Rustベースで開発されたECSゲームエンジン「Arete Engine」正式発表。データ指向&ユニファイドメモリを活用し、大量のオブジェクトが存在するシーンも高速動作

2023.11.16
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この記事の3行まとめ

  • 新たなゲームエンジン「Arete Engine」バージョン0.1がリリース
  • Entity Component Systemを活用するRustベースのゲームエンジン
  • ユニファイドメモリを使い、フレームごとの処理負荷を軽減

2023年11月10日(現地時間)、Arete Gamesはゲームエンジン「Arete Engine」のバージョン0.1をリリースしました。

Arete Engineは、Rustベースで開発された2D/3Dゲーム開発向けの汎用ゲームエンジンです。Entity Component System(以下、ECS)(※)を活用しており、ユニファイドメモリを扱う独自のアーキテクチャを特徴としています。
※ 機能単位である「コンポーネント」と、複数のコンポーネントを包含する「エンティティ」を使用する、データ指向に基づくソフトウェアアーキテクチャ

バージョン0.1でサポートされているプログラミング言語は、CC++SwiftRustなどのC ABI(※)と互換性のある言語。また、C#もサポート予定です。
※ Application Binary Interface。バイナリレベルでソフトウェアの互換性を保障する規約

(動画は公式サイトより引用)

Arete Engineでは、一般的なゲームエンジンとは異なり、データがCPUとGPUの両方からアクセスできるユニファイドメモリに保存されます。これにより、フレームごとに実行されていたCPUからGPUへのデータのコピーが不要となります。

CPU・GPU間のデータコピーは、動的オブジェクトが大量に存在するシーンなどでボトルネックになりえるとのこと(画像はGitHubより引用)

公式サイトでは、Unityのデータ指向型技術スタック「DOTS」のチュートリアルデモArete Engineなどのゲームエンジンで再現した際の実行速度が比較されています。

エンティティのスポーン上限を64,000個に設定した条件下で、GPUカリングのArete Engineが最も早く、1フレームあたり110μsを記録。次いで、CPUカリングのArete Engineが319μs、UnityDOTSは約6msを記録しています。

(画像は公式サイトより引用)

また、Arete Engineにはユニファイドメモリを利用した機能「Load Balancing」が搭載予定。フレームごとにCPUとGPUの負荷を鑑みて、タスクをどちらかに振り分けます。これにより、負荷のバランスが改善され、FPSが向上します。

同機能は、ハードウェア構成がまちまちで、ボトルネックがどちらになるか予測できないPCやモバイルなどのプラットフォームで活躍するとしています。

(画像はGitHubより引用)

バージョン0.1のリリースに併せ、Arete Engineで制作されたサンプルゲームが2つ公開されています。ひとつは、UnityDOTS用チュートリアルデモを再現した『Tanks』。もうひとつは、『ギャラガ』や『スペースインベーダー』を参考に制作した『Space』です。

『Tanks』(画像はGitHubより引用)

『Space』(動画は公式サイトより引用)

Arete Engineは、学習などの非商用利用であれば無料で利用できます。

商用プロジェクトにおいても、Early Adoption Period (早期採用期間)中は収益が100万ドルを超えるまで無料で利用可能。100万ドル以上の収益を得ている場合は、100万ドルを超える収益に対してのみ1%のロイヤリティが発生します。

なお、追加予定の機能をまとめた開発ロードマップも公開されています。

Arete Engineの詳細はこちら、FAQはこちらをご確認ください。

Arete Engine 公式サイトaretegames / arete-engine|GitHub

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