学生クリエイターによる「BitSummit Game Jam」集大成!実展示からピックアップ作品を紹介【BitSummit Let’s Go!!】

2023.07.17
注目記事イベントレポートBitSummit2023
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2023年7月14日(木)から16日(日)の3日間、京都みやこめっせで開催されたBitSummit Let’s Go!!この世界各国からインディーゲームが集う本イベントに向けて開催されているのが学生限定のハッカソンイベント「BitSummit Game Jam」であり、今年で第3回を迎えます。

ゲームメーカーズでは以前にも東京会場でオフライン開催されたコアDAYの開発風景の模様をお伝えいたしましたが、本番の会場では2ヶ月半の開発期間を経て完成した作品が展示されました。今回はそんな「BitSummit Game Jam」コーナーから印象的だった作品をピックアップし、開発の過程や工夫、イベントの感想などを聞きました。

TEXT / ハル飯田

目次

2画面プレイで未来へ送る物資(?)をチェックする『HOME TO HOPE』

京都会場の「チーム12」が制作した『HOME TO HOPE』は、隕石の襲来が迫る地球が舞台。もはや被害は避けられないため、人類は未来へ物資を転送して滅亡後の復興に希望を託すことに。そこで転送する食糧や工具、そして人間にも問題ないかチェックしていく、というゲームになっています。

クリアまで1プレイ5分程度

ベルトコンベアを流れる物資や人をスワイプで回転させ、左下に表示される見本と異なる点があれば取り除いていく直感的な操作で、チェックを行うタブレット端末と未来の世界を映したモニターの2画面で同時に進行していきます。適切なチェックができれば未来は発展していきますが、誤って問題ある物資や危険人物を送り込んでしまうと悲しきかな、人類同士での争いに……。

どれだけ物資が足りていても悪人を送り込んでしまうと甚大な被害に

滅亡までの3日間が1日ずつステージとなっており、日が進むごとに「危険人物の条件」が増えてコンベアもスピードアップするので段々と難化していく仕組みに。チェック精度によってマルチエンディングへ分岐するので、無事に未来を繁栄させられた時は達成感が得られますが、成績次第では人類滅亡の可能性も。ビジュアルに反して意外にシビアな世界観もユニークでした。

翻訳ツールを介して仕様書をやり取り

「BitSummit Game Jam」ではどのチームも10人程度で、中国からの参加者も加わった学校も国籍も多彩な開発チームが組まれました。本作でプログラマーを担当した川崎さんは、言語の壁を乗り越えながらの開発が大変だったと、約2カ月半に及ぶ開発を振り返りました。

リードプランナー/3Dモデラーの杉本さん(写真左)と川崎さん(同中央)、そして鈴木さん(同右)はリードプランナー/3Dモデラー

「まずは役割に限らず全員がゲームのアイデアを持ち寄ってプレゼンし、自分以外の企画に投票する形式で取り組む企画を決めました。メインのプログラムを中国の方が担当してくれたんですが、お互いに言葉が分からないので仕様書もDeepL翻訳に頼ったりChatGPTの力を借りたりしてやり取りしました(笑)」(川崎さん)

初めての経験に戸惑いも多かったようですが、それでも国際開発を「楽しかった」と振り返った川崎さん。可愛らしいキャラクターのイラスト・モデリングに簡単な操作性とあって幅広い層に注目されるタイトルでした。

公式サイト https://bitsg-gamejam2023.itch.io/bsgj2023-home-to-hope
販売サイト(ストアページ) 未定
リリース時期 未定

なんでもアリなリズム演説バトル『激唱!銀河演説』

同じく京都会場の「チーム10」が制作した『激唱!銀河演説』は、遥か未来の世界で「アフロ星人」と「ホットドッグ星人」と地球人が銀河の支配権をかけて平和的に演説で競い合う、対戦型リズムゲームです。

それぞれのプレイヤーはどの地域の代表を使用するかを選び、選ばれたリズムゲームを同時にプレイしてスコアを競います。ただしシンプルなスコアアタックではなく「コンボによって相手の画面が見づらくなる」などのおじゃま要素に加えて、アイテムの使用も可能。中には「お互いのスコアを入れ替える」という驚きの効果もあり、誰でもすぐに盛り上がれるカジュアルさが魅力の作品でした。

勝利すれば晴れてプレジデントに。1地域バトルに参加していないが大丈夫なのだろうか

自作キャラクターのアイデアを1年越しにゲーム化

チームを代表して本作の開発についてのお話をお聞きしたのはNETOさんとペペさん。

ブースでは対戦役も務めていたNETOさん(写真左)とペペさん(同右)

おふたりとも京都精華大学のキャラクターデザインコースに通う中国からの留学生で、日本語も流暢とあって国際的なチームでの開発では仲介役としても奮闘されたそうです。

『激唱!銀河演説』は、NETOさんの「昨年参加したGame Jamで生まれたもののゲーム化できていなかったホットドッグのキャラクターを活かしたい」という気持ちから生まれた作品であり、Unityに加えてフリーのアニメーションソフトなども開発に活用されました。

1年越しに自分の生み出したキャラクターのゲーム化に成功したNETOさんは「思ったよりも良いゲームになった」と充実感をにじませていました。

キャラクター選択画面

ここで紹介した以外にも特設コーナーには東西合計24チームによる力作が出展され、作り込みが光る作品から思わず笑ってしまうような時事ネタを盛り込んだアイデア作品など、いずれも個性が光るゲームが並びました。

『HOME TO HOPE』はGAME JAM AWARDを受賞。おめでとうございます!

自分が開発に携わったゲームが目の前でプレイされ感想が聞ける機会は非常に貴重であり、時にはお互いの作品をプレイしあって感想を送り合う姿も見られました。みやこめっせ1階の展示場を広く使っての開催となった今年のBitSummitでは大規模ブースも目立ちましたが、そんな中心部とはまた違った魅力が味わえる素敵なコーナーでした。

公式サイト https://bitsg-gamejam2023.itch.io/gekishougingaenzetu
販売サイト(ストアページ) https://bitsg-gamejam2023.itch.io/gekishougingaenzetu
リリース時期 プロトタイプ公開中
「BitSummit Game Jam」概要BitSummit Let's Go!!公式サイト
ハル飯田

大阪生まれ大阪育ちのフリーライター。イベントやeスポーツシーンを取材したり懐ゲー回顧記事をコソコソ作ったり、時には大会にキャスターとして出演したりと、ゲーム周りで幅広く活動中。
ゲームとスポーツ観戦を趣味に、日々ゲームをクリアしては「このゲームの何が自分に刺さったんだろう」と考察してはニヤニヤしている。

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