名作ボードゲームをデジタルに移植!『みんなと街コロ』【BitSummit Let’s Go!!】

2023.07.16
注目記事イベントレポートBitSummit2023
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2023年7月14日(木)から16日(日)の3日間、京都みやこめっせで開催されたBitSummit Let’s Go!!。展示されたゲームの中から、今回はグランディングが開発する『みんなと街コロ』を紹介するとともに、同作品の開発者 伊藤 真之助氏と吉田 謙太郎氏にボードゲーム版『街コロ』シリーズのデジタルゲームへの移植開発について聞きました。

TEXT / HATA

目次

街を発展させて地元にランドマークを建てよう!

グランディングブースの様子。明るいグラフィックが目を引く

『みんなと街コロ』は同社のオリジナルボードゲーム『街コロ』をデジタルゲーム化した作品です。『街コロ』はボードゲームの盛んなドイツでも高評価を得ており、ドイツ年間ゲーム大賞 2015にもノミネートされた人気作。拡張版の『街コロプラス』やシリーズ最新作の『街コロ通』も発売されています。

そんな「街コロ」シリーズのデジタル版『みんなと街コロ』は、ボードゲームと同様に企業オーナーとして、ライバルオーナーよりも早く自分の街を発展させ、建設中のランドマークのすべてを完成させるのが目的です。

サイコロを振って、コインを稼ぎ、建物を建ててもっと稼ごう!

サイコロは“ある建物”を建てることで、2つ振ることができるようになります。サイコロが2つになることで、1つだった時より多くのコインを獲得できることも。勝利条件のランドマークは4つあり、建設には他の建物より多くのコインが必要です。コイン稼ぎには、ライバルからコインをもらえる建物をうまく活用しましょう。

ランドマークを4つ建設し、見事勝利!

ボードゲームをデジタル化する難しさ

グランディングの伊藤真之助氏(左)と吉田謙太郎氏(右)

本作を開発したグランディングの伊藤氏と吉田氏にお話を伺いました。グランディングは『台北ゲームショウ2023』にも本作を出展しており、はじめて遊ぶ人に向けてもっと楽しく遊んでほしいとの願いからブラッシュアップを続けているとのことです。

ボードゲームからデジタルゲームへの移植で課題となったのは、オンライン対戦などでは自分のターンになるまでの待ち時間に手持ち無沙汰になってしまうというもの。ボードゲームであれば会話もしながら和気あいあいとした雰囲気となりますが、デジタルゲームになると勝手が違うようです。伊藤氏は対策として、スタンプ機能で各プレイヤーが自分の気持ちを伝えられるようにしたほか、もっとゲームにのめりこむような工夫、演出の強化も行ったとのことでした。

また、当初は疑似的な3Dであった箇所を全面3Dに改修。エフェクトもより立体的にしています。ボードゲームに慣れたプレイヤーは、どの目でいくらコインを稼げるかなどを考えながらプレイをするのですが、ボードゲームをあまりプレイしない人向けにコインを稼げるタイミングで演出をいれるなど、親切設計を心がけています。

ボードゲームであれば、テーブルにカードを自由に広げることができるものの、モニターにすべて納めるのは難しく、改めて本作の情報量の多さを感じたという吉田氏。そこで、画面に表示しておく情報を取捨選択し、クリックすると追加の情報が見られるようにしています。また、ボードゲーム版では5人プレイも可能なタイトルもある「街コロ」シリーズですが、四角の画面で5人同時プレイを実現するのは難しく、4人対戦にしたとのことでした。

とはいえ、デジタル版にも長所はあり、本作で重要となる確率を計算して表示する機能や、コインの自動計算などによりゲームプレイがスムーズに進むのに加え、計算された確率を見ながら戦略を練ることができるため、より深く遊べるようになっています。

開発環境はUnity 2022を使用し、開発を続けています。今後は『東京ゲームショウ2023』にも出展予定です。

人気ボードゲームをデジタルゲームに移植する難しさや課題を聞く機会はあまり無く、カードに書かれた情報量の多さをどのようにデジタル化するのかなどの課題のほか、オンライン対戦時の盛り上がりをどうやって実現するかなど、同社の創意工夫を知ることもできました。今後ボードゲームの移植を行う方の参考になれば幸いです。

公式サイト https://www.g-rounding.com/workslist/m-machikoro/
公式YouTubeチャンネル https://www.youtube.com/@grounding_inc5691
販売サイト(ストアページ) 未定
リリース時期 2023年
『みんなと街コロ』公式サイトBitSummit Let's Go!!公式サイト
HATA

5歳の頃、実家喫茶店のテーブル筐体に触れてゲームライフが始まる。2000年代にノベルゲーム開発を行い、異業種からゲーム業界に。ゲームメディアで記事執筆を行いながらゲーム開発にも従事する。

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