PCゲーム『Scars Above』のオーディオ最適化方法紹介記事をAudiokineticが公開。エラー特定方法から最適化まで開発者が解説

2023.09.22
ニュースお役立ち情報サウンド
この記事をシェア!
twitter facebook line B!
twitter facebook line B!

この記事の3行まとめ

  • Audiokineticが『Scars Above』の開発で行われたオーディオに関する最適化、プロファイリングを紹介した記事を公開
  • Wwise Profilerを使ったオーディオに関するプロファイリング方法を紹介
  • 長い音源のメモリ消費抑制などの最適化方法も紹介

Audiokineticは、Mad Head Gamesが開発したSFサードパーソンアクションアドベンチャーシューター『Scars Above』のオーディオのプロファイリングと最適化の原則を解説した記事を公開しました。Mad Head Gamesのリード/テクニカル サウンドデザイナー Milan Antic氏が『Scars Above』の開発事例を説明します。

『Scars Above』の開発環境は、下記の通りです。

  • Unreal Engine 4.27.2
  • Wwise Unreal Integration version 2021.1.9.7847.2311

最適化は開発後半に行われることが多いですが、初期段階でオーディオが使用できるCPU・メモリの容量を決めておくことが重要です。設定した容量を超えると、サウンド品質の低下やオーディオの不具合、ゲームプレイに悪影響を与えるフレームレートの低下などの問題が発生するため、オーディオ最適化は計画的に実施する必要があります。

また、『Scars Above』ではGen 8搭載プラットフォームにおけるメモリ不足を防ぐため、オーディオのメモリ容量を250MB以下に設定したとのこと。

『Scars Above』におけるプラットフォーム毎のオーディオメモリとCPUの容量制限(画像は公式ブログより引用)

ゲームプレイ中に起こるオーディオの問題の中から、この記事では一般的な問題であるメモリ不足(OOM)CPUスパイクVoice StarvationSource Starvationの4つを紹介しています。

これら問題を特定する方法として、Wwise Profilerを使用したプロファイリングを紹介しています。

Wwise Profiler(画像は公式ブログより引用)

CPUスパイクの例。CPU消費量や音声が急増したフレームで、トリガーされたアクションを確認できる(画像は公式ブログより引用)

Wwiseのアセットやプロセスに特化したメモリおよびCPU消費量に関するデータはUnreal Editorでは明確に受け取れないため、QAの際は出力ログを利用してエラーを特定します。Wwise Profilerに関連するログメッセージはOutput Logと相互に参照でき、Output Logに表示されるWwiseエラーには“LogAkAudio”とプレフィックスが付くため、フィルタリングによって問題を把握しやすくなるとのこと。

また、最適化について、ディスクからストリーミングが難しい長さのサンプルは多くのメモリを消費します。この場合は可能な限り音源を短縮することでメモリの消費量を抑えることが可能なほか、複数の短い音源をランダムコンテナに格納し、ループ再生することでバリエーションのある長い音源のように扱うことが可能といったTipsが紹介されています。

環境音を短縮した例(画像は公式ブログより引用)

ループするランダムコンテナ(画像は公式ブログより引用)

このほかにも最適化に関する情報が数多く掲載されています。詳細はak Blog『Audio Optimization Practices in Scars Above』をご確認ください。

ak Blog『Audio Optimization Practices in Scars Above』

関連記事

Unity上でセリフの音声合成ができる「A.I.VOICE for GAMES」でリップシンクが可能に。キャラの口がセリフに合わせて自然に動く
2024.04.26
ゲームサウンド実装、初学者向け。『ハーヴェステラ』開発者がサウンド演出の基本を語った講演をレポート【GCC 2024】
2024.04.22
オーディオミドルウェア「Wwise」のサウンドをUnreal Engineで再生。「書かれた通りに設定すれば必ず動作する」ガイド、Audiokineticが公開
2024.04.18
中世の雰囲気を演出するSEを多数収録。GameMaker向けの無料アセットバンドル『MEDIEVAL SOUND EFFECTS』が公開
2024.04.01
振動で「ズシンと重い」や「左右に揺れる」感触を表現!「ハプティクス」の紹介記事がakBlogで公開
2024.03.30
Sonniss、計27.5GB超のサウンドデータパックを無料で配布。GDC 2024の開催を記念した『GDC 2024 – Game Audio Bundle』
2024.03.22

注目記事ランキング

2024.04.26 - 2024.05.03
1
【2022年5月版】今から始めるフォートナイトの「クリエイティブ」モードープレイ開始から基本的な操作方法まで解説
2
『フォートナイト』で動く本格的なゲームが作れるツール「UEFN」とは?従来のクリエイティブモードから進化したポイントを一挙紹介!
3
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧
4
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.5「島の設定」
5
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.1「アイテム系」
6
【CHALLENGE1】「クリエイター ポータル」を使って、UEFNで作成した島を世界中に公開する
7
まるで『マイクラ』?ボクセル地形を生み出す無料アセット「VoxelPlugin Free」で”地形を掘ったり積み重ねたり”して遊んでみよう
8
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.7「NPC系」Part1
9
UEFNで使えるプログラミング言語「Verse」のノウハウが集結。『UEFN.Tokyo 勉強会 03 Verse Night』レポート
10
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.2「ユーティリティ系」
11
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.8「ゾーン系」
12
【STEP2】UEFNの基本的な使い方を覚えよう
13
【CHALLENGE3】UEFNの機能「ランドスケープ」を使ってオリジナルの地形を作る
14
フォートナイトとUEFNがv29.30にアップデート。すでに公開した島をプレイできないようにする機能が導入される
15
フルカラー書籍「UEFN(Unreal Editor For Fortnite)でゲームづくりを始めよう!」、ついに本日発売!全国書店で好評発売中!
16
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.6「チーム・対戦系」Part1
17
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.10「UI系」Part1
18
【STEP4-1】コース外に出たらデスする仕組みを作る
19
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.4「ゲームシステム系」
20
『フォートナイト』で建築ビジュアライゼーション!?UEFNでオリジナルの世界観をどう作り上げたか、その手法を解説【UNREAL FEST 2023 TOKYO】
21
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.7「NPC系」Part2
22
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.6「チーム・対戦系」Part2
23
「UEFN」って実際どうなの? 編集部が3時間で「みんなで遊べるアクションゲーム(?)」を作ってみた
24
【CHALLENGE2-1】フレンドと一緒にゲームを作ろう――UEFNプロジェクトをチームメンバーとリアルタイムで共同編集する
25
フォートナイト クリエイティブとUEFNで使える仕掛け一覧 Vol.3「プレイヤー系」
26
【STEP3】オリジナルのアスレチックコースを作ろう
27
【STEP5-1】スタート時のカウントダウンを作る
28
【STEP5-2】ゴールの仕組みを作る
29
【STEP6-1】「オリジナルキャラクターを登場させよう」――Fabでアセットをダウンロードしよう
30
【STEP4-3】仕掛けを使って「坂を転がるボールのギミック」を組み込む
VIEW MORE

イベントカレンダー

VIEW MORE

今日の用語

リグ(Rig)
リグ 3Dモデルを動かす場合に、すべてのボーンを編集するのではなく、少ない編集箇所で直感的に動作などを付けるために作られたコントローラーやコントロールする仕組み。 またスケルトン自身をリグと呼ぶ場合もある。
VIEW MORE

Twitterで最新情報を
チェック!