アークライトは2023年5月13日(土)と14日(日)の2日間、東京ビッグサイトにて国内最大級のアナログゲームイベント「ゲームマーケット2023春」を開催しました。同社の発表によれば、13日は12,000人、14日は10,000人と合計22,000人ものボドゲファンが集まったとのこと。

本稿では代表的なブースのレポートを中心に、主催のアークライトが行っている取り組みや、どういったゲームやモノが出展されているのかなど、会場全体の雰囲気をまとめました。
アークライトは2023年5月13日(土)と14日(日)の2日間、東京ビッグサイトにて国内最大級のアナログゲームイベント「ゲームマーケット2023春」を開催しました。同社の発表によれば、13日は12,000人、14日は10,000人と合計22,000人ものボドゲファンが集まったとのこと。

本稿では代表的なブースのレポートを中心に、主催のアークライトが行っている取り組みや、どういったゲームやモノが出展されているのかなど、会場全体の雰囲気をまとめました。
TEXT / 松井 ムネタツ
EDIT / 藤縄 優佑
毎年春と秋の年2回開催しているゲームマーケット(以下、ゲムマ)。今回はコロナ禍による規制が緩和されてから初めての開催ということもあり、朝早くから多くのボードゲームファンが駆けつけました。
その行列はりんかい線の国際展示場駅近くまで見られ、入場まで90分ほどかかる時間帯もあったそうです。
ファンの皆さんのお目当ては、数々の新作です。企業による新作は、会場先行販売のケースであれば数週間~1ヵ月程度で店頭に並ぶので買うことができますが、人気同人サークルの新作ともなると、ここで買わないと次はいつ買えるのかわかりません(簡単に再生産できない場合が多いようです)。
ゲムマの開場は午前11時開場で、人気の企業・一般ブースは正午あたりで「売り切れ」の札を掲げるところがどんどん増えてきます。
まさに即売会ならではの活気を感じられたわけですが、今回の「2023春」ではコロナ禍で取りやめになっていたものが復活していたのも特徴でした。
ひとつはステージイベント。海外のボードゲームデザイナーによるトークショーや、コロコロコミックとのタイアップによる新作ゲーム『コロコロito』発売記念ステージ、さらにコアなファン向けにはボードゲームの博物館アナログゲームミュージアムの設立記念トークイベントなどが行われました。
ゲムマのこうした「観客を一か所に集める」催しは、2020年以降しばらく実施していない状況だったので、以前から参加していたボードゲームファンからすると「ようやくあのころのゲムマが帰ってきた」と感慨深いものを感じます。
もうひとつは試遊スペースです。これは2022年秋のゲムマから復活していたのですが、今回はそれがより充実していた印象を受けました。ほとんどの場所でアクリル板による仕切りがない状態だったこともあり、参加者同士の声の通りもよく、遊びやすい環境が構築されていました。
まずはエリア(企業)ブースをチェック。
会場に入ってまずドーンと目立ったのは、主催者でもあるアークライトのブースです。『エバーグリーン』『カイト』『龍 -TATSU-』といった先行発売タイトルがよく売れていた様子。
その他、国内の人気ゲームデザイナーが手がける連作の「Kaiju on the Earth」シリーズ最新作『クアント』の展示など、見どころが盛りだくさんでした。
また、ブース内では「アークライト・ゲーム賞2023」のノミネート作品の一部が発表され、パネル展示されていました。本企画はゲムマで発表された優れたゲームをアークライトが商品化を前提に評価する賞で、2020年から実施されています。
2020年は『ドキッと!アイス』、2021年は『どひょ〜!どんなコトバもワードスコイ』(のちにアークライトから『ワードッチ』としてリメイクされてリリース)、2022年は『ミリメモリー』がそれぞれ最優秀賞を受賞していました。
今回は、2023年のノミネート5作品を先行発表。今夏には残りも含めて全ノミネート作が発表され、ゲームマーケット2023秋(12月開催)にて各賞が発表されます。なお、「アークライト・ゲーム賞2022」優秀賞『プラネピタ』の製品化がこのたび正式に告知され、試作版が展示されていました。
その他のエリアブースについては、写真とともにピックアップしてご紹介します。
大手アナログゲームメーカーの老舗のひとつ。今回はスクウェア・エニックスと合同出展し、今秋発売予定の新作『チョコボの不思議なダンジョン ボードゲーム』の試遊テーブルが用意されていました。
名作『カタン』の国内販売元であるジーピーは、『スパイジョブ』と『贋作画家ベルラッティ』の2本を和訳付きで会場限定販売。試遊してもらってどちらが面白いと感じたか投票による対決を実施していました。
パッケージの小箱にカードやコマをギッチリ詰めこんでいるオインクゲームズの新作は、『クジラオルカ』。ツアー会社となって、船に観光客を乗せてホエールウオッチングをするゲームです。ブースではゴムボートに乗って試遊できるコーナーも!
アークライトから出ている『ito』を使ったコラボ商品『コロコロito』が目玉商品として出展。人気漫画家のサイン会も実施され、つねに賑わっていました。
全国でボードゲームカフェを運営するJELLY JELLY CAFEのゲーム出版ブランドが、「JELLY JELLY GAMES」です。千原ジュニア氏考案の『ことば落とし』、連続連想ゲーム『レンレン』など、パーティーゲームの定番を狙うタイトルが出展されていました。
また、デジタルゲームを中心に開発・販売をしている企業がゲームマーケットに出展しているケースも見受けられます。そんなブースを2つ紹介します。
まず、2012年からほぼ毎回出展しているグランディング。ドイツ年間ゲーム大賞でノミネート作にもなった『街コロ』を作った会社として有名です。今回はチームで戦う対戦カードゲーム『Duo Duel(デュオデュエル)』という新作を出展していました。
もうひとつはギフトテンインダストリ。この会社はもともとデジタル・アナログにこだわらず、いろいろな形でゲームを開発している会社です。
『マドリカ不動産』(Nintendo Switch/Steam)シリーズはデジタルゲームでありながら、印刷された紙を使ってクリアを目指す謎解きゲームです。
そんなゲームをリリースしている同社の新作は、カセットテープケースにカード類を詰めた『ハテナ諸島の5つの謎』でした。デジタルゲームの試作としてアナログで作っていたものがしっかり遊べるものになったということで、ボードゲームとして出展したそうです。
こうしたデジタルとアナログのつながりを見つける楽しさも、ゲームマーケットの見どころかもしれません。
一般ブースと呼ばれるコーナーは、いわゆる個人・同人サークルの出展が中心です。コミックマーケットのサークル出展のような雰囲気で、長机にボードゲームがところ狭しと並べられています。
ボードゲーム・カードゲームが中心ですが、そうではないものもたくさん出展されています。ここでは筆者が気になった一般ブースのタイトルをいくつか紹介しましょう。
簑竹屋GAMESは新版『マモノレイド+』を出展。このサークルは2Dドットテイストのグラフィックが特徴
ラガラガ・ラボの『フラテリ』は分数陣取りゲーム。分割された色ピースを置いて円を完成させるルールで、独特な駆け引きが楽しめる
『フォントかるた』は2017年から出展。タイトルのとおり、読み上げられたフォントと解説をヒントにして、正解のフォントの札を見つけるカルタを楽しめる。追加フォントの拡張パックや、欧文版もリリースしている
Fulelu Edutainment Gamesによる『RoRop(ロロップ)』は、木製のボードゲーム。例えるならリアル落ちゲーパズルと言えるようなシステムが特徴
ゲムマ会場でしか遊べない(?)カードゲーム『デュエルボーイ』も販売されていました。1パック500円(プレイに必要なカード7枚がランダム封入。カードは50種以上)の1vs1の対戦型カードゲームで、前回のゲムマ2022秋で上杉真人氏(I was game)が頒布していたものを、今回はゲムマ公式イベントとして実施されました。
1戦するごとにカードを交換するのも特徴です。原則として勝者が強いカードを負けた側に渡し、負けたほうは弱いカードを差し出すため、プレイヤーのデッキの強弱がコロコロ変わります。立ちながら遊べるよう工夫されているので、皆さん積極的に楽しまれているようでした。
昨年より始まったのが、「ゲームマーケット・チャレンジ」です。これは「ゲームマーケット事務局が提案するお題に対し、対応する作品を作成・提出することで、ゲームマーケット会場にて特別な場所に展示される」というイベントです。
一般参加者が直接何かをするわけではありませんが、特設コーナーが設けられているため、「このお題でこういうゲームが作られたのか」とまとめてチェックできる楽しさがあります。
今回展示されていたゲームのチャレンジ内容は、「カード32枚以下」「ルール説明5分」「プレイ時間15分」「人数制限なし」「協力ゲームはNG」というもの。
このレギュレーションに沿って作られたゲームが特設コーナーにズラリと並べられています。ゲームにはブースの出展場所が書かれているので、気になったゲームは実際にブースへ行って購入できる……といった導線は、クリエイター側としてもうれしいはず。同じテーマでありながらバラエティに富んだゲームが展示されるので、一般参加者としても興味深く見られるでしょう。
なお、次回(2023秋および2024春)のテーマは「ポストカード」。同梱物(コマやダイス)があってもOKですが、あくまで主役はポストカードであることが規定とされています。素人考えでは、ポストカードに盤面が描かれたスゴロク風ゲームなどを想像してしまいますが、こんなありきたりなものではなく、まさか!という形でポストカードを使うゲームが登場するのでしょうか。どんなゲームが出てくるのか、今から楽しみです。
最後に、ボードゲーム・カードゲーム以外に出展されているものをチェックしてみましょう。ゲムマではテーブルトークRPGやマーダーミステリーといったアナログゲームや、ボードゲームで使う小物などもたくさん出展されているのです。
多数のTRPG本が出展されていましたが、やはり圧倒的なのは『クトゥルフ神話TRPG』関連本。シナリオやリプレイなどが数多く並んでいました。
マーダーミステリー(マダミス)とは、物語に登場するキャラクターになりきり、参加者(4〜8人程度)のなかに潜む犯人を探して事件を解決する、というゲームです。
ボードゲームショップで買えるものもあれば、マーダーミステリー専門店で楽しむタイプも存在します。昨今ではマーダーミステリーが流行しており、ゲムマに「マダミスだけを買いに来ている」という方もいらっしゃるようです。
なかでも人気だったのはリアル脱出ゲームで有名なSCRAPが手がけた『雷鳴轟くシェアハウスからの悲鳴』。今回マーダーミステリーに初参戦!ということで、こちらも早い時間からファンが押し寄せて早々に売り切れていました。
謎解き専門店やイベントが行われていたり、テレビ放送でも定期的に放送されている謎解きゲーム。リアル謎解きゲームでお馴染みのブランド「タンブルウィード」も出展しており、こちらも多くのファンが駆けつけているようでした。もちろん、一般ブースで謎解きを頒布している同人サークルも多数あり、一定の人気というよりも、マーダーミステリー同様にジャンルの一つとして定着したようにうかがえます。
ボードゲームに関するさまざまなグッズも出展されていました。メジャーなところではダイス。
カラーやデザイン、ダイスの種類(一般的な六面ダイスから二十面ダイスまで)など、多くのダイスが並べられています。
その他に目立つものとしては、ゲームで使用するコマをまとめて置いておくための各種トレイや、ダイスを振るときに使うダイストレイなど。こうした商品もかなりの人気を誇ります。
世界的に見ても、「個人(同人)制作のボードゲームが、年2回のペースでこれだけたくさん新たに生まれているのは日本市場だけ」と言われており、海外のボードゲーム出版社が青田買いに来ていると言われています。
それだけ注目されているゲームマーケット、次回の2023秋は12月9日(土)と10日(日)、場所は同じく東京ビッグサイトで開催予定です。
個性にあふれたアイデア勝負のゲームがたくさん出展されているので、見るだけでも大きな刺激を受けるはず。ぜひ一度会場に足を運び、独創的な作品の魅力や活気のある会場の雰囲気を味わってみてください。
ゲームマーケット 公式サイトアークライト 公式サイトパソコンゲーム雑誌、アーケードゲーム雑誌、家庭用ゲーム雑誌を渡り歩き、現在はフリーのゲーム系編集/ライター。マイベストゲームは『ウィザードリィ 狂王の試練場』で、最近だと『Forza Horizon』シリーズに大ハマリ。メインPCはAlienware Aurora。セガ・レトロゲーム系メディア「Beep21」副編集長をやりつつ、ボードゲームメディア「BROAD」編集長も兼任。
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