珠玉のインディーゲームが吉祥寺に大集合!初開催の「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT」をレポート

2023.03.13
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2023年3月4日(土)、東京都武蔵野市の武蔵野公会堂でインディーゲームイベント「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT」が開催されました。

「インディーゲームを中心とした様々なクリエイターの才能が一堂に会し、頂きを目指すきっかけとなる場」を目指して実施された本イベントは、海外からの来場者や家族連れの姿も目立ち、初開催ながら大いに賑わいました。

本稿では、多彩なカルチャーの集まる街・吉祥寺で春の訪れを感じさせる陽気とともに開催された「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT」から、ライターが実際にプレイして気になった出展タイトルをレポートします。

TEXT / ハル飯田
EDIT / 藤縄 優佑

目次

魔法少女の弾幕対戦は盛り上がり必至!『マジカオス』

会場内でひときわポップなビジュアルで目を引かれたのは、弾幕シューティング系対戦ゲームの『マジカオス』です。

本作は、見下ろし型のフィールドを舞台に、ライフを削り合うシンプルなルールで弾幕を張り合って戦います。相手の弾幕をすり抜けながら、こちらも弾幕を張るスリリングかつスピーディーな展開を楽しめます。

通常弾のタイプは、単発だけど高速なもの、16方向に発射するものなど多彩で、好きなものを選べます。また、操作キャラクターはかわいいだけでなく、それぞれ固有スキルも持っています。通常弾と固有スキルの組み合わせを考えながら、戦略を練るのも面白さの一つでしょう。

最大4人までのオンライン対戦に対応している

取材時点では4キャラクターがプレイアブルで、今後追加するとのこと

対戦時間は短いながらも、弾幕で画面が埋まりはじめると思わぬ被弾も増え、画面の見た目も心もタイトル通りの「カオス」な状態に。勝敗に関わらず、思わず「もう1回!」と繰り返し対戦を続けてしまいたくなる対戦パーティーゲームになりそうです。

本作を開発している「SUPER STARMINE」は、東京電機大学の学生3名によるチーム。チームの皆さんは普段からオンラインで対戦ゲームを一緒にプレイする仲間でもあり、コロナ禍で減ってしまった「ゲームで交流する楽しさ」を味わえるタイトルを目指して本作を開発中としています。

継続したアップデートや、対戦ゲームで真剣勝負する面白さとパーティーゲームのカジュアルさをほどよく味わえるバランスには苦心しているそうです。

開発チームの皆さん。大学のOBで、弾幕ゲーム「東方」シリーズ生みの親としても知られるZUN氏にフィードバックをもらったこともあるそう

チームのプランナーさんは、今後は「魔法少女の変身演出など、キャラクターに愛着を持ってもらえる要素も追加していきたい」とさらなるブラッシュアップへの意欲を見せていました。「アニメ調のグラフィックは僕の趣味ですが、これ以上趣味に走り過ぎてしまうとメンバーに怒られちゃいますね(笑)」と、メンバー間の関係も絶妙なバランス調整をしているようでした。

タイトル:『マジカオス』
開発:SUPER STARMINE
ゲームエンジン:Unity
リリース予定日:2023年
ジャンル:オンライン対戦弾幕アクションゲーム
プラットフォーム:Steam

閃きのレシピでダンジョンを進む『ANTHEM#9』

パズル好きに是非ともおすすめしたいゲームは、デッキ構築型ローグライト『ANTHEM#9(アンセムナンバーナイン)』です。

このゲームの特徴は、パズル風のバトルシステム。ターン開始時にランダムに配られる3色のジェムを、あらかじめセットした「スキルレシピ」に載っている通りにジェムを並べ替えることで、そのスキルが発動します。

スキルレシピで使う最後のジェムは、次のレシピの最初のジェムとしても活用できるので、スキルを連鎖するにはどうジェムを並べるかを考える面白さが◎。

ステージを進めるごとに新たなスキルを入手・強化したり、スキルレシピをアレンジしたりと、より戦いやすい環境を整えて先を目指す攻略の面白さを味わえます。

『ジェムが「青赤」と「赤青」のスキルレシピとか、条件の緩いスキルレシピを交互に発動すれば最強では?』と思ってしまいそうですが、配られるジェムにはランダム性があるうえ、敵からは「特定の色のジェムを消す」などの妨害を受けることもあり、思い通りにはいきません。

スキルレシピをセットしたデッキは2つ構築できるので、柔軟に切り替えながらどんなジェムが配られても効果的な攻撃ができるように工夫する、パズル脳を刺激される体験が味わえました。

進むステージのチョイスも重要

開発者のkoedaさんにお話を聞いてみると、ボリュームアップに加えて「ターンの制限時間は変えず、素早く入力すると強力な攻撃ができるなど、閃きや慣れで強くなれる要素も加えていきたい」と、やり込み要素の充実も目指すとのこと。

コミック調のグラフィックやUIのインパクトやゲームシステムとしての完成度の高さをうかがえた『ANTHEM#9』のリリース予定時期は2024年。完成予定はまだ先ですが、これからのグレードアップに注視したいタイトルです。

来場者とゲーム内容について盛んにコミュニケーションしているkoedaさんの姿も印象的だった

タイトル:『ANTHEM#9
開発:koeda
ゲームエンジン:Unity
リリース予定日:2024年上半期
ジャンル:デッキ構築型ローグライト
プラットフォーム:Steam

爽快バーバリアンアクション『蛮勇戦域バルバリオン』

(画像は「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT」Webサイトより引用)

1on1のCPU戦を勝ち抜く「1on1Arena」モードのプレイ動画

筋骨隆々なキャラクターが豪快なアクションを繰り広げるゲームプレイを体験できたのは、POLYGONOMICONさんによって開発されている『蛮勇戦域バルバリオン』です。

ワイルドなキャラクターが荒野を舞台に敵をなぎ倒す、三人称視点のアクションゲームの本作。スティックとボタンの入力によって多彩な技を繰り出すとゲームパッドに伝わる振動が心地良く、サウンド面も合わせて爽快感があふれてきます。

キャラクターと敵キャラの掛け合いもテンポが良く、キャラクターごとに異なる武器アクションが楽しめるバリエーションも魅力です。チュートリアルを遊んでいて「適当にスティックを回してもOKだ!」といった、世界観にマッチした荒々しい文言が飛び出すのも、楽しいポイントでした。

開発者の方にお話を伺うと、「海外では割とポピュラーだけど日本ではあまり馴染みがないバーバリアンのキャラクターが良いと思い、アニメ調にすることで日本・海外どちらから見てもオリジナリティが感じられるように」という狙いでビジュアルが作られたとのこと。

また、『元々は「波動拳をジャンプではなく手前・奥に動いて避けたい」と思ったのが、3Dゲーム作りのきっかけなんです』と、ユニークなアイデアの源泉を教えていただきました。

たしかに本作でも敵の攻撃をステップでかわして反撃に転じる動きや、ガードを固める敵をタックルで崩すアクションは、格闘ゲームのテイストを感じられるポイントです。対戦モードも実装予定とのことで、ハマりがいがありそうです。

なお、対応ハードについては「まずはPC(Steam)版のリリースに向けて開発している」とのこと。

ブースに4台も設置された体験台は、つねに賑わいを見せていた

タイトル:『蛮勇戦域バルバリオン』(WebサイトTwitter
開発:POLYGONOMICON
ゲームエンジン:Unity
リリース予定日:未定
ジャンル:高速3D剣戟アクションゲーム
プラットフォーム:Steam

ジャストガードで突き進む『無限武者』

シンプルなタイトルとドット絵のグラフィックの横スクロールローグライト『無限武者』も、プレイの気持ち良さが光る作品です。

本作は、「主人公が攻撃するごとに敵の頭上にあるカウントダウンが進み、0になると攻撃してくる」というターン制の戦闘が展開されます。

敵の攻撃はガードすれば被ダメージを軽減でき、タイミング良くガードすればジャストガードが発動し、ダメージは無効化されます。さらにジャストガード成功時は強烈なカウンターを放てるので、ジャストガードを成功し続ければ主人公が一方的に攻撃しまくれる展開に。ターン制ながらも、最高に気持ち良いアクション要素も体験できるのです。

攻撃に使う武器の大半には回数制限があり、入手した武器を取捨選択をしながら戦う相手やシチュエーションによって切り替えるリソース管理要素に、一度やられても能力を強化して「無限」にチャレンジしていくなど、ローグライトな要素もしっかりと兼ね備えています。

もちろん、手強い強敵も出現する

個人で本作を開発しているモンブランハッチさんは「以前はシンプルさに特化したゲームを作ったので、今度はやり応えのある難しいゲームを作ろうと思った」と話し、会場でも来場者のデモ版プレイをじっくり眺めながらさらなるアイデアを練っている様子でした。

「本業と育児の隙間に開発しているので、時間がなかなか捻出しづらいですね……」と、兼業パパクリエイターとしての大変さも抱えながら、年内のリリースを目指して開発中とのことです。

「とにかく気持ち良さを突き詰めた『ジャスガ』ゲーです!」とお話していただいた通りの内容だった『無限武者』

タイトル:『無限武者』
開発:モンブランハッチ
リリース予定日:2023年
ジャンル:ローグライト+アクション
プラットフォーム:Steam

アイデアが詰まった傘を開く『雨雫のアンブレラ』

(画像はWebサイトより引用)

タイトル画面からどこか儚さを感じる『雨雫のアンブレラ』は、Kabocha rengaスタジオが手がける、「傘」を駆使したメトロイドヴァニアゲームです。

主人公の持つ傘は雨をしのぐだけでなく、打撃や落下時の突き刺し攻撃の武器として使え、さらにはハイジャンプ用の道具としても機能する優れものです。

今回はまだまだ序盤だけの体験に限られていましたが、敵を倒すだけでなくステージをどう冒険しようか考える楽しみや、新たな能力を手に入れて探索範囲が少しずつ広がる面白さも味わえそうな作品でした。

開発者の方は「前に別のイベントで出展し、試遊してもらったときに初めて本作の難易度が高いことに気付きました。そのフィードバックを生かし、今回は遊びやすく調整しています」とお話ししていました。

「当初はもっとキャラクターの頭身も違っていたんですが、これが限界で」と苦笑されていましたが、ドット絵で描かれたキャラクターもかわいらしいです。

「完成度は10%くらいですが、基礎はできているのでボリュームを足しながら、もっとゲームに必要なものを入れていきたい」とも話されていました。傘にどんな機能が追加されていくのか、ステージはどんな広がりを見せるのかなど、完成が待ち遠しくなる作品でした。

タイトル:『雨雫のアンブレラ
開発:かぼちゃれんが
ゲームエンジン:GameMaker
リリース予定日:2023年
ジャンル:メトロイドヴァニア
プラットフォーム:Steam、Nintendo Switch(リリース予定時期は未定)

来年はさらに大規模なサミットへ!?

ここまで紹介した以外にも海外デベロッパーのタイトルやアナログゲームなど、とにかく多彩なタイトルが一堂に会した「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT」。

会場の武蔵野公会堂が3階までぎっしりとゲーム愛にあふれた空間となり、野田クリスタルさんや古川未鈴さんら豪華ゲストも参加したステージイベントは大盛況。

各ブースではインディーゲームクリエイター同士の交流も盛んに行われていましたが、意外にも目立ったのは家族連れの来場者でした。会場内に設けられたキッズコーナーだけでなく、試遊にチャレンジする子どもたちの姿も見られました。

当日は絶好の外出日和と言える晴天にも恵まれ、日曜日の吉祥寺を探索するうちに会場を見かけてフラッと訪れた方も多かったのではないでしょうか。

ゲストによるトークイベントや、GYAAR Studioによるインディーゲームコンテストの結果発表も盛況

国内外のゲームが集まる場となった「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT」は、来年の開催も示唆されています。インディーゲームシーンにおける新たな春の風物詩となっていくかもしれませんね。

TOKYO INDIE GAMES SUMMIT
ハル飯田

大阪生まれ大阪育ちのフリーライター。イベントやeスポーツシーンを取材したり懐ゲー回顧記事をコソコソ作ったり、時には大会にキャスターとして出演したりと、ゲーム周りで幅広く活動中。
ゲームとスポーツ観戦を趣味に、日々ゲームをクリアしては「このゲームの何が自分に刺さったんだろう」と考察してはニヤニヤしている。

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