ビットRPGテイストを意識しており、グラフィックはすべてドット絵。パーティーメンバーにできるキャラクターは350人以上、武器やアイテムは3,000種以上あり、これらすべてを小林氏1人でコツコツと描いているという。

開発が始まって5年目となり、「あとはひたすらデータを作り込むだけ」という段階だそう。本作は2024年中の発売を目指している。

膨大なドット絵を小林氏1人で描き上げているという

本作は開発に「RPGツクールMZ」を採用。今回話を聞いたクリエイターの多くがUnityを使う中、「RPGツクール」で開発している点は珍しく感じた。

取材時点ではSteamでの配信を予定しているほか、家庭用ゲーム機向けも検討中とのこと。

teamエレマスタ代表の小林氏

タイトル:『ELEMASTA』
開発:teamエレマスタ
ゲームエンジン:RPGツクールMZ
リリース予定日:2024年
ジャンル:RPG
プラットフォーム:Steam

ボクセルグラフィックの中で猫を探す『Eye On The World』

『ウォーリーをさがせ!』に代表される特定のオブジェクトを探す絵本を、3Dボクセルグラフィックのゲームにしたら……というのが、この『Eye On The World』だ。街の中に設置されている監視カメラの視点から、迷子の捜索落とし物の発見などのミッションをこなしていく。

見た目にも可愛らしいボクセルグラフィック

本作を開発するりりぃカンパニーは長くモバイルゲームを開発してきたため、本作も当初の予定ではスマホ/タブレット向けを検討していたという。ただ、実際にゲームがある程度仕上がってくると、ゲームデザイン的にモバイル端末よりもPCの方が適していることが分かり、PC向けに方向転換したそうだ。

クリアするには、画面の隅々までよく確認する必要がある。動いているオブジェクトが目標になっていることもある

今回の試遊でユーザーの反響をチェックしつつ、バランス調整をしてブラッシュアップしていきたいとのこと。本作は2024年内にSteamでの発売を予定している。

タイトル:『Eye On The World』
開発:りりぃカンパニー
ゲームエンジン:Unity
リリース予定日:2024年
ジャンル:探索アドベンチャーゲーム
プラットフォーム:Steam

流体力学をゲームに取り入れた『スーパーフリュードランダー』

宇宙船を操作してアイテムを獲得しつつゴールを目指すアクションゲーム。本作はSteamで販売中の『フリュードランダー』の続編にあたる。

最大の特徴は流体力学を取り入れたゲームシステムだ。ロケットから噴射した火は空気(流体)力学によって動く。

今作はSteamのほか、Nintendo Switchに向けても開発中。開発のtoropippi氏によると、Nintendo Switch向けの開発で一番苦労したのは、十分な処理速度がなかなか出なかったことだという。計算アルゴリズムを見直して最適化を図り、出展されていたバージョンでは60fpsを実現していた。

Switchで試遊。処理落ちすることなく、空気がヌルヌルと滑らかに動いていた

流体力学を取り入れたグラフィックは大きなインパクトがあるため、ぜひ動画などをチェックしてみてほしい。

本作を開発しているtoropippi氏

タイトル:『スーパーフリュードランダー』
開発:toropippi
ゲームエンジン:Unity
リリース予定日:2024年
ジャンル:2Dアクションゲーム
プラットフォーム:Nintendo Switch、Steam

ずっと遊んでいられる新感覚パズル+ローグライト『CUBEN ADVENTURE』

同じ色のキューブをスライドさせてマージ(統合)する、独特の世界観が特徴のパズルローグライトゲーム。同時に4つのキューブをマージすると、敵を攻撃してくれる味方キャラクターを生み出す白いキューブが生成される。多くのキューブをマージして味方キャラクターを生成・成長・強化させながら敵を倒していくのが目標だ。

画面右上に次々現れる敵を、キューブをつなげて倒していく

見た目を立体的なキューブスタイルにしたのは、新しさのあるビジュアルを目指した結果だそう。

1日目(ビジネスデー)では常に誰かが遊んでいるほどの盛況具合。一度プレイを始めると、ついついずっと遊んでしまう……という人が続出していた。

並んでいる同じ色をくっつけるようにスライドさせる

発想元となったパズルゲーム『2048』は「2048」を作ることがゴールだが、wool studio プログラマー RYO SUGIMURA氏は「そこで終わってしまうのが残念でならなかった」そう。「もっとずっと遊んでいたいのに……」という思いから、本作の開発に着手したという。

取材時点ではSteamでの発売を予定しているほか、スマホやタブレット向けも検討したいとのことだった。

ブースではずっと試遊が続くほどの人気だった

タイトル:『CUBEN ADVENTURE』
開発:wool studio
ゲームエンジン:Unity
リリース予定日:2025年
ジャンル:パズルアクションローグライト
プラットフォーム:Steam

リズムで強くなる2Dアクション!『紙装甲主人公と不死身のカエル』

主人公は敵の攻撃に極めて弱いが、BGMのリズムに乗ってジャンプや攻撃を行うとどんどん強くなっていくリズムアクションゲーム。とにかくリズムに合わせてボタンを押すだけでコンボがつながって強くなる……というゲームだ。

ジャンプや2種類の攻撃、ガードなどたくさんのボタンを使う。ガードボタンを押すと無敵のカエルが防御してくれる

これまでゲーム音楽の作曲を行ってきたシロ氏は、初めてインディーゲームイベントに参加した際にその楽しさに感動したそう。「自分も出展者として参加したい!」という気持ちからゲーム開発を始め、今回の出展に至った。シロ氏のXでは、「初めてのUnity!!」と題して日々の進捗を投稿している。

開発で苦労した箇所は「BGMのリズムとゲームシステムの同期」だという。敵の動きやボタン入力などあらゆる処理をリズムに合わせるようにすると、すべての処理が同じタイミングに集中して重くなってしまったそうだ。

「今回の出展では、難度が高すぎたことがよくわかった」とシロ氏。それほど長いステージではないものの最後まで到達できる人が少なかったため、敵の配置や攻撃方法などを今度調整していくとのこと。

シロ氏(右)と開発スタッフ(左)

タイトル:『紙装甲主人公と不死身のカエル』
開発:シロ
ゲームエンジン:Unity
リリース予定日:2024年
ジャンル:2Dアクションゲーム
プラットフォーム:Steam

デジタルゲームだけでなく、ボードゲームも出展

今回はKADOKAWAのアナログゲームブランド「カドアナ」や、ボードゲーム専門店「すごろくや」など、アナログゲームの出展もあった。

カドアナは2024年2月29日にNintendo Switchで『うんこカレー』と『菓子道』を配信開始。どちらもボードゲームをデジタル化したもの

すごろくやは『チューリングマシン』体験コーナーを設置

吉祥寺駅周辺には多くのサブ会場が設置

TIGS2024のメイン会場となった武蔵野公会堂と吉祥寺東急REIホテルは、吉祥寺駅から徒歩2分とアクセスしやすい場所だった。今回、駅周辺にはサブ会場が設置されており、吉祥寺マルイ吉祥寺パルコキラリナ京王吉祥寺などで物販や展示会が行われていた。

キラリナ京王吉祥寺の1階通路では、『NEEDY GIRL OVERDOSE』のスペシャルストアが出店

吉祥寺パルコ1階屋外では『陰キャラブコメ』のポップアップストアが出店

今回のTIGS2024は、前回以上に「吉祥寺」という街を挙げてのイベントとなっていた印象だ。そういった意味でも、ほかのインディーゲーム系のイベントとは明らかに違う盛り上がりを見せていたように思う。独自の発展をしていく本イベントが今後どうなっていくのか、来年以降も楽しみにしたい。

「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2024」 公式サイト『TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2024 Day1 ステージイベント』『TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2024 Day2 ステージイベント』
松井 ムネタツ

パソコンゲーム雑誌、アーケードゲーム雑誌、家庭用ゲーム雑誌を渡り歩き、現在はフリーのゲーム系編集/ライター。マイベストゲームは『ウィザードリィ 狂王の試練場』で、最近だと『Forza Horizon』シリーズに大ハマリ。メインPCはAlienware Aurora。セガ・レトロゲーム系メディア「Beep21」副編集長をやりつつ、ボードゲームメディア「BROAD」編集長も兼任。

「BROAD」Webサイト

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